mieki256's diary



2012/02/18() [n年前の日記]

#2 [anime] 「ベクシル 2077日本鎖国」を視聴

BSで放送してたので視聴。初見。

CG映像と死人。 :

CGで描かれるキャラはどれも見た目が死人のようだ、まるで究極のIG作品映像を見ているようだ、と思ったら。実はキャラのほとんどが 本当に死人だったという設定で。現段階のCGの限界を逆手に取った秀逸な設定。脱帽。これはやられた。

高速スクロールは正義。 :

高速スクロールというか、トンネル突入というか、スピード感というか。アクションシーン? バトルシーン?の各カットは見ていて大満足。メカが出てくるカットは、そのほとんどがイイ感じ。

小さいメカが大量に集まってグネグネするワーム(?)みたいなソレもイイ感じ。ああいうのはCGじゃないと作れない。さすがに強みを分かってらっしゃる。素晴らしい。

動きについてもやもやと考えてしまった。 :

トゥーンレンダリングをモーションキャプチャで動かすやり方に、ふと疑問が湧いた。見た目がセル画っぽいなら、動きも現実から乖離させないと。動きだけ現実風味でヌルヌルしていても気持ちが悪い。動きをリアルにするなら、見た目もリアルを目指さないと。

もっとも、制作効率を追求してそういう組み合わせを選んだ可能性もありそうだし。また、CGアニメーターのほとんどが、セルアニメっぽい動きに関して無知な現状があるのだとしたら、リミテッドな動きの再現なんて絶望的だろうし。やりたくてもやれない状況がそこにあるのかもしれない。

まあ、ゲームのムービーを見慣れている層が大半になれば、そういうもんだと思うかもしれないから、その組み合わせを続けていてもOKなのかも。結局は慣れだろうし。

それにそもそも。セルアニメだって、最初はフルアニメを目指していたのだし。期間とコストの都合で3コマ撮りが主流になった日本のアニメ業界が特殊過ぎるのかもしれず。ある意味、モーションキャプチャによる動きは、アニメの原点に戻っただけ、と言えるかも。

でも、だったら、見た目をセルアニメ風にしなくてもいいような。そのあたり、なんだかチグハグな印象を受けた。どんな理論武装がそこにあるのだろうか。

どうにも間延びしていた感が。 :

「TO」の視聴時も思ったけれど、各カットが妙に長くて辛かった。「どうしてここで、このキャラのアップをこんなに長く見せるんだろう」と疑問が湧いた場面が多く。尺を無駄に伸ばすことを強いられているのだろうか…。

キャラのアップを見せることで、何かを伝えようとしたのだろうか。だとしたら、それは見せ方を間違えている。ような気がする。

実写なら、役者の演技、微妙な表情で、たとえ無言でもそこにある感情を観客にぼんやり伝えることは可能だと思う。自分達は常日頃、生きている人間の仕草や表情から、そこにある感情を読み取ろうとする訓練をしている。だから、実写映像ならソレをある程度利用できる。

でも、CG映像でそれは無理。自分達は、CGで描かれたキャラの硬質な表情から何かを読み取る訓練なんて、日常的に行っていない。

手描きのアニメでも難易度は高い。例えば宮崎アニメですら、キャラの感情が高ぶると髪の毛を逆立てたりする。つまり、表現力が圧倒的に不足してる映像ジャンルだとアニメ業界は自覚している。だからこそ、別の何かでどうにか伝えようと工夫を重ねてきた歴史がある。

CGアニメもそういう工夫が必要なのではあるまいか。別に髪の毛を逆立たせる必要はないけれど。レイアウトでも照明でもSEでも体の動きでも何を使ってもOKなんだけど。何かしら工夫が欲しい。

PIXAR作品ですら、あえて漫画っぽいキャラデザにして、更に顔をあれだけ動かして、どうにか伝えようと努力してる。それに比べると、たいして動かない、シリアスっぽいキャラデザのアップで何かを伝えようというのは無理がある。

まあ、無理を続けているうちに、漫符のような独自表現がCG映像の世界でも誕生する可能性は否定できないから、続けていてもOKなのかもしれないか。CGならではの表現が誕生したら、それはそれで面白いし。

でも…。漫画業界やアニメ業界の先人達が、せっかく苦労して生み出してきた技があるのだから、もっと利用しちゃってもいいと思うんだけど。わざわざ再発明しなくてもいいのに。まあ、勉強するのは面倒臭いか…。

この手のジャンルの今後に期待。 :

何にせよ、もっとCGアニメが出てきてほしいなと。作るのは大変だろうけど、裾野が広くならないと名作は生まれてこないので。というか数を作らないとノウハウは溜まらないだろうし。

今の日本のCGアニメは、東映動画が白蛇伝を作っているような、そんな時期に相当するのだろうか。もうそこは過ぎたのか。それともまだ到達してないのか。

以上です。

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