mieki256's diary



2015/10/01(木) [n年前の日記]

#1 [cg_tools][neta] トレパクキメラと多関節スプライトエディタとバンクシステム

_トレパクキメラなる画像 をたまたま見かけたのですけど。自分、ちょっと感動してしまったのです。これはスゲエ。夢が広がりんぐな画像だと。 *1

「ちょっと待てオイ。そこは感動するところじゃなくて呆れるところだろ」と言われそうだけど。自分は、多関節スプライトエディタとか、アニメのバンクシステムとか、そういうのに興味がある人なので、そういう視点で見ると唸るところもあるというか。

多関節スプライトエディタとの共通点。 :

件の画像は、色んな絵の各パーツを切り出して、回転拡大縮小して組み合わせてるわけですけど。多関節スプライトエディタも、パーツを回転拡大縮小して、新しいポーズ・連続した動きを作るという点では発想が同じなわけです。

「ケッ。そんな切り絵アニメっぽいやり方じゃ、どうせショボいモノしか作れねえよ」と一般的には思われそうなものだけど。しかし、件の画像をじっと見てると、「そのやり方は使い物にならねえ」と決めつけるのは早計だなと。パーツの選択、そして組み合わせ方次第で、ここまでそれっぽくなるのだ、極めればイケるのだと見事に実証してくれてるわけで。

更に、回転拡大縮小のみならず、パーツ単位で自由変形まで可能にすれば…。これはかなりのところまでイケそうな予感。

とまあ、そういう視点で眺めると、夢が広がる画像だと思ったのでした。もっとも、パーツの自由変形までやってみたのが _Live2D なので、そのやり方でも結構イケるのは既に実証済みだったりするのですけれど。

バンクシステムとの関連性。 :

もう一点。これはもしかすると、アニメのバンクシステムを更に発展させられる可能性を示唆した画像かも、と。

バンクシステムってのは…。昔のアニメは、結構凝った作画を ―― ロボットの変形合体シーンや、ヒーローや魔法少女の変身シーンを、一度描いたら何度も使い回して流してた。それを「バンクシステム」と呼んでいたのです。

ただ、昔はアナログなやり方でアニメを作ってたから、カット単位でしかバンクが使えなくて。しかし今はデジタル技術がある。デジタルの得意技はコピペですよ。今ならパーツ単位でバンクシステムが作れるんじゃないか、そのぐらいコピペが容易になったし。などと自分は夢想してたりするのです。

まあ、パーツ単位のバンクシステムなんて、絵描きさんからは「そんな面倒臭いことやってられるか」「描いたほうが早い」と言われて絶対に全否定されちゃうんですけど。

しかしさすがに、昨今のアニメの作画密度になってくると、「描いたほうが早い」の一言で片づけられない状況になってきている印象も。何せTVアニメで、 _こんな動き を目撃しちゃう時代ですから。…韓国だか中国に、タップ割りが達人レベルに達した動画さんが居る、と動画検査の方がtwitterでつぶやいてるのを見た記憶がありまして。それは無理だろってカットも、タップ割りを駆使した動画で上げてくる。もちろん出来は酷くて使えないので丸々描き直しになるからヤメロー、という話になってましたが。

そこで言ってるタップ割りって、要はパーツ単位のコピペだよなと。それって、適用範囲を1カット内に制限して、処理対象をパーツ単位まで絞ってみたバンクシステム、みたいなものではないのかと自分は思ったのですけれど。

ということで、他の絵描きさんが描いた各パーツを組み合わせてここまでそれらしくできるなら、これはおそらくアニメ制作にも同じ方法が使えるのだろうなと。本腰入れて使おうとしてないからノウハウ溜まらなくて酷い結果になってるけれど、本気で取り組めば実はそこそこ使えたりしないか、だってここまでやれるんだよ、と素人考えで妄想を。キャラデザの人が描いた設定画から各パーツをコピペして回転拡大縮小自由変形していけば作画崩壊がどうとかまず言われない予感も。

もっとも、そういうことを可能にするためには、元の設定画をベクターデータで描いておいて、拡大縮小しても後から線の太さを一定に調整したりできないとあかんやろとか、2D的な中割りならPCで自動生成できたほうがいいだろなとか細かいことも考えちゃうわけですけど。そのへん進めていくと、結局は _ボーンを仕込んで動かせる海外製アニメ制作ソフト でええやんってことになりそうですが。

使う素材によってはOKになる可能性。 :

さておき。そういった視点で見て、「これは凄い画像だ」「実は色々な可能性を示してくれているのでは」と感心したのですけど。

しかし、他の絵描きさんが描いた絵をコピペだかトレスだかしている点は、現代においてはもちろん完全アウトなわけで。

逆に言うと、自分が描いた絵をコピペして使う分には、こういうやり方で作っても全然OKなんだよなあ、と…。まあ、漫画家さんが以前描いた背景をコピー機でコピーして原稿に貼って使い回したり、なんてことはデジタル機器が無かった時代からフツーにやってたことなので全然OKと既に分かってるわけですけど。

あるいは、完全に著作権が切れてる絵画を切り張りして、そこから新しい画を作るのも全然OKだよなと。実際、 _浮世絵をGIFアニメにした例 はアート作品として扱われてる節が。他者が描いた絵をコピペして作品を作っても、称賛されちゃう場面だってあるわけで。

何にせよ、興味深い画像だな、色々応用できそうだなコレ、と。「トレスだパクリだ許せねえ」で思考が止まってたら、ちともったいない出来の画像だよなあ、てなことを思いました。とメモ。

おそらく今後、こういう種類の能力を活かして飯を食うクリエイターさんがどんどん増えてくるのかもしれないな、みたいなことも思ったり。静止画の世界でもDJっぽい職業が…。いやまあ、フォトレタッチ作業が既にそういうアレなのかな…。

*1: いやまあ、ネタじゃなくて本当にこういうことができるなら、という前提ですけど。世の中には _声優さんの顔が鎌倉時代の仏像のトレパク と言い出しちゃうネタ画像もあるし…。

以上です。

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