mieki256's diary



2005/08/05(金) [n年前の日記]

#6 [tv] 広島原爆投下関連の特集番組を目にしたり

筑紫哲也が司会(?)をやってる番組。

投下時の再現映像が流れてたけど、リトルボーイの映像表現がちょっと気になったり。アレはミニチュアじゃなくてCGかしら。質感表現が非常にそれっぽいけど、カメラワークが派手だったし。

これが全部捏造だったらどうしようと要らぬ心配をしてしまったり :

「南京大虐殺はなかった」とか、「アポロは月に行ってない」とか、そういうことを口にする人が居る世の中だもの。「広島・長崎に原爆は落ちてない」とか「落ちたけどあそこまで悲惨な状況じゃない。あれは捏造だ」とか言い始める人が居てもおかしくないかもなと、そんなことをぼんやりと。特に、中国人、韓国人、あるいはアメリカ人あたりがそんなことを言い始めたりして。…などとバカ妄想。

原爆製造に加担したアメリカ人科学者と被爆者二人が話をする場面が印象に残った :

被爆者が「謝ってほしい」と主張し、アメリカ人科学者は「謝らない」と返すの図。

アメリカ人科学者は、原爆の被害も、戦時における他の殺戮行為と大小の差はあれ本質的には同じ「ヒドイこと」という認識をしてるように見えた。また、原爆の存在・行使が戦争終結を早めたというロジックを信じているようでもあったし。「リメンバー・パールハーバー」という言葉があることを被爆者二人に伝えていたし、戦時中は非戦闘員など居ないという認識も述べていたし、「謝るなら貴方達が謝るべきではないか」とも言っていた。

個人的には、謝罪を求める被爆者二人のほうがおかしい気がした。科学者の言い分のほうが、たぶん正しい。日本人は自分たちが加害者であったことを忘れてる。というか、内実はどうであれ、加害者として認識されてしかるべき国策を、自分たちが選択していった事実を、あまりに軽く考えすぎてるような気がする。 *1

「真珠湾攻撃を受けたときのアメリカ人の気持ちを理解しろ」とアメリカ人科学者から要求されたとして。被爆者がそういった気持ちを理解できるなら、アメリカ人科学者も、被爆者が原爆によって受けた悲しみを理解することができる可能性はあったのかもしれない。しかし、「リメンバー・パールハーバー」を口にする者の心情が理解できるなら、原爆を作った人間に対して謝罪を求めるような愚行もしないだろう。…謝罪を求めてる時点で、その被爆者も、相手の気持ちを理解できてないし、理解しようともしていない。であれば、アメリカ人科学者も同じだ。被爆者の気持ちを理解できる可能性など期待できない。…何十年も経過したのに、また同じことを繰り返してるような気がする。まあ、面と向かって話ができるようになっただけ、状況は改善してるのかもしれんけど。

何故、日本は、原爆の恐ろしさを理解してもらいたいと要求するのか。関係者に謝罪してもらうためではないだろう。「二度と同じことを繰り返さないために」、理解してもらうのではないのか。原爆の恐ろしさを理解してもらうのは手段であって。その手段によって達成したい目的・目標は、「二度と同じことを繰り返さない」こと。それを考えたとき、謝罪を求める被爆者の姿が、おかしく見えてしまったのでした。それは不毛な要求というか、目的を見失ってる ―― あるいは未だに目的が判ってないが故の、変な要求だよなぁ。 *2

*1: 「当時は国策を選べるような状況じゃなかった」と言い訳をする人が居るが、そういう国を作ったのは誰か。日本人ではないか。国民が国のあり方を決めるという発想が、当時の日本人には根本的に欠けていたのだろう。…だから『水戸黄門』が存在するのだろうなぁ。「自分たちの気持ちや状況を理解してくれる賢い「上の人」が、たまたま偶然訪れて事態を改善してくれる」という話を平然と受け入れられるのは、鑑賞者の中に、自分たちが状況を改善していく必要がある・改善する義務が自分たちにはある、という認識や責任感が全くないからだろう。それがあったら、水戸黄門なんか腹立たしくて見ていられないはずで。って話がズレた。
*2: とは言っても、感情的には判るんだけど。自分を直接ヒドイ目に合わせた加害者を設定して、その人間に謝罪してもらったら、多少はスッキリするだろうし。でも、身が無い話。そもそも、そういう事態を招くように振舞ったのは自分たちだし。

この記事へのツッコミ

原爆製造に加担したアメリカ人科学者と被爆者二人 by がんした    2005/08/07 04:05
核兵器は、その登場以前と以後の軍事バランスを大きく変えた大量破壊兵器で、
その性質上、人口密集地で使わないとコストが合わなくて、結果、多くの民間人の命を人質にとる。
同じ兵器でも戦車や戦闘機みたいな、戦場でしか使いようが無い兵器と同列に扱うのは無理がありそうだけど。
被害者の被爆者が、加害者側の開発科学者に何かしら倫理観のような罪を求めるのは、何となく理解できなくもない。

つーか、「原爆開発科学者 vs 被爆者」の図式はまだしも、毎年の如くインタビューされる
「原爆を投下した軍人に罪の意識を問う→自分は命令に従っただけ」は、可哀想だよな。
 

> というか、内実はどうであれ、加害者として認識されてしかるべき国策を、
> 自分たちが選択していった事実を、あまりに軽く考えすぎてるような気がする。

そうだね、日本人にとって真珠湾攻撃は、日露の203高地の戦いと同じく、
大勝した自慢だけど、アメリカ人にしてみれば911テロと何ら変わらないもの。

てゆーか、終戦記念日が近づくと毎年「蛍の墓」を流して、日本人の被害者意識を植え付けたり
NHKの朝の連ドラで、「戦争に巻き込まれて戦後のドン底から這い上がった女性をヒロイン」にして
一方的な見方を刷り込んだ放送局の罪は重いと思うが。
これが全部捏造だったらどうしよう by がんした    2005/08/07 04:09
ムー系の作家で、「実際には日本に3発の原爆が落とされたが、一発は不発で旧日本陸軍が密かに回収していた」
と言ってた人を思いだした。
Re: 原爆製造に加担したアメリカ人科学者と被爆者二人 by けいと    2005/08/07 20:09
結果論なんで、反論されると弱いけど、
私としては「戦争は勝った方がすべてを決める」っていうだけだと思います。
だから、

> 「二度と同じことを繰り返さないために」

なんていう気持ちは平和なときにもてる気持ちであって、
いざ危機が訪れたらそうも言っていられなくなる。

そもそも戦争は「負けるつもりで始める」なんていうことはないわけで、
基本的には「やるからには勝つ」というのが大原則だと思います。
ただし、負けたときのリスクがあまりにも大きいから
それが抑止力になっているだけで、
自分のほうは無傷で、圧勝できる戦争ならほいほい喜んでやっちゃう、
っていうことでしょう。
アメリカの対イラク攻撃みたいに。

> 大勝した自慢

基本にして究極の狙いは
「他民族の滅亡と自民族の繁栄」ですから、
戦争の勝利は民族の誇りとして語り継ぐのは
ある意味当たり前のことなんですけどね。

ただ、アジアのような農耕民族が多い国は、
アングロサクソンのような狩猟民族のように
獲物をとった分だけ自分が豊かになる
=奴隷から収奪した分だけ自分が豊かになる
という図式ではなく
ある程度共同体として農作業を行い、収穫時期まで丹念に育てる
という行き方をしてきましたから、
唯一絶対新以外はすべて邪教、とか
誇り高きわが民族が何でこんな仕打ちを受けなければ…
みたいな反応は少ないと思いますね。

> 一方的な見方を刷り込んだ放送局の罪は重いと思うが

私もそう思います。

とはいえ、戦争喚起の番組って言うのは
「日本にとってリスクが大きすぎる」
という意味でまずいでしょう。

資源のなさと国土の狭さは、努力だけでは如何ともしがたいです。
そして、ここが戦争での自力になっていくでしょうから、
やはり日本は「戦争反対」という立場をとらざるを得ないでしょう。

資源の豊富さと国土の広さを兼ね備えた国がほとんど見当たらないのが
日本としては助かるところだと思いますが。
兵器の性質が違うという話? by mieki256    2005/08/08 06:28
> 核兵器 = 多くの民間人の命を人質にとる
> 戦場でしか使いようが無い兵器と同列に扱うのは無理がある

あー。なるほど。たしかにそんな気が。
核というと、破壊力や放射能云々ということにのみ
意識が行ってしまいがちだけど、
ある種の戦術すら変化する・違った面でも一線を越えてしまうと…。
感情を含めないモノの見方をした場合でも、
「それはちょっとどうなんだ?」と言われるだけの兵器であると…。

…件の番組中でも、当時のアメリカ側の中に、原爆使用に関して
「これはフェアじゃない」という反対意見があったと触れていたのですが、
なるほどたしかに、兵器の性質(?)が変わってしまう時点で、
「フェアじゃない」という話になるのかもしれんなぁ…

> NHKの朝の連ドラ「戦後のドン底から這い上がった女性をヒロイン」に

…『おしん』?
なるほどなぁ。そのへんも日本人の被害者意識の植え付けに関係してたのか…

でもまあ、NHK自体は、『その時歴史が動いた』あたりで、
日本がどうして戦争を起こすに至ったのか、
背景を解説したり、各種選択ミスを解説したりもしてたので、
個人的には、差し引きゼロ…とまではいかないにしても、
そこそこやれる範囲で挽回(?)しようとしてるような印象もあります。

というか、たぶんそのへん時間が経過しないと、
「自分たちの選択もアレだったよね」という視点で見れないのかも。
当時を知る人が存命の間は、その体験の強烈さ故に、
どうしても被害者意識が前面に出てきてしまうのかもしれず。
…でも、それらの人々が亡くなってしまうと、
入手可能な情報量が圧倒的に少なくなってしまうジレンマも。難しい…。
減るどころか増えてるのですか! by mieki256    2005/08/08 06:33
> 日本に3発の原爆が落とされたが、一発は不発で旧日本陸軍が密かに回収

わー。予想を上回る展開。
現実には、減るどころか、増えてる言説が出ていたとは。

でもまあ日本国内なら、
そっちの方向に話が膨らむほうが、らしい気もしますな。
何せ落とされた側だし。
平和な時にそういう気持ちになるだけで充分すぎる気も by mieki256    2005/08/08 09:29
> 「二度と同じことを繰り返さないために」
> なんていう気持ちは平和なときにもてる気持ちであって

うーむ。
「平和な時に、そういう気持ちを持つ」…
…それで充分ではないでしょうか。

平和な時に、
「いざとなれば使っちまえばいいや」
という認識だったのが、
「二度と、この兵器を使ってはいけない」
という認識に変わるだけでも、
それは結構凄いことじゃないかと、個人的には想像するであります。

当人の、そういった認識の変化を導くためには、
核兵器使用時の惨劇や、使用後の展開を、
容易にシミュレーションできるだけの充分な知識を、
まずはその人が認知・取得する必要があるわけで。

それだけの知識が脳に記録されてる状態で、
なおかつ、平和な時に、「二度と〜」という信条を持つに至った状態で、
それでも戦時中に、
自分の持ちうる知識に封印をして、自分の信条を否定して、
「これはどうしても核兵器を使わねばならない事態なのだ」と、
そう判断せざるをえないだけの状況が一体どれだけあるだろうかと…
そんなことを想像したりするわけでありますが。

意識・認識の変化が、実際にその身に起きた人間であれば、
たぶん、戦時中であっても使わんと思うであります。
自国が優勢なときにはそもそも使う必要がないですし。
自国が不利になったときに使っても、
その兵器の性質上、自国の復興の障害が、
物質的にも政治的にもあらわれてしまう可能性が高いわけだし、
「使わずに済ませたほうがメリットは大きい」と、
判断することが容易だろうと。
そう判断するだけの知識を、既にその人は所有してるはずですし、
所有してなかったら、意識が変わるはずもないですし。

故に、
「平和なときに『二度と〜』という認識を持つ」だけで、
それで充分ではなかろうかと。そう思うであります。

ただ…
自分で書いててアレですが…

中途半端な知識しか持ってない状態でありながらも、
表面上は周囲に合わせて、
「二度と〜」という信条を持ってるかのように振舞ってる人のほうが、
むしろ、いざとなったとき、
使ってしまう可能性が高い気もしてきたでありますが…。
戦争は外交手段の一つ by がんした    2005/08/10 04:03
> 大勝した自慢
極論すれば「勝てば官軍」なのは、その通り。だけど、何処の国も戦争をしないで済めば、それに越した事はないと考えるし、
外交手段の一つでしかない戦争という状態が長く続けれる訳もなく、開戦と同時に終戦も考えるのが頭の良い指導者。
従って、近代戦争には暗黙のルール(守る or 守らない は別にして)がある。
それを破ったのが「原爆投下」であり「真珠湾攻撃」なので、どうしたって被害者側には
『アイツは、正々堂々とタイマンせずに、闇夜に紛れて後ろから不意打ちしやがった!』的、遺恨がある。

だから「リメンバーパールハーバー」には『真珠湾攻撃を忘れるな(怒』ぐらいの意味合いがあるから、他の局地戦での勝利と
同列に扱うのは無理があるわな。

> 「これはフェアじゃない」という反対意見があったと触れていたのですが、
原爆以前の問題点として、「軍人は意図的に民間人を攻撃してはいけない」のが暗黙のルールなので、
大都市爆撃自体が「戦争ではなく虐殺じゃねえ?」という批判は大きいです。故に「鬼畜ルメイ」なる単語が存在します。
http://ameblo.jp/moteur/entry-10001100155.html
みなさまのNHK by がんした    2005/08/10 04:20
> …『おしん』?
おしんに限らず、戦中戦後を舞台にしたヒロインの苦労話がメインなのはほぼ全てそう。
http://www.nhk.or.jp/pr/marukaji/m-asadra.htm

> そこそこやれる範囲で挽回(?)しようとしてるような印象もあります。
受信料納付者としては全然満足出来ないレベル。
せめてコレ↓ぐらいやって欲しい。

◆その時歴史が動いた 
『耐え難きを耐え、忍び難きを忍 〜三国干渉での戦争回避を英断した明治天皇〜』
http://66.102.7.104/search?q=cache:mtGpdq28FrUJ:www.ss.iij4u.or.jp/~nfuji/index.fuzoku2.htm+%E4%B8%89%E5%9B%BD%E5%B9%B2%E6%B8%89%E3%80%80%E8%80%90%E3%81%88%E3%81%8C%E3%81%9F%E3%81%8D%E3%82%92%E8%80%90%E3%81%88&hl=ja&inlang=ja

◆プロジェクトX その1
『いざ本土決戦! 〜松本大本営移転計画〜』
http://www.matsushiro.org/daihonei/index.htm

◆プロジェクトX その2
『敗戦!進駐軍を骨抜きにしろ! 〜特殊慰安施設協会(RAA)と女子特別挺身〜』
http://www.call-girl.jp/heikamon/heikamon_9_2.html
大都市爆撃自体が戦争ではなく虐殺 by mieki256    2005/08/10 22:38
> 故に「鬼畜ルメイ」なる単語が存在

その単語は知りませんでした。なるほど、そんな話もあるのか…

「日本の航空自衛隊の育成に協力した」という話が気になりましたです。
すると航空自衛隊は、太平洋戦争中の米軍の、爆撃関連ノウハウも
持っている可能性が高いということなんだろうか…?
仮にそうだとしたら、なんだかややこしい展開のような。

> 「軍人は意図的に民間人を攻撃してはいけない」のが暗黙のルール
> 大都市爆撃自体が「戦争ではなく虐殺じゃねえ?」という批判は大きい

なるほど。ましてや原爆投下ともなれば、という流れに当然なりますな…

先日TVで見た、被爆者と原爆関連科学者の対談(?)は、
やはり、どちらの主張も仕方ないことであるのだなぁ…
NHKの連続TV小説 = 少女漫画? by mieki256    2005/08/10 22:46
> おしんに限らず、戦中戦後を舞台にしたヒロインの苦労話がメインなのはほぼ全てそう

あ。なるほど。そういうことか…

連続TV小説の一覧を眺めていてふと思ったのですが、
もしかして最近は、過去の時代を舞台にした作品は少ない?
なんだか少女漫画との共通性を感じるような…
歴史が絡んだ作品は、ウケが悪い時代になってきたんですかね。

> せめてコレぐらいやって欲しい。

わ。全然知らない話ばかりです。
とりあえず、どれもこれも、
実際に流したら非常に刺激的な回になりそうですな。
視聴率がグンと上がってしまうかも。…苦情もグンと増えそうだけど。

戦時中の話を『プロジェクトX』で扱うのは、
そろそろタイムリミットかもしれませんね。
プロジェクトの実行者が存命であれば、『プロジェクトX』で扱えるけど、
既に故人の場合、『その時〜』が扱う範疇になるような気もしたり。

以上です。

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