mieki256's diary



2013/11/15(金) [n年前の日記]

#2 [anime] ルパン三世TVSPを視聴

「ルパン三世 princess of the breeze〜隠された空中都市〜」を視聴。

前回は放送されてることすら知らずに見逃したけど、今回はちゃんと見れた。アダルトでハードな方向性は「峰不二子〜」で思いっきりやってくれたので、TVSP版は思う存分ファミリー向けを追求できますなあ、てなことを思いながら見てみたり。

ツイッターを眺めながら視聴してたら、ルパンの目がキラキラしてるのがしっくりこない、てな感想を多数見かけたのだけど。TV版一期の大塚康生さんのキャラデザもこんな感じだった記憶があるので、個人的には全然気にならなかったり。…でもまあ、一般的なイメージではルパンの目はキラキラしていない、大塚版キャラデザなんて相変わらずほとんど誰も知らない、と分かったことは収穫、なのかしらん。と言っても、大塚版も時期によって変わってるからアレですけど。一期を見てない人が多い、ってだけの話なのでしょうな。たぶん。

カリ城やラピュタからの引用というかオマージュというか、そのあたりに反応してた方が多かったように見えたのだけど。自分が気付いた範囲では、ハイジ、未来少年コナン、トトロ、紅の豚からも引用してたように見えたので、おそらくはこの機会に、宮崎アニメ全般を網羅してみたい、てな試みをしてたのかなと思えたり。もしかすると、知識が浅い自分が気づかなかっただけで、パンダコパンダ、空飛ぶゆうれい船、ガリバーの宇宙旅行、赤胴鈴之助、太陽の王子ホルス…あたりまで抑えてた可能性だって…あるのかもしれないなと。

何にせよ、恥も外聞も投げ捨てて(?)、徹底的に宮崎アニメからアレコレ拾ってきて組み立てた作品というのも珍しいと思うわけで。「ナディア」「EVA」を若干連想させるほどに、ブレーキ踏んでなかった印象もあるし。何事も中途半端ではいかん、やるならとことんやっちゃうべし! と自分は思ってしまうほうなので、これはこれでアリじゃないか、と思えました。…にしても、世間一般ではカリ城とラピュタぐらいしか覚えてもらえていない、未来少年コナンすら見てない人がほとんど、と分かったこともまた収穫、なのかしらん。未来少年コナンって再放送とかあまりしてないのかなあ。もったいないなあ。

ツイッター上で、「引退を表明した宮崎駿監督へ向けて、今の作り手世代からの感謝の気持ちも含まれている作りなのでは?」という書き込みを見かけて、なるほどと。「僕達はこれほどまでに、貴方の作ったアニメを見て育ちました。今までありがとう!」みたいなソレなのかなと。もしそうだったら…なんだかええ話や…。スタッフはそういうつもりでやったわけじゃ無いとしても、そういうことにしといたほうが美味しいんじゃね? と思えてきました。そういうことにしておこう!

富野監督出演のCMが挟んであってビックリ。 :

途中で、富野監督が登場するCMが放送されてビックリ。しかも、「アニメばかり見てアニメ作っちゃいかん!」のメッセージまで披露されて。うわあ。よりにもよって、こういう作りの作品を放送しているタイミングで、ソレを言ってくるか…。偶然だろうけど、なんかスゴイ。

宮崎駿監督は、冒険小説や児童文学をアニメに翻訳してきた節があるし、富野監督は、思想書や大衆芸能をアニメに翻訳してきた節があるように自分は思っているのだけど。それと比べると、今の世代の作り方は ―― 既存のアニメ作品をコラージュして作ってしまうその姿は、まるでスーパーで惣菜を買ってきて食卓に並べてるだけ、のように見えるのかもしれないなと思えてきたり。食材買ってきて下ごしらえからやらないと料理をしたとは言えないんだよ、と諭されちゃってる、みたいな話なのかなあ。…でも、宮崎アニメや富野アニメって、ほっぺたが落ちそうなぐらいに旨いから、食卓に並べてみたいと…思っちゃうよなあ。

企画、脚本、演出レベルでは、DJ感覚の作りが主流になってるのかな、てなこともチラリと思ったり。「コレとコレを『与作』で繋ぐとは!」みたいな楽しみ方になってるところもあるのかしら。

喫煙シーンに感心。 :

今回出てきた喫煙シーンって、かなり秀逸な出来だったように思えたり。

まず、ルパンと次元がちゃんと喫煙していたところがグッド。「へ? そんなの当たり前だろ?」と思う人が居るかもしれないけど、全然当たり前じゃないですよ。一時期のルパンTVSPでは、煙草一本すら吸えなかったわけで…。たぶん、ファミリー向けを意識せよ、てのが行き過ぎちゃって、脚本に書いてあってもプロデューサーさんから「これは今の御時勢にマズイですよー(苦笑い」とか言われちゃって没になってたのかなと勝手に邪推してますけど。何にせよ、「煙草を吸わないルパンなんて、ルパンじゃねえよ!」と、その一点だけは譲らなかった・守って見せたスタッフは偉いなと。まあ、プロデューサーさんがちょっと改心(?)してくれた可能性もありそうだけど…。

そして。「吸う吸わないはアンタの自由だ勝手にしな」「だけど、場をわきまえずにスパスパするヤツはカッコ悪いんだよ!」「カッコイイ男ってのはこういう吸い方ができるヤツじゃねえのか?」てなあたりの啓蒙を、美人で強い母ちゃんには頭の上がらない男達という、ちょっと笑いを交えたやり取りを使って自然に誘導していったあたりに、「この脚本…上手いぞ…!」と。しかも、そのやり取りの結構後で出てきた喫煙シーンでは、「犯罪者や荒くれ者だけど、こういう部分では気配りするあたり、基本的には優しいおじさん達なんだろうな…」と印象付けちゃう効果も期待できるわけで。

ファミリー向け作品の中で喫煙シーンを描く手管としては、100点満点中120点の出来じゃないのかと感心させていただきました。いやー、今後、コレを超える喫煙シーンは、ちょっと作れないんじゃないかな…。もちろん、ファミリー向けという檻の中では、という話ですけど。

自分は未見なのだけど。なんとなく、宮崎アニメの「風立ちぬ」の喫煙シーンを ―― 呼吸器系の病気を患ってる奥さんの隣でスパスパ吸っちゃう旦那さん、のソレを思い出したりもして。なんだか世間の一部でそのシーンに食ってかかってた人達が居ると聞くわけで。そのシーンと比べると、今回のソレは、なんだか対照的な描き方だったりしないのかなと。

もちろん、「風立ちぬ」のそのシーンは、そういう時代だったこと、旦那さんがどんだけ身勝手な人間なのか象徴してること、しかし奥さんを気づかう気持ちがゼロではないあたりがますます性質が悪いこと、などなど、1つのシーンに多重の意味を含めていることが話を聞いてるだけでも容易に推測できるので、「宮崎アニメって、やっぱりとんでもねえ」と思えてくる恐ろしいシーンなわけですけど。それにしても、煙草=悪、という認識を持って描かないとそういうシーンは成立しないわけで…。悪いものを悪いものとしてしっかり描いてるのに、なんでこの人達は文句を言うんだろ? と世間様の一部に対して疑問が湧かないでもないですが。

それはともかく。次元がフツーに 敵を射殺していたり、最後のあたりで 「正義の味方の時間はここまでだ」とルパンに言わせたあたり、「ルパンという作品は、本当は、こんなのどかな作品じゃないんだよなあ」とスタッフが思ってそうな部分がチラチラ見えた気もして、そのあたりも興味深かったりして。

以上です。

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