2014/03/13(木) [n年前の日記]
#1 [anime][comic] イマジナリーライン云々
なんだか昨日、Twitter上でイマジナリーライン論争が発生していたそうで。そういうテクニックがあるんだよ、と知られることはいいことかもしれんなあ、と思ったりして。
とりあえず、「こうすればコマ割りがよくなるよ」と提示した教材が、迂闊にイマジナリーライン越えしてるように見えたら、そりゃあかんですわな。そこも修正しておくか、あるいは、「これはこれで別のマズイ点がありますよ。それは…」と言及しておかないと。でもまあ、その程度で済むような話のような気もしたり。
とりあえず、「こうすればコマ割りがよくなるよ」と提示した教材が、迂闊にイマジナリーライン越えしてるように見えたら、そりゃあかんですわな。そこも修正しておくか、あるいは、「これはこれで別のマズイ点がありますよ。それは…」と言及しておかないと。でもまあ、その程度で済むような話のような気もしたり。
◎ なんだか色々思い出したのでメモ。 :
そういや昔、ヤマカン(山本寛)監督が、何かの記事で、イマジナリーラインを否定してたっけなー、と思い出したり。
監督曰く。「アレは、映画なんか滅多に見たことが無い昔の人達を混乱させないためのテクニック」「今は誰だって映像作品を浴びるように見てるのだから、イマジナリーライン越えしたって混乱なんかしない」「そんなルール守ってても意味が無い」とかなんとか。
それはそれで一理ある。と当時は思ったけど。ちと乱暴な考えだよなと今は思えていて。誰もがヤマカン監督のように映像オタクではない ―― 全ての観客が映像を浴びるように見てるわけではないからで。
例えば、戦隊シリーズ、ライダーシリーズ、ウルトラマンシリーズは、小さい子供達も見ているし。少年漫画や少女漫画だって、もしかすると幼稚園児〜小学生が読んでるかもしれない。彼等が、今まで浴びるように映像作品・漫画作品を見てきた層かといえば、それは違うよなと。
そう考えると、初めてそのジャンルに触れる人でも混乱しないような、コンテ・コマ割りを意識して書かなきゃいけない場面も、やっぱりまだまだあるだろうなと。…まあ、一般向けの作品もちゃんと作ってきたヤマカン監督のことだから、たぶんここらへんまで言及してたのかも。自分が読み飛ばしちゃっただけで。
たしか、仮面ライダー555でも、そのあたり意識したことがあったなーと思い出したり。
誰もが御存知の通り、仮面ライダーは基本的に右から左へ、上手から下手の方向で怪人を攻撃することが多いわけですが。ライダー555がライダーキックをする時は、ちょっと困ったことになっちゃって。
ライダーキックの直前、右足首につけたアイテムから謎ビームを出すのですけど。右足首を映さないと何が起きてるか分からないから、そのカットだけ、ライダーの右側から捉えたカットになる ―― 突然ライダーが左→右を向いちゃって。しかもライダーキックを決める瞬間は、また右→左に戻っちゃう。イマジナリーライン越えが起きてしまう…。
田崎監督が担当した1〜2話は、そのへん無頓着にイマジナリーライン越えしちゃってて、素人の自分ですら、「あー、今何をやってるか分からなかったぞ。これはマズいぞ」と思ったのですが。さすがにスタッフも問題に気付いていたのか、その後に続いた石田監督担当回ではちゃんと策を出してきて。イマジナリーライン越えする直前、空中回転するライダーを真正面から捉えたカットをほんの一瞬挿入して、見事に問題解決。しかもその後の回は、「こういう解決策もあるよ」「こんな解決策もあります」と、色んなカットの繋ぎ方・様々なカメラワークが披露されて、「いやはや。さすがプロ。こんなに手管を持ってるのだなあ」と感心した記憶がありまして。
ということで、そのへんのテクニックを学びたかったら、ライダー555はオススメ。アレを一通り見るだけで、先輩達の技を盗めるぜ。みたいな。
そういやゲド戦記でも、「ゴロー監督の描いたコンテがイマジナリーライン越えをしてる」「コイツは映像制作の基本も分かってない」と叩かれたことがあったっけ…。コンテの前後を見る限り、コレでキャラの位置関係が分からない人は居ないだろ、これは問題ない事例だろと自分は思ったものですが。
フツーの会話シーンなどは、1カットが長いから、イマジナリーライン越えしていても比較的OKなのだろうなと。読者・視聴者は各カットをじっくり見れるから、位置関係の把握をやり直せる。これは問題にはならない。
ただ、アクションシーンのように次々にカットが切り替わっていって、瞬時に何が起きてるか伝えなきゃいけないシーンとか、危機的状況を伝えて緊迫感を出したいシーンなどでは、無意味に読者・視聴者を混乱させる要素は排除しておいたほうがいいわけで。作り手側は、肝心要のアクションその他に注目させて楽しませたいと考えてるわけですから…。
ということで、「イマジナリーラインは絶対に越えちゃいけないのだ」てのも間違ってるし、「イマジナリーラインなんて意識しなくていいのだ」てのも間違ってて。結局はケースバイケースだよなと。
もちろん、知識として持ってなかったら、「ここはイマジナリーラインを守ったほうがいいなー、見てる人が混乱しちゃうもんなー」と気づくことすらできないので、知ってて損はない話だろうと。知っているけどあえて使わないのと、知らないから使えないのは、違うよなと。
てな感じのことを論争してたのかなと想像するのですけど、どうなんでしょうかね。元の論争のソレは長くて読むの諦めました…。
監督曰く。「アレは、映画なんか滅多に見たことが無い昔の人達を混乱させないためのテクニック」「今は誰だって映像作品を浴びるように見てるのだから、イマジナリーライン越えしたって混乱なんかしない」「そんなルール守ってても意味が無い」とかなんとか。
それはそれで一理ある。と当時は思ったけど。ちと乱暴な考えだよなと今は思えていて。誰もがヤマカン監督のように映像オタクではない ―― 全ての観客が映像を浴びるように見てるわけではないからで。
例えば、戦隊シリーズ、ライダーシリーズ、ウルトラマンシリーズは、小さい子供達も見ているし。少年漫画や少女漫画だって、もしかすると幼稚園児〜小学生が読んでるかもしれない。彼等が、今まで浴びるように映像作品・漫画作品を見てきた層かといえば、それは違うよなと。
そう考えると、初めてそのジャンルに触れる人でも混乱しないような、コンテ・コマ割りを意識して書かなきゃいけない場面も、やっぱりまだまだあるだろうなと。…まあ、一般向けの作品もちゃんと作ってきたヤマカン監督のことだから、たぶんここらへんまで言及してたのかも。自分が読み飛ばしちゃっただけで。
たしか、仮面ライダー555でも、そのあたり意識したことがあったなーと思い出したり。
誰もが御存知の通り、仮面ライダーは基本的に右から左へ、上手から下手の方向で怪人を攻撃することが多いわけですが。ライダー555がライダーキックをする時は、ちょっと困ったことになっちゃって。
ライダーキックの直前、右足首につけたアイテムから謎ビームを出すのですけど。右足首を映さないと何が起きてるか分からないから、そのカットだけ、ライダーの右側から捉えたカットになる ―― 突然ライダーが左→右を向いちゃって。しかもライダーキックを決める瞬間は、また右→左に戻っちゃう。イマジナリーライン越えが起きてしまう…。
田崎監督が担当した1〜2話は、そのへん無頓着にイマジナリーライン越えしちゃってて、素人の自分ですら、「あー、今何をやってるか分からなかったぞ。これはマズいぞ」と思ったのですが。さすがにスタッフも問題に気付いていたのか、その後に続いた石田監督担当回ではちゃんと策を出してきて。イマジナリーライン越えする直前、空中回転するライダーを真正面から捉えたカットをほんの一瞬挿入して、見事に問題解決。しかもその後の回は、「こういう解決策もあるよ」「こんな解決策もあります」と、色んなカットの繋ぎ方・様々なカメラワークが披露されて、「いやはや。さすがプロ。こんなに手管を持ってるのだなあ」と感心した記憶がありまして。
ということで、そのへんのテクニックを学びたかったら、ライダー555はオススメ。アレを一通り見るだけで、先輩達の技を盗めるぜ。みたいな。
そういやゲド戦記でも、「ゴロー監督の描いたコンテがイマジナリーライン越えをしてる」「コイツは映像制作の基本も分かってない」と叩かれたことがあったっけ…。コンテの前後を見る限り、コレでキャラの位置関係が分からない人は居ないだろ、これは問題ない事例だろと自分は思ったものですが。
フツーの会話シーンなどは、1カットが長いから、イマジナリーライン越えしていても比較的OKなのだろうなと。読者・視聴者は各カットをじっくり見れるから、位置関係の把握をやり直せる。これは問題にはならない。
ただ、アクションシーンのように次々にカットが切り替わっていって、瞬時に何が起きてるか伝えなきゃいけないシーンとか、危機的状況を伝えて緊迫感を出したいシーンなどでは、無意味に読者・視聴者を混乱させる要素は排除しておいたほうがいいわけで。作り手側は、肝心要のアクションその他に注目させて楽しませたいと考えてるわけですから…。
ということで、「イマジナリーラインは絶対に越えちゃいけないのだ」てのも間違ってるし、「イマジナリーラインなんて意識しなくていいのだ」てのも間違ってて。結局はケースバイケースだよなと。
もちろん、知識として持ってなかったら、「ここはイマジナリーラインを守ったほうがいいなー、見てる人が混乱しちゃうもんなー」と気づくことすらできないので、知ってて損はない話だろうと。知っているけどあえて使わないのと、知らないから使えないのは、違うよなと。
てな感じのことを論争してたのかなと想像するのですけど、どうなんでしょうかね。元の論争のソレは長くて読むの諦めました…。
[ ツッコむ ]
#2 [anime] ダラッとした動きのアニメ
BS11で「ソウルイーター」なるアニメが放送されているのですけど。随分前に放送されてたアニメらしいですが。新作の宣伝を兼ねて放送してるのかな、と想像しながら眺めていたり。
そのアニメのOP映像が、なんだか気になっているのです。
TMRが歌うノリノリのOP曲。どこかエッジの効いたキャラの描線。そこらへんは、実にイイ感じ。また、背景動画を多用してるあたり、「手描きでガンガン動かしたい」てな意思が見える気もして、そこらへんも好印象なのですが。
しかし、動きが…。全ての動きがダラッとしてるというか、ナメクジっぽいというか、キレが皆無というか。まるで、3DCGツールでキーフレーム間を自動補間した時の動きに似ているとでもいうか。たしかに動いてはいるけど、ただそれだけ。動いてるだけ。気持ち良くない。なんでこんな動きにしちゃったんだろう…。
見てるうちに、板野サーカスで有名な伝説のアニメーターさん ―― 板野一郎氏のエピソードを思い出しちゃったりして。
昔、ガンダムだかイデオンだかを作ってた頃、板野氏がキレキレの動きのタイムシートを書いたのだけど。それを作監さんがつまんない動きのタイムシートに修正しちゃって。そのことに不満を持った板野氏は、作監さんの目を盗んでこっそり元に書き戻してそのまま撮影させちゃった。試写の際、気づいた作監さんから睨みつけられたけど、富野監督が「今のカット、いい動きだね! 誰が描いたの?」と喜んでくれて。板野氏は、「ホラ見ろ。こっちの動きのほうがよかっただろ!」と心の中でドヤ顔。…みたいな話だそうで。たしか、WEBアニメスタイルあたりで読んだ気がします。違ったかな。大体こんな話だったような。
その話から想像するに、アニメーターさんの中には、動きのタイミングについて分かってる人と、分かってない人が居るんだろうなと。
で、もしかして「ソウルイーター」のOP映像って、その、ベタッとしたタイムシートに修正しちゃった作監さん、みたいな人が作監してたのかなー、などと失礼ながら邪推しちゃたりして。作監をするぐらいだから止め絵はめちゃくちゃ上手いんだろうけど、動きはイマイチな人って居たりするんだろうなと。
いや。それとも、わざとやってたのだろうか。かもしれん…。
件のOP映像は、執拗にきっちりと原動画を描いているのですが。自分の中では、「GJ部」のED映像みたいに、原画2枚をパカパカさせてるだけなのに、撮影段階で拡大縮小させてリズムを取らせてる映像のほうが、まだ全然まともに動いてるように思えてしまったり。ソレを考えると…。アニメ映像の面白さって、人間の錯覚を利用してるあたりでしょうけど。真面目に、均等に、丁寧に、動画だか中割りだかを描けばいいってもんでもないのかもしれんなと。ていうか、そういうベタッとした動かし方をしたいなら、CGの自動補間が最強なので…。手描きで動かす意味が無くなってしまうよなと。
そんな感じで、アニメ映像の魅力って何だろう、てなことを素人の分際で生意気にも思いつつ件のOP映像を眺めてます。てなだけの話でした。
そのアニメのOP映像が、なんだか気になっているのです。
TMRが歌うノリノリのOP曲。どこかエッジの効いたキャラの描線。そこらへんは、実にイイ感じ。また、背景動画を多用してるあたり、「手描きでガンガン動かしたい」てな意思が見える気もして、そこらへんも好印象なのですが。
しかし、動きが…。全ての動きがダラッとしてるというか、ナメクジっぽいというか、キレが皆無というか。まるで、3DCGツールでキーフレーム間を自動補間した時の動きに似ているとでもいうか。たしかに動いてはいるけど、ただそれだけ。動いてるだけ。気持ち良くない。なんでこんな動きにしちゃったんだろう…。
見てるうちに、板野サーカスで有名な伝説のアニメーターさん ―― 板野一郎氏のエピソードを思い出しちゃったりして。
昔、ガンダムだかイデオンだかを作ってた頃、板野氏がキレキレの動きのタイムシートを書いたのだけど。それを作監さんがつまんない動きのタイムシートに修正しちゃって。そのことに不満を持った板野氏は、作監さんの目を盗んでこっそり元に書き戻してそのまま撮影させちゃった。試写の際、気づいた作監さんから睨みつけられたけど、富野監督が「今のカット、いい動きだね! 誰が描いたの?」と喜んでくれて。板野氏は、「ホラ見ろ。こっちの動きのほうがよかっただろ!」と心の中でドヤ顔。…みたいな話だそうで。たしか、WEBアニメスタイルあたりで読んだ気がします。違ったかな。大体こんな話だったような。
その話から想像するに、アニメーターさんの中には、動きのタイミングについて分かってる人と、分かってない人が居るんだろうなと。
で、もしかして「ソウルイーター」のOP映像って、その、ベタッとしたタイムシートに修正しちゃった作監さん、みたいな人が作監してたのかなー、などと失礼ながら邪推しちゃたりして。作監をするぐらいだから止め絵はめちゃくちゃ上手いんだろうけど、動きはイマイチな人って居たりするんだろうなと。
いや。それとも、わざとやってたのだろうか。かもしれん…。
- 作品の世界設定もキャラ設定も妙な感じのソレだから、動きもナメクジっぽくして気味悪さを出そう、とか。
- 当時、ボンズ内では、そういうダラッとした動きがブームだった、とか。
- TV東京はポケモンフィルタが厳し過ぎて、キレキレのOP映像には全部フィルタがかかりそうだから、泣く泣く抑えた動きにした、とか。
- ノリノリの曲に合わせて動かそうとしたけど、タイミングを合わせるノウハウが無くて、なんだかダラッとしちゃった、とか。
- 当時は、動きをつけるために崩したコマすら「作画崩壊」と言い出すアレな人が多くて、絶対に文句を言わせないぞ、と頑張ったら動きのキレが全部消滅しちゃった、とか。
件のOP映像は、執拗にきっちりと原動画を描いているのですが。自分の中では、「GJ部」のED映像みたいに、原画2枚をパカパカさせてるだけなのに、撮影段階で拡大縮小させてリズムを取らせてる映像のほうが、まだ全然まともに動いてるように思えてしまったり。ソレを考えると…。アニメ映像の面白さって、人間の錯覚を利用してるあたりでしょうけど。真面目に、均等に、丁寧に、動画だか中割りだかを描けばいいってもんでもないのかもしれんなと。ていうか、そういうベタッとした動かし方をしたいなら、CGの自動補間が最強なので…。手描きで動かす意味が無くなってしまうよなと。
そんな感じで、アニメ映像の魅力って何だろう、てなことを素人の分際で生意気にも思いつつ件のOP映像を眺めてます。てなだけの話でした。
◎ 2014/03/15追記。 :
[ ツッコむ ]
以上、1 日分です。