mieki256's diary



2007/03/13(火) [n年前の日記]

#6 [zatta] 売春婦って、肉体労働者のそれとは、何か違うんだろうか

まあ、何でもいいんだけど。自分には、そういった職業とたいして違いはないように思えていて。「主に肉体を使った労働力を提供することで賃金を受け取ってる」ということについて違いはないだろうし。であれば特定の職業を差別するのもおかしな話だよなと。どれも社会を構築・維持していく上で必要な職業であり、そこに貴賎なんてものはない。どれも大事な仕事・職業。

売春婦を差別するのと同時に、床屋さんも、マッサージ師も、看護婦も、「不特定多数に肉体的に接触してる職業だから汚らわしい!」的論でも張って、すべからく差別でもしてるなら、まだその論に整合性はあるような気もするけれど。別にそういうわけでもなさそうだし。

合法か非合法か、という違いはあるか。でも、そもそも法がおかしいし。それについては後述。

_差別は常に悪とは限らない :

_Je vous en prie - 差別発言最終章

職業差別のほうが、売春云々より、いかん気がする。前者のほうが、被害を与える・トラブルを起こす・適用できる範囲が広いから、よほど悪質な行為じゃないのかな。

「職業差別と言われても、${"YOUの職業"} は心の底から軽蔑すべき職業なのです」
「自分の子供には、${"YOUの職業"} に、ついてほしくありません」
と周囲から言われても文句が言えなくなったりもするし。自分が同じようなこと言ってたんでは、相手に、それをするなとは主張できん。自分の行為を棚に上げて主張できるのはジャイアンぐらいなもんで。

ふと、円谷英二も職業差別を受けてたことを思い出した。 :

昔、円谷英二が、福島県須賀川市の実家に帰省した際。「映画人なんてろくでもない仕事につきやがって、お前はこの家の恥さらしだ! 家の敷居をまたぐな!」的叱責を親戚から受けたとも聞くわけで。…職業差別だよな、ソレ。 *1 …円谷英二が親戚から差別されなきゃいけなかったその理由って、一体何ですかね。 *2

そういや、職業差別ではないのだろうけど。 _「10万人の宮崎勤がいます!」 なんて話もあったっけ。アニメや漫画を見てるだけなのに、犯罪者予備軍扱いされたのは、なんというか、泣きたくなったな。

今の感覚からすると、どちらも「何だそりゃ」だろうけど。当時の人達にとっては「当たり前」な感覚だったんだろうな。何がどのように「当たり前」だったのか、当時の人達に尋ねてみたい気もする。たぶん答えられんと思うけど。

で、似たようなことを自分自身もしてたりしないだろうかと不安になったりもするわけなんですけど。どこかでやってそうで怖いんだよなぁ。

全然関係ないけど。 :

某T氏なら、「売春婦は少数派ですから。絶対多数から攻撃されるのは当たり前です。絶対多数はそのことについて根拠ある論理など持ち合わせていません。彼らは愚衆ですから」とかそういうことを言いそうだなと思ったり。

少数派・多数派ってのも関係してるんだろうな。多数派の意見なんだからこれが正解なんだ、てなことを自身の論の根拠にしてる人も中には居るのかもしれん。

そういや、どこぞの主婦がカレーに砒素入れたことがあったっけ。だからといって、スーパーやデパートの特売日等に、「ここにン万人の○○○がいます!」とは言われなかったなぁ…。

更に全然関係ないけど。 :

仮にマルチ *3 が実用化・市販されたら、このあたりの差別意識ってのはどのような変化をするのだろうと妄想したり。開発に携わった人間、製造した企業は差別されるのだろうか。そこでどれだけ高度な技術が用いられてたとしても、世界に類を見ない画期的な技術が導入されていたとしても、差別されるのだろうか。…されるかもしれんなぁ。

法がそもそもおかしいよな。 :

問題があるから全面禁止、ってのは、おかしい。

例えば、アニメーターから、「労働条件が厳しい」という文句が出たとする。で、ソレを聞いた国が、「なるほどそれは問題ですね。では、『アニメを作ること』を法律で禁止しましょう! これで問題解決ですね」と言って「アニメ制作禁止法」を作ったとする。…「短絡的過ぎる」よな。そのやり方は。

でも、売春云々については、ソレが行われてる。売春に従事させられる女性の人権を守るべし、とか言いながら、そういう人間は最初から存在していないことにしてしまった。人権を認めるどころの話じゃない。この世には居ないはずの人間である、それをやってたら犯罪者である、反社会的人間である、として問答無用で扱われてるのだから、これほどヒドイ話はないだろうと。

つまるところ、状況を改善するための手段を探し出していくのではなく。最初から、何が何でも、売春=悪、という状況を作りたくてしょうがない人達が、この件に関して主導権を取ってしまった、ということなんだろうなと。

「アニオタ、キモイ」「アニメなんてこの世の中から消えちまえ」と言ってるような人達が、それっぽい理屈をつけて、アニメ制作禁止法を可決・施行してしまった、みたいな感じの状況なのだろうと想像したり。どうしてアニメがこの世から消されなければいけないのか、それについての議論や根拠はなし。ただ、キモイから消す、と。ある日突然、宮崎駿は犯罪者になる。スタジオジブリも犯罪組織になる。でも、文句は言えない。だって法律でそう決まったから。…本当に文句を言えないのだろうか。言ってはいかんのだろうか。宮崎駿がゴネることは許されてないのだろうか。

「売春はイカンことだ。だって法律に違反してるもの」という主張は、「売春はイカン」について説明する論になってない。元々の法律が前述のように、よく考えてみるとおかしい法律なんだから、この件に関して法を根拠に良し悪しは語れない。

ただ、処世術(?)としては良し悪しを語れるかもしれんけど。非合法なことで飯を食うより、合法的に飯を食うほうが、メリットは多いので。しかし、だからと言って、「そもそも売春はイカン」という論の説明にはならない。それは法がそうなったからイカンということにされてるだけで。仮に法がなくても「イカン」ことを説明できないのでは、その論に根拠は無い。のではないのかしらん。 *4

生物として見た場合、売春婦が敵視されるのは当たり前、ではあるのかしら。 :

既婚の女性にとって、自分以外の同性に異性が金銭を支払う行為は、自分の遺伝子を引き継いだ個体を育てるための環境構築にとって障害になりえる。その女に渡す金を、自分の子供に注げ、と。そういう思考が無意識化で働くので、売春婦を敵視するのかもしれん。

男性にとっては、自分以外の男性と積極的に性交渉をする女性は、自分の遺伝子を残してくれる確率が低い。下手すると、自分の遺伝子ではなく、他の同性の遺伝子を残されてしまう。であるから、そのような行為をするな、と強制したくなるのかもしれん。

一見すると、どちらも売春に対して否定的態度を取りながら、その理由は異なるのか。
  • 女性の場合は、「そんな女より、私の遺伝子を継いだ次代の育成に注力せよ」と。
  • 男性の場合は、要するに「俺だけのモノになれ」と。
ある意味男性のソレは、女性の人権を認めない・女性自身に多種の選択肢があることを認めずに、結局はモノ扱い・自分の支配下に置こうとしてるだけ、と捉えることができるのかもしれない。まあ、そのことについて、既婚女性は男性のその行為を否定しない・心の奥底にどんなものがあるのかほじくり返さないだろうけど。下手にほじくり返さなければ、既婚女性の望む状況が実現するのだし。

と、ここまで書いて、あることに気づいた。独身男性、しかも、ブサメン・キモメン・非モテ男・貧乏人は、前述のどちらにも属さない可能性が高いよなと。独身男性でも、イケメン・モテ男・金持ちであれば、異性が近づいてくる・ゲットできる可能性が高く、それはつまり自身の遺伝子を今後残せる可能性が高い。だが、そうではない男性は、伴侶を得られる可能性は低く、それはつまり自身の遺伝子を残せる可能性は低いわけで。

自身の遺伝子を残せないことは予測できたとしても、それで性衝動を消すことはできない。人間は生物だから、いつか、各個体は死ぬ。ただ何もせず各個体が死んでしまったら、総個体数が減り、最終的には種が絶滅する。種が絶滅しないように、生物は、次代を残すことを極力優先した行動を取るようにプログラミングされている。そのプログラムが、人間にとっての性なわけで。だが、そのプログラムは、むやみやたらにアクティブ化できるものでもない。人間社会は犬猫の社会みたいに単純ではないし。尻の匂いをかげばイベント発生するとかそんな仕様になってない。次代を育てるにも「経済」というものが絡んでくる。しかし、人間が生物である以上、該当プログラムを永遠に停止させておけるものでもない。OS上でサービスとして動かしておかないといけない・常駐させておく必要があるぐらいのプログラムなわけで。

そのへん考えていくと、不特定多数と性交渉を持ちながら、しかし次代は残さない、そんな存在があるというのは『社会にとって』は都合がいい ―― 都合がいいという言い方はあまりにもどうかと思うけど、まさしく都合がいいとしか言えない ―― のだよな。ただ、この存在は、遺伝子を残せる可能性が高い男性や、既婚女性にとっては、むしろ、都合が悪い。自身の遺伝子を残す上で状況を悪化させる可能性が出てくるわけで。

ということで、どうして自分がこの件に関してグダグダ書きたくなるのかよく判ってしまったような気がしたり。自分が、遺伝子を残せないであろう立場だから、売春婦を擁護したくなるのだな。そして、差別をしてる人たちは、残せる立場、残すことができる立場にあるから、売春婦を差別するのだろう。

ということで差別してる人達は口出しすんなと。お前等、もうゲットできてる・ゲットできる見込みがあるんだろと。こっちはゲットできる見込みなんかないんだよ。俺たちにとっての女神さまを愚弄するなこの野郎。ってことなのか結局は。うむ。トホホな終わり方。

つーか生まれてこのかた売春婦なんて方々とお知り合いになったことすらないんですけど…。本当に居るのか? この世界にそんな存在は。結局は、異性をゲットできるだけの要領の良さを持ってる男ばかりがその存在を見つけられ、かつ利用できるてな状況になってないか。だとしたら、既婚女性にとっては、かえって状況が悪化したのでは…。要領の悪い人間も争奪戦(?)に参加させて、混戦状況を生み出したほうが良かったりしないか…。どうも特定の人種だけが獲物にありつけてる、そんな状況になってる気がする。ハッ! そうか、少子化の原因はココか! <何を言ってるんだ君は。 *5

*1: てな話が、数年前に、福島民報に載ってましたですよ。もしかしたら創作なのかもしれんですが、なんだかありそうな話ではあるよなと。須賀川、いや、福島県の人間って頭固いし、ましてや昔はもっとガチガチだったろうし。
*2: ちなみに、円谷英二は名前が売れてから、わざわざ飛行機で帰省して、須賀川の町の上空を旋回したらしいでありますよ。個人で飛行機に乗って帰省するなんて、当時としては、いや、今でも結構凄い話。よほど悔しかったのだろうな。…空の上から須賀川の町を眺めたら、地上を歩く人間たちは何に見えるのだろう。ノミ、ダニ、蛆虫のように見えたりしたのかしら。…そのように見られていても文句は言えんですわな。相手を人間扱いしなかったのは、蛆虫達が先なのだし。
*3: To Heart という18禁ゲームに登場した、家庭用ロボット。少女の外観をしていて、家事全般をこなす機能を持つが、性処理も可能。
*4: 似たようなものに、「親・先生・上司がダメだと言ったから」というのもありそう。…洗脳ですな。芸を教え込まれたら、その意味・意義を自分で考えることなく、ただ繰り返すだけ。もう、ソレ、人じゃない。犬。犬だって餌を貰えなくなったら芸を止めたりするもので。そうなってくると、犬以下なのかと。首の上についてるのは、そりゃカボチャか。みたいな話に。
*5: 売春を禁止した時期と、出生数の変化に、何かしら関連性が見出せてしまったら、それはそれでなんだか面白そうだけど、どうなんだろうなぁ。

この記事へのツッコミ

Re: 売春婦って、肉体労働者のそれとは、何か違うんだろうか by がんした    2007/03/22 01:08
売春婦が肉体労働を主とするサービス業なのは、その通りだけど
金を払う客側に提供される商品(サービス)が全然違う。
道路工事は道路という公共設備の保守、床屋は散髪&洗髪、
老人介護は一人で生活出来ない社会弱者の生活補助、
ゴミ回収はインフラ整備、だけど売春婦は文字通り「春を売る」訳で
提供してるのは労働力ではなく性的快楽。何の生産性もありゃしない。

又、労働に従事出来る期間も短くて「職業」といえるのか疑問。
道路工事とか理髪師とか介護士とかゴミ回収業者とかは二十歳から定年まで働けるだろうけど、
売春婦はなぁ、若いうちだけだし。その後の余生はどうやって働くの?って感じ。
まぁ同じ疑問はスポーツ選手でも言えるけど、彼らは実績残せば老後は安泰だから。
職種差別つーか、先が無いから「つきたくない」&「つかせたくない」職業ではあるよなぁ、社会的にも個人的にも。

主婦が元売春婦に嫌悪感を抱くのは普通の感性だけど、それを口にするのはどーかな?
「売春はダメ」って主婦が元売春婦に言ったら、主婦はただの自己主張かもしれないが、
元売春婦からすれば自分の存在から過去の歴史まで全否定ですから。
何も好きで売春婦してた訳じゃないだろうし、「元」なんだから、
主婦の人はもう少し考慮すべきじゃないのかなぁ。差別と言われても仕方なし。

話が変わりますけどね、買春禁止法ってあるじゃないですか。
あの未成年の少女が「からだ売って金かせいで何が悪いの?」と言い、
少女たちより社会常識があるであろう中年客が「少女達がイイってだからイイじゃん」ってなっちゃって
今までの法では取り締まりが難しく、新たに法を作ったヤツ。

その頃、某掲示板で「少女売春(買春じゃなくて)をやめさせるにはどうしたらいいか?」との議論がありまして
一番説得力がある意見は、少女達に長い人生で考えると、失う時間と得られる金額を
トータルすると「OLより損」だからやめとけ、と損得勘定で教える、、、というものでした。
売春婦の特殊性 by mieki256    2007/03/24 14:18
あー、なるほど。
・ 肉体労働でありながら快楽を提供する。
・ 就業期間が年齢によって制限を受ける。
というのは、たしかに特殊性が…。
さらにその2つが、スポーツ選手にも当てはまるあたり興味深い。
…つまり、売春がスポーツとして認知されれば<お前は何を口走ってるんだ。

> 損得勘定で教える

自分もソレに賛成です。が、ワーキングプアなんて言葉が出てる現状では、
説得材料として状況的に厳しい気もする…。
フツーに働けばフツーに食えるという(ある種の)幻想を
大衆に持たせることが、それらの防止には必須だったりもするのかしら。
よくわからんですが。
Re: 売春婦って、肉体労働者のそれとは、何か違うんだろうか by けいと    2007/03/29 01:03
あえて擁護側に回れば…

売春婦は敵視される前に「女性最古の職業」なんていわれるぐらいの
伝統的職業?だったりするわけで…

> 既婚の女性にとって、自分以外の同性に異性が金銭を支払う行為は、
> 自分の遺伝子を引き継いだ個体を育てるための環境構築にとって
> 障害になりえる。その女に渡す金を、自分の子供に注げ、と。
> そういう思考が無意識化で働くので、売春婦を敵視するのかもしれん。

これは正解ですが…

> 男性にとっては、自分以外の男性と積極的に性交渉をする女性は、
> 自分の遺伝子を残してくれる確率が低い。
> 下手すると、自分の遺伝子ではなく、他の同性の遺伝子を残されてしまう。
> であるから、そのような行為をするな、と強制したくなるのかもしれん。

ここは男性側も都合がいいもんで、
自分の完全しはいかに入っている女に対しては
他の男との性行為は禁止しても、
他の男の支配下に入っている女に対しては
むしろ積極的に行為をすると言う選択肢が有ります。

このばあい、
男の側のメリットは、ほぼノーコストで自分の遺伝子を残せると言うこと。
女の側のメリットは、自分の旦那以上の優れた遺伝子であれば
そっちの子どものほうに自分の遺伝子を乗せたほうが
孫の代になって自分の遺伝子が大きく花開く可能性があること。
しかも、経済的保障は旦那がやってくれるので、
独身の尻軽女をやっているよりはリスクが低い。

亭主元気で留守がいいと言う理屈に近いかも。
まぁ、それが分かってる人は「駒田伝説」を楽しく読める、と。

> 遺伝子を残せないであろう立場だから、売春婦を擁護したくなるのだな

それもまた、利己的な遺伝子のなせる業。
社会を動かして、自分の遺伝子を残すのに少しでも有利に働くよう行動する。
どこまでいっても、肉体は所詮遺伝子のための乗り物、と。

> フツーに働けばフツーに食えるという(ある種の)幻想を
> 大衆に持たせることが、それらの防止には必須だったりもするのかしら。

フツーに働く、と言うことが、
「誰かが決めた作業を淡々とこなすこと」じゃダメなんだ
っていうところに変わってきてるんですよね。

以上です。

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