mieki256's diary



2015/06/22(月) [n年前の日記]

#2 [anime][neta] 触手娘

「シドニアの騎士」アニメ版二期を視聴して毎回感心してるのです。触手娘が、イイ。

触手娘と言えばイカ娘ですよ。見た目、人間の女の子みたいなソレ。性格はともかく、あの見た目なら読者・視聴者から「可愛い(かも)」と思ってもらえるだろうと容易に予想できるわけですけど。フツーはアレにするよなと。今の手描きアニメで「触手娘を萌えキャラとして用意せよ」と言われたら、十人中十人が、あの方向で描くはずで。

でも、「シドニア」の触手娘は違う。ガチですよ。ガチな触手娘ですよ。「触手娘…と言ったらこういうデザインかなあ」と本気で考えてしまった系のヤバさ。「ナウシカの王蟲を美少女化しようぜ!」って誰かが冗談半分で言い出して、皆がこぞって可愛らしいキャラを描いてるのに、あの見た目そのまんまで単に人型にしてるよこの人うわああ的な種類のガチデザイン。見るからにキモイ。ある種のモンスターだから当然ですけど。

ところが、そのモンスターが動き出したり喋ったりすると、途端に可愛らしく見えてくる。ナニコレ。どういうことですか。まるで、碇シンジくんがアスカと仲良くならずに2号機と仲良くなってるようなものですよ。しかも2号機が恋する可愛い女の子に見えてくる。ヤバイですよ。一体何なんだこの作品。…そりゃ感心せずにはいられませんよ。

アニメの原初的な面白さは「動くこと」であり、それはつまり、動くことでそこに何があるのか視聴者に伝わってこそアニメなのだ、とか言えちゃったりもするわけですけど。それを考えると、「シドニア」の触手娘は、まさしくソレ。「動いてナンボ」の見事な体現。3DCGという、一般的には「冷たい」「硬い」「融通が利かない」「不気味」等々、負のイメージを持たれがちな不利な手法を使いながら、動くと魅力的に見えてくるのだから…。触手娘の例だけでも、「シドニア」は紛うことなく「アニメ」として成立してる、と言えるわけで。

微妙に話はずれるけど。昔、高畑+宮崎コンビが「アルプスの少女ハイジ」を制作してた頃、アニメで細かいニュアンスを伝えるための技法をアレコレ考えて発明してたわけですけど、もしかすると、3DCGアニメという分野においては、今がそういう時期なのかもと思ったりもして。「3DCGでこんなことできないだろう」と思われてる中、「いや、こうすりゃできるんじゃねえか?」と色々試して実現しつつある、みたいな。

手描きアニメは大量に作られてしまったので、もうこれから新発明なんてそうそうできないだろうなと思うわけです。既に出来上がってガチガチに固まった制作スタイル・表現技法をトレースしていくことしか許されてないだろうなと。

だけど3DCGアニメなら、未踏の地がまだまだたくさん残ってる。ひょっとすると作り手にとっては、今が一番面白い時期かもしれないよなと。「ハイジ」あたりを作ってた頃の感覚、立ちはだかる難問を頭を使って乗り越えていく快感を、今からでも味わえる。

「シドニア」の触手娘は、その一例かもしれない、てなことを思ったりするのです。3DCGで、あんなにキモイ形なのに、可愛く見えるってどういうことですか…。これはノウハウがガンガン溜まってる時期なのかもしれないぞと。見せ方を工夫してる人達は大変だろうけど、ある面では楽しいだろうなと。

などと書いては見たけれど。考えてみたら、海外ウケしそうな見た目がキモイ動物達のアニメをいくつか手掛けてきたスタジオだから、見た目キモイヤツを可愛く見せるなんて俺達にとってはおちゃのこさいさい屁の河童さあ、だったりするのかなとも思えてきました。

でもまあ、凄い技には違いないです。あのスタッフは凄い。もちろん、あんなデザインで考えた原作者は凄い、というか恐ろしい。

以上です。

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