mieki256's diary



2012/06/12(火) [n年前の日記]

#2 [anime] 京アニ作品は凄いな…

「氷菓」を見ていてクラクラしてきた。一見すると地味な印象だけど、細部の作り込みが…。ほぼ全カットに何かしらの工夫が盛り込まれている。とんでもない密度、のような気がする。京アニ作品は凄い。「今頃何言ってんだ」と言われそうだけど。

「私、気になります」のカットに感心。所詮は人が描いた絵に過ぎないはずなのに、眩しい…。おそらく主人公視点ではこう見えるというカットだろうけど。キラキラした瞳でそんなに見つめるな、眩し過ぎる、疲れるからやめてくれ、そんなに顔を近づけるな、わかったわかりました、やりますよ、と困惑して依頼を引き受ける主人公の気持ちが伝わってくる。この少女は、主人公が絶対この謎を解いてくれるはずだと完全に信じ切ってるのだろう、怠惰な主人公もこんな目で見つめられたら動くしかないわなあと、たったの1カットで納得できるほどに説得力に満ちた画が、ほぼ毎回、しっかり出てくるあたりがとんでもないなと思う。

会話のテンポも絶妙。「〜だと思いませんか?」「(思いません)」てなやりとりですら、その間(?)の取り方だけで笑ってしまった。間髪入れずに返すから、バッサリ切って捨てている感が強烈で。…考えてみると、それらやり取りをする際、主人公はえてして心の声、モノローグ?で返す。口パクが無い。その分、アフレコ時だか編集時に、間を詰めるよう演技を要求したり、機材でタイミングを調整しやすくなりそう。もしかすると、脚本やコンテ段階で、後から調整しやすくなるよう、口パクの有無や表情の見える角度を計算しながら書いていたりしないか。と、思えてくるほどに絶妙なタイミングが多く。時間制御の上手さ、細やかさを感じる。

ネタバレになるけれど、 温泉旅行の回のラストには唸ってしまった。それまで、 姉妹・兄弟なんてそんなにいいものじゃないと思わせる方向で会話を進めておきながら。 妹を背負う姉、鼻緒が切れた草履(?)のカットと、 心配そうな幼女らしい声で「イケる?」の台詞。説明に要したカットは2カット。使った台詞は一言。たったそれだけで雰囲気を180度変えた、その見せ方にシビレた。…原作から改変・追加した部分らしいけど。自分は、これは全然アリだと思った。少女が持っていた、お花畑な理想を全否定したわけでもなく。少年が語った、殺伐とした関係を全肯定したわけでもない。0/1ではないと思わせて、見ているこちらも少し嬉しくなって終わらせるあたりが実にいい。作画や演出に負けじと脚本面も工夫している、ような気がする。

なんというか、京アニは、間違いなく映像作品を作っているスタジオだと思える。 *1 映像だからできること、映像じゃなくてもできること、色々あるわけだけど。総合芸術だからこそできる見せ方や伝え方を、京アニ作品は駆使している印象。素晴らしい。

しかし、こんな作り方していて、持つのかなあ…。

これが全部CGだったら、自分はどう感じるのだろう。手描きアニメだから感心しているのだろうか。…CGになっても変わらないかもしれない。PIXAR作品も、毎回作り込みの凄さに仰天してるし。神は細部に宿る。PIXARも、スタジオジブリもそうだけど、京アニも毎回それを実証してる気がしてる。…とにかく頭が下がります。素晴らしい。
*1: アニメスタジオなのに何を言ってるんだと思われそうだけど、つまりは、アニメが総合芸術であることを意識しないまま、漫然と作ってるスタジオ/作品/演出家/脚本家がたまに目につくなあ、という話で。スピリッツはあるけど技術が追いついてないだけなのか、そもそもスピリッツが無いのか、単に自分の観察眼がダメダメなのか、分からないけれど。

以上です。

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