2018/04/10(火) [n年前の日記]
#2 [anime][neta] セルルック3DCGアニメと服の皺
思考メモ。
「蒼天の拳 REGENESIS」というアニメを見た。ポリピクが作ったCGアニメらしい。
見ていて、かなり不自然さを感じた。服の皺が…無いな…。これは妙だ。不気味だ…。
自分は素人なので詳しくはないけれど、おそらく、服の皺を表現することは、3DCGアニメにとって未だに鬼門なのだろう。
考えてみれば、オレンジ制作の「宝石の国」が不自然に見えなかったのは、身体にピッチリ系の服に加えて、腕や足がほとんど露出していたからだろうと思えてきた。また、「山賊の娘ローニャ」も、通常時は腕が露出していたような気がする。「シドニアの騎士」は、宇宙服だかパイロットスーツを着ているから基本的に皺はできない、という状況にして、更に、ペンで描き加えた系の汚しテクスチャを貼り込んで、のっぺり感を減らしていた。つまり、それほど不自然な見た目とは思えなかった作品達は、どれも巧妙に、服の皺を描くことを避けていた。
「蒼天の拳」の場合、ギャングのスーツ姿が、とにかくいけてない。只の筒状のオブジェクトが、人の形をしている…そんな風にしか見えない。モーションキャプチャを利用して動きをつけたと特番では宣伝していたけれど、そのせいもあるのか、着ぐるみ感が半端じゃない。どうにかならんのか。
もっとも、素人考えでも、服の皺を再現するのは難しいだろうと容易に想像できる。重力を加えながら、更に慣性も残しながら、服モデルが所有するポリゴンと、人体モデルとの衝突判定をしなければならないし、服の生地の伸び縮み具合 ―― 弾性についての計算も必要になるだろうし。
おそらく、服の皺を再現するアルゴリズムは、既にアレコレ生み出されているのだろうけど。 *1 アニメの場合、1カットで何十フレームもレンダリングしないといかんし、しかも同時に何体も画面の中に登場するしで…技術デモとして、一体分の静止した人体モデルに服を着せて皺を再現、等ならまだしも、TVアニメの中でそれらの技術をそのまま使うのは、計算量を想像すると難しいのではないか…。
でもまあ、今後PCのスペックが向上すれば、それらアルゴリズムも積極的に利用できるようになるのかもしれないか…。それまでは、3DCGアニメの課題として残り続けるのだろう…。
とは言いつつも。現状でも誤魔化しようはいくらでもあるんじゃないかという気もするのだけど。つるりんのっぺりとしてるから気になるだけの話だし、物理法則的に正確に皺を作らねばならないというわけでもないし。既存のセルアニメでスーツ部分をどう処理しているかをチェックすれば、このへんに事前に皺テクスチャを貼っておくだけでそれらしく、みたいなことが…。いや、甘いかな。
プリキュアやアイドルアニメのCGを眺めてみると気づくけれど、様々なパーツが集まって出来ている服の場合は、皺が無くても、あるいは皺の形が変わらなくても、バレにくいのだよな…。例えば、スーツの上に腕章がついてるだけでも、印象は全然違ってくる。つまり、スーツ姿はそのままでも、アクセサリーを駆使したキャラデザに若干変更させてもらうことで…。
その場合、強面なギャング達が「アイドリッシュセブン」になってしまうのだな。うーん。
と、初見時の印象だけでここまで書いてしまったけど、不安になって映像を再度確認してみたら、なんだか興味深い状態の映像で。顔や手などはセルルックにしてるけど、服は全部セルルックじゃないのだな…。動きに合わせて皺の形まで変わるわけではないけれど、モデルデータの時点で、ちゃんと皺がそこにあるような凸凹した形状になっていた。ただ、服全体は線をつけてないし、ハッキリと影が見える状態でシェーディングをしてるわけでもないので、のっぺりつるりん状態に見えてしまうという。
あえてそうしているのは分かるのだけど、どうして服の上に、皺の線を出さなかったのだろう…。
あくまで想像だけど、主人公の服に模様テクスチャが盛大に貼ってあるから、だろうか。模様の上に皺の線も出してしまうとゴチャゴチャして何がなんだか分からない。だから、主人公の服は皺の線を出さないことにした。しかしそうなると、他のキャラとの見た目が違ってしまって、主人公だけ妙に浮いてしまう。仕方ないので他のキャラも服の上に皺を出さないことにしたけれど、今度は一部のキャラがのっぺりした感じに見えてしまった。でも、主人公の見た目の良さを優先して、服の皺の線は無くす方向で統一した…とか。
あるいは、そもそも服の上に皺の線を出すとおかしなことになるのかもしれない。手描きならイイ感じに、皺の線を出たり消したり伸ばしたり縮めたりできるけど、CGの場合は機械がやることだから、静止画ならともかく動画となると、フレーム単位で突然線が出現したり消えたりしてパカパカして見れたものじゃない。顔や手だけなら、作業者がフレーム単位で線の出方を調整することも不可能ではないけれど、体全体となると調整時間が膨大になってしまうから泣く泣く諦めたのだ、とか。
はたまた、画面全体の線の量を意識して、あえて線情報を減らしている、とか。手描きならイイ感じの線の量にできるけど、CGは馬鹿正直にあらゆる線を出してしまう。結果、画面内が線だらけで見ていて目がチカチカする。キャラの表情に注目してほしいから、そこらへんは線を出そう。でも、服がどうなってるかなんて視聴者に必ず伝えたい情報ではないので、この際バッサリと無くしてしまおう。とでも考えたとか。
何にせよ、セルルック3DCGアニメにおいて、服の皺をどう扱うか、どういう見せ方にするかは、課題が残っているのだろうなと。だからこんな映像になっちゃうのだろうな。と、素人考えで思ってしまったのでメモ。思考メモです。
「蒼天の拳 REGENESIS」というアニメを見た。ポリピクが作ったCGアニメらしい。
見ていて、かなり不自然さを感じた。服の皺が…無いな…。これは妙だ。不気味だ…。
自分は素人なので詳しくはないけれど、おそらく、服の皺を表現することは、3DCGアニメにとって未だに鬼門なのだろう。
考えてみれば、オレンジ制作の「宝石の国」が不自然に見えなかったのは、身体にピッチリ系の服に加えて、腕や足がほとんど露出していたからだろうと思えてきた。また、「山賊の娘ローニャ」も、通常時は腕が露出していたような気がする。「シドニアの騎士」は、宇宙服だかパイロットスーツを着ているから基本的に皺はできない、という状況にして、更に、ペンで描き加えた系の汚しテクスチャを貼り込んで、のっぺり感を減らしていた。つまり、それほど不自然な見た目とは思えなかった作品達は、どれも巧妙に、服の皺を描くことを避けていた。
「蒼天の拳」の場合、ギャングのスーツ姿が、とにかくいけてない。只の筒状のオブジェクトが、人の形をしている…そんな風にしか見えない。モーションキャプチャを利用して動きをつけたと特番では宣伝していたけれど、そのせいもあるのか、着ぐるみ感が半端じゃない。どうにかならんのか。
もっとも、素人考えでも、服の皺を再現するのは難しいだろうと容易に想像できる。重力を加えながら、更に慣性も残しながら、服モデルが所有するポリゴンと、人体モデルとの衝突判定をしなければならないし、服の生地の伸び縮み具合 ―― 弾性についての計算も必要になるだろうし。
おそらく、服の皺を再現するアルゴリズムは、既にアレコレ生み出されているのだろうけど。 *1 アニメの場合、1カットで何十フレームもレンダリングしないといかんし、しかも同時に何体も画面の中に登場するしで…技術デモとして、一体分の静止した人体モデルに服を着せて皺を再現、等ならまだしも、TVアニメの中でそれらの技術をそのまま使うのは、計算量を想像すると難しいのではないか…。
でもまあ、今後PCのスペックが向上すれば、それらアルゴリズムも積極的に利用できるようになるのかもしれないか…。それまでは、3DCGアニメの課題として残り続けるのだろう…。
とは言いつつも。現状でも誤魔化しようはいくらでもあるんじゃないかという気もするのだけど。つるりんのっぺりとしてるから気になるだけの話だし、物理法則的に正確に皺を作らねばならないというわけでもないし。既存のセルアニメでスーツ部分をどう処理しているかをチェックすれば、このへんに事前に皺テクスチャを貼っておくだけでそれらしく、みたいなことが…。いや、甘いかな。
プリキュアやアイドルアニメのCGを眺めてみると気づくけれど、様々なパーツが集まって出来ている服の場合は、皺が無くても、あるいは皺の形が変わらなくても、バレにくいのだよな…。例えば、スーツの上に腕章がついてるだけでも、印象は全然違ってくる。つまり、スーツ姿はそのままでも、アクセサリーを駆使したキャラデザに若干変更させてもらうことで…。
その場合、強面なギャング達が「アイドリッシュセブン」になってしまうのだな。うーん。
と、初見時の印象だけでここまで書いてしまったけど、不安になって映像を再度確認してみたら、なんだか興味深い状態の映像で。顔や手などはセルルックにしてるけど、服は全部セルルックじゃないのだな…。動きに合わせて皺の形まで変わるわけではないけれど、モデルデータの時点で、ちゃんと皺がそこにあるような凸凹した形状になっていた。ただ、服全体は線をつけてないし、ハッキリと影が見える状態でシェーディングをしてるわけでもないので、のっぺりつるりん状態に見えてしまうという。
あえてそうしているのは分かるのだけど、どうして服の上に、皺の線を出さなかったのだろう…。
あくまで想像だけど、主人公の服に模様テクスチャが盛大に貼ってあるから、だろうか。模様の上に皺の線も出してしまうとゴチャゴチャして何がなんだか分からない。だから、主人公の服は皺の線を出さないことにした。しかしそうなると、他のキャラとの見た目が違ってしまって、主人公だけ妙に浮いてしまう。仕方ないので他のキャラも服の上に皺を出さないことにしたけれど、今度は一部のキャラがのっぺりした感じに見えてしまった。でも、主人公の見た目の良さを優先して、服の皺の線は無くす方向で統一した…とか。
あるいは、そもそも服の上に皺の線を出すとおかしなことになるのかもしれない。手描きならイイ感じに、皺の線を出たり消したり伸ばしたり縮めたりできるけど、CGの場合は機械がやることだから、静止画ならともかく動画となると、フレーム単位で突然線が出現したり消えたりしてパカパカして見れたものじゃない。顔や手だけなら、作業者がフレーム単位で線の出方を調整することも不可能ではないけれど、体全体となると調整時間が膨大になってしまうから泣く泣く諦めたのだ、とか。
はたまた、画面全体の線の量を意識して、あえて線情報を減らしている、とか。手描きならイイ感じの線の量にできるけど、CGは馬鹿正直にあらゆる線を出してしまう。結果、画面内が線だらけで見ていて目がチカチカする。キャラの表情に注目してほしいから、そこらへんは線を出そう。でも、服がどうなってるかなんて視聴者に必ず伝えたい情報ではないので、この際バッサリと無くしてしまおう。とでも考えたとか。
何にせよ、セルルック3DCGアニメにおいて、服の皺をどう扱うか、どういう見せ方にするかは、課題が残っているのだろうなと。だからこんな映像になっちゃうのだろうな。と、素人考えで思ってしまったのでメモ。思考メモです。
*1: 無料で使えるblenderですらクロスシミュレーション機能を持っているので、有償の3DCGソフトなら当然持っているか、無かったとしてもプラグインを買ってくれば使えるのではあるまいか。
[ ツッコむ ]
以上です。