mieki256's diary



2007/09/16() [n年前の日記]

#3 [anime] _世の中には絵の描けないアニメーターというのも多数存在している。

演出・コンテ担当者から見た、アニメーターの画力のなさに対するぼやき記事。かしら。

素人なりになんだか考え込んでしまう。 :

全てが3DCGによる作画・動画に置き換われば解決するところもあるのだろうなぁ。いや、それはそれで、別の技術的課題が発生して右往左往するのだろうけど。

各分野の技術向上・クオリティ追及をおろそかにしてもいいという前提があるなら、解決策もあるのだろうかと妄想。パースを意識せずに作画できるコンテ・レイアウト・作品世界にしちゃうとか。バンクをとにかく多用するとか。全身は極力出さずに、手・足・目等、体の一部分の画を多用するとか。人物を描かず、エフェクトと背景画のみでカットを繋いじゃうとか。縦線と横線だけを画面に出したり、脚本をそのまま画面に出したりとか。<どこかで見たぞ。

細田守の同ポ多用なんてのは、もしかするとそういった撤退戦?の中から生まれてきたものなんだろうか。…そういやあの人は、元々アニメーターだったか。原画・動画・レイアウトの作業を経験してるからこそ、どこにリソースを再配分するかについて再考できる視点を持てたのかもしれないか。 *1 …いや、学生時代からそういう演出方法を意識してた可能性も。となるとアニメーター体験はあまり関係なかったりして。知らんけど。

画に関して独自性を持つ演出・表現手法は、アニメーター出身者からしか生まれてこないてな状況があったらなんだか面白いかもしれない。や、そんなわけないと思うんだけど。…たとえば _出崎演出における代表的な技法・手法 はどういう過程で生まれてきたのか等、ちょっと気になったりもする。 *2 む。Wikipediaを読む限りでは、出崎氏は元々プロの漫画家だったのか。だから劇画的な表現手法を考案できたのかしら…。

漫画絵と言うのは基本的に「パターン化」によって描かれるけれど、その「パターン化」を成そうとする流れ自体が、細田演出や出崎演出のソレにも見られるような気もしてきた。元々漫画絵を描く人間は、演出・コンテにおいても「パターン化」をしたくなる傾向があったりはしないだろうか。…となると、絵を描かない人間が描いたコンテに対して、アニメーターは不満を持ってたりするのかもしれない。「どうしてカメラ位置が特に理由もないままあちこちに動くのか」「どうして似たような構図が出てこないのか」等々。無意識下で、コンテの中にパターンが存在することを望んでたりして。いや、勝手な想像ですけど。まったく根拠なし。

1stガンダムの頃は、MS戦のシーンで背景がいきなり模様?になるといった見せ方も頻繁にあったような気もする。少なくとも該当カットにおいては、背景とのパースの整合性は取らなくてもいいのだろうな。ああいう画作りは今でも生き残っているのだろうか。アレって、登場人物の心情を画で表現するとか、注目してもらいたい対象のみを画面に残すことで観客の心理を誘導するためにやってると思うのだけど。アニメの作画というものが現実のソレのデフォルメであるとしたら、1stガンダムに見られたソレは、演出におけるデフォルメに相当するのだろうな。…背景がなくなるのが昔の演出なら、新海監督の見せ方 ―― 人物がなくなり背景だけを見せたりするのは、今風の演出・画作りだったりするのだろうか。

矛盾のない画面を作りたいなら、実写か3DCGに進むべきなのかもしれないと思ったりもする。人間の手が描き出すものは、必ず歪みが残るし。その歪みを抹殺していくことが映像制作においては必ずしも正義であり進歩なのだろうか。現実の風景の模倣をしたいなら、現実をそのままカメラに収めたほうがてっとり早くないか。もしくは計算機で生成したほうが理想的な画を得られるのではないか。…でも、今の視聴者の大半は、どのみち歪みを許容しない感もあるし、実写映像が含まれたアニメ作品にえてして批判的だったりもしそうだし。すると行く着く先はロトスコープか。まあ、3Dモデルとモーションキャプチャーという、デジタル版ロトスコープに落ち着くのだろうけど。

_タップ割り もある種のロトスコープと呼べるのかしら。全然違うか。…デジタル技術を利用した次世代タップ割りとかできないかしら。や、そういうフレーズを思いついたので書いてみただけです。具体的イメージが湧きません。

どうしても作画関連にのみ注目してしまうあたりが素人なんだろうな。>自分。映像の場合、撮影段階で工夫できることも多いはずなのに、そっちにはまったく意識がいかない。…たとえば、「電脳コイル」あたりを見ていると、デジタル撮影・合成が作画を補完・補強してるところが多々あったりもするし。本来、映像表現手法というものは、そこらへんまで意識して捉えないといけないのだろうと想像したりもする。

オチはないです。

_出崎統演出作品愛好研究会 :

それにしても、アトムの作り方って、徹底していますね。さきほども書きましたがほとんど止め絵(絵で動いているのは、口だけ)で、最後のほうでアトムが活躍する場面だけは動かす、という手法がいい効果をあげています。最初から、全編を動かすのは無理だという前提で作ってますから、絵の見せ方や物語の進め方など、非常にうまい(極端に言えば、今のアニメの動くだけとか特殊効果だけとかいうのよりはずっと見ごたえがある)と思います。もしかすると、出崎さんの演出もこのアトムで研究したのではないでしょうか?

出崎統演出作品愛好研究会 より

興味深い。リソースに限界があることを意識せずにはいられない、そんな環境に置かれていたために、技法を生み出していくことにつながった、ということなんだろうか。

*1: 同ポ多用は、該当カットのレイアウトを通常時よりしっかりと綿密にやっておく必要があるので、結局は画力のあるアニメーターが居ないと実現できない。という話なのであくまでリソースの再配分であり作業量を減少させるための試みではないのだろうと想像。
*2: 「出崎演出」と言った場合、必ずしも映像的なソレを指すだけではない場面もありそうなので、どういう呼称を用いるべきかはちょっと悩む。

以上です。

過去ログ表示

Prev - 2007/09 - Next
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

カテゴリで表示

検索機能は Namazu for hns で提供されています。(詳細指定/ヘルプ


注意: 現在使用の日記自動生成システムは Version 2.19.6 です。
公開されている日記自動生成システムは Version 2.19.5 です。

Powered by hns-2.19.6, HyperNikkiSystem Project