mieki256's diary



2005/12/09(金) [n年前の日記]

#4 [anime] 「パルムの樹」を途中から見た

NHK-BSで流れてたらしいのだけど、知らなかった。30分ほど経過してから放映に気づいて、そこから鑑賞。

素晴らしい。邪悪だ。真っ黒だ。宮崎アニメや富野アニメとは違った邪悪さ。 *1 何にせよ、邪悪。全編あらゆる箇所で、邪悪。可愛らしいキャラなのに、邪悪。自分がこれまで目にしてきたアニメ作品の中で、おそらく1位2位に君臨するであろう邪悪さ。

これでもかこれでもかと児童虐待。あまつさえ児童のリストカット。何より主人公であろうパルムの物言いがサイコー、というよりサイコ。いい雰囲気になってきたかなー、と思うと即座に邪悪。綺麗な音楽が流れてきたなー、と思うとすぐさま邪悪。この病み方は尋常じゃない。たまりませんな。素晴らしい。

なんとなく、「ナウシカ」と「AKIRA」の混合のような印象もあったり。…坂口尚作品のビジュアルの影響があるような感もしたけど、それは気のせいかしら。何にしても、世界設定・背景設定等は物凄いことになってるなと。

コード、コード、コード。破壊、破壊、破壊。作画面もグー。コードフェチになりそう。というか触手フェチかしら。よくまあ、あんなに動かせるもんだなぁ…。触手ピノキオですよ。素晴らしい。

さておき。最初のうちは茶の間で親父さんと一緒に見てたのだけど。30分ほど経ったら親父さんから、「チャンネル変えよう」「何を言ってるかわからん」「宮崎アニメと全然違う。夢がない」「つまらん」「これ、10:00までやるのか。勘弁してくれ」との苦情が。…うむ。やっぱり映像美だけでは、フツーの客を繋ぎとめておけない感も。

なんとなくだけど、商品として成立させるための最低限の部分を端折ってる気がしたり。 :

いや、最初のあたりを見逃してるから、頓珍漢な感想かもしれんけど。

つまりは、設定や用語の、最低限の解説が足りてないような感が。…富野アニメもそういうところがあってよろしくないと思ってたりするのだけど、「その世界に生きてるキャラクターにとっては自明のこと」であっても、「観客にとっては自明のことではない」わけで。そこを送り手は意識しておかないといかんのでは、と。

娯楽映像作品が楽しませるべき相手は観客なわけですよ。その世界に生きてるキャラクターを「それらしく描写する」「それらしく振舞わせる」 ―― そのこと自体は、「最終的に観客を楽しませることに繋がる」からそうするのであって。その目的を忘れ、「それらしく」を追求して、そのことで観客を置いてけぼりにしていたら、それはもう本末転倒だろうと。画面の中で何が起きてるのか、○○とは何か、コレって現実世界に存在するアレと似たようなものじゃないか ―― 最低限、せめてこのぐらいは観客に情報を与えておかないといかんよな、というレベルは確固として存在するのでないかな、と思ったりもするのでした。で、そこらへんの見極めを、監督さんがどの程度できていたのか、「それとなく伝える」ための手管についてどれだけ意識して身に着けようとしてきたのか、ちょっと疑問に思ったり。

でもまあ、最初から商品として成立させるつもりはなかったような印象も受けたので、この作品に関してはどうでもいい問題かもしれず。代数読みができる客ならついてくるだろうし。それはそれで。

*1: いや、富野監督の無自覚な邪悪さ、あるいは富野監督が意図的に抑えている邪悪さを、あえて明確にした感もあるんだけど。

以上です。

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