2013/07/14(日) [n年前の日記]
#2 [anime] 昭和白黒アニメと昭和カラー特撮番組
ここ一週間ほど、NHK-BSで、手塚治虫・石ノ森章太郎の特集が組まれていて。手塚原作、もしくは石ノ森原作の映像作品群の、初回と最終回をセットで流す、という特集だったのですが。
基本的に、民放BSが新作アニメを流している時間帯にわざわざぶつけてくるという、相変わらずのNHKらしいトンチキスケジュールだったので、ほとんど見ることができなかったのですけど。幸い、何本か目にすることができたり。
変身忍者嵐、ロボコン、マグマ大使の最終回を見て、少し悲しい気持ちに。これでは当時ジャリ番と呼ばれて馬鹿にされるのも致し方ないよなあと結構納得。とにかく脚本が酷い。やっつけ感が半端無い。一番最後に、「という夢だったのさ」と脳内でナレーション追加でもしないと直視していられない。
ところが、その後、サイボーグ009の最終回を見て、唸ってしまいまして。核戦争の恐怖・異常性についてテーマにした脚本だったわけですけど。同じ子供向け番組のはずなのに、脚本の真摯さが全然違うというか、熱量が違うというか。
考えてみれば、鉄腕アトムの最終回だって、脚本面は頑張っていたなと。今見るとツッコミどころ満載だけど、当時としては科学的と思える色々なネタをガンガン突っ込んで、最後は悲劇・英雄劇に仕立て上げていった。アトムの最後のほうの制作状況は劣悪だったと、アトムで演出家デビューした富野監督が言及してた気もするけど、それでも脚本面は踏ん張っていたのだなと。
サイボーグ009も鉄腕アトムも白黒アニメ。変身忍者嵐やロボコンやマグマ大使はカラー実写作品。だから、後者が後から作られたはず。なのに、後から作ったほうがガッカリ脚本って、どういうことなんだろう…。
しかも当時、アニメは実写畑から馬鹿にされてたそうで。おかしいなあ。コレを見たら逆に思えてくる。実写のほうが馬鹿にされるべきだろう。最下層に位置していたのは、実写だったとしか思えない…。
もっとも、当時のアニメには、映像面でアピールできる要素が全く無く。「テレビ紙芝居」をどうにかコンテンツとして成立させるためには、脚本で頑張るしかない、という事情があったから、こういうことになったのかなと思うわけですが。
また、実写・特撮畑も、「子供に見せるものなんだから最後はこうじゃないと」てな強迫観念があって、故に、とってつけたようなハッピーエンドが挿入されていたのかなと。どちらかがプロか、どちらが真剣に仕事をしていたかという点では、別にどちらかが劣っていたわけでもなく、どっちも真剣にやってたけど単に方向性・目指すところが違っていただけ ―― そんな可能性もありそうな。
ただ、その後、アニメは大人向けの商品としても成立していくけど、実写・特撮は停滞したままという状況になっていくわけで。そのあたり、実は白黒アニメの時代からして、脚本の方向性からそんな未来が運命づけられていたのかもしれない、と思えてきたのでした。
まあ、当時は、実写番組の脚本に落とし穴が出てくるシーンを書いただけで、監督から「アニメ業界に行け」と言われる時代だったらしいから、実写畑は意識的に、成長の芽を自分達で摘み取っていたんでしょうな。
もちろん、今の特撮業界は全然違いますけど。アニメを見て育った世代が作り手になってるし、アニメの脚本家が特撮番組の脚本も書いてたりするし。脚本レベルでの境界線は無くなってると感じるわけで。どっちもめっちゃ頑張ってて、どっちも結構な高みにある印象が。
例えば、少し古いけどシャンゼリオンの最終回などは、既存の特撮ヒーロー番組に対するアンチテーゼ?でもあったろうし。やっつけ感バリバリの最終回ばかりを目にして、「いつまでこんなことやってんだ」とムカついてなかったら、そういう脚本は出てこないだろうと想像するわけで。「このままではいけない」と思ってくれる人達が作り手として参加してくれて、開けた未来へと特撮業界の舵を変えてくれたのかなあ、と、そんな気もしているのですが。
何にせよ、古い作品を見れる機会はなかなか無いので、興味深く視聴させていただきました。…放送スケジュールがもうちょっとなんとかなってたら、一応全部目を通しただろうけど、そこは残念。NHKは、どうして他のアニメにぶつけてしまうのかなあ。
たかだか数作品を目にしただけで早とちりな総論をぶつんじゃねえ、と怒られそうではあるけど。上記のようなことを迂闊に思ってしまうぐらい、1作目のサイボーグ009の最終回にはビックリしてしまったのです、ということで大目に見てほしいなと。
基本的に、民放BSが新作アニメを流している時間帯にわざわざぶつけてくるという、相変わらずのNHKらしいトンチキスケジュールだったので、ほとんど見ることができなかったのですけど。幸い、何本か目にすることができたり。
- 白黒アニメとしては、鉄腕アトム、サイボーグ009の初回と最終回を視聴。
- カラー特撮番組としては、変身忍者嵐、がんばれロボコン、マグマ大使の初回と最終回を視聴。
変身忍者嵐、ロボコン、マグマ大使の最終回を見て、少し悲しい気持ちに。これでは当時ジャリ番と呼ばれて馬鹿にされるのも致し方ないよなあと結構納得。とにかく脚本が酷い。やっつけ感が半端無い。一番最後に、「という夢だったのさ」と脳内でナレーション追加でもしないと直視していられない。
ところが、その後、サイボーグ009の最終回を見て、唸ってしまいまして。核戦争の恐怖・異常性についてテーマにした脚本だったわけですけど。同じ子供向け番組のはずなのに、脚本の真摯さが全然違うというか、熱量が違うというか。
考えてみれば、鉄腕アトムの最終回だって、脚本面は頑張っていたなと。今見るとツッコミどころ満載だけど、当時としては科学的と思える色々なネタをガンガン突っ込んで、最後は悲劇・英雄劇に仕立て上げていった。アトムの最後のほうの制作状況は劣悪だったと、アトムで演出家デビューした富野監督が言及してた気もするけど、それでも脚本面は踏ん張っていたのだなと。
サイボーグ009も鉄腕アトムも白黒アニメ。変身忍者嵐やロボコンやマグマ大使はカラー実写作品。だから、後者が後から作られたはず。なのに、後から作ったほうがガッカリ脚本って、どういうことなんだろう…。
しかも当時、アニメは実写畑から馬鹿にされてたそうで。おかしいなあ。コレを見たら逆に思えてくる。実写のほうが馬鹿にされるべきだろう。最下層に位置していたのは、実写だったとしか思えない…。
もっとも、当時のアニメには、映像面でアピールできる要素が全く無く。「テレビ紙芝居」をどうにかコンテンツとして成立させるためには、脚本で頑張るしかない、という事情があったから、こういうことになったのかなと思うわけですが。
また、実写・特撮畑も、「子供に見せるものなんだから最後はこうじゃないと」てな強迫観念があって、故に、とってつけたようなハッピーエンドが挿入されていたのかなと。どちらかがプロか、どちらが真剣に仕事をしていたかという点では、別にどちらかが劣っていたわけでもなく、どっちも真剣にやってたけど単に方向性・目指すところが違っていただけ ―― そんな可能性もありそうな。
ただ、その後、アニメは大人向けの商品としても成立していくけど、実写・特撮は停滞したままという状況になっていくわけで。そのあたり、実は白黒アニメの時代からして、脚本の方向性からそんな未来が運命づけられていたのかもしれない、と思えてきたのでした。
まあ、当時は、実写番組の脚本に落とし穴が出てくるシーンを書いただけで、監督から「アニメ業界に行け」と言われる時代だったらしいから、実写畑は意識的に、成長の芽を自分達で摘み取っていたんでしょうな。
もちろん、今の特撮業界は全然違いますけど。アニメを見て育った世代が作り手になってるし、アニメの脚本家が特撮番組の脚本も書いてたりするし。脚本レベルでの境界線は無くなってると感じるわけで。どっちもめっちゃ頑張ってて、どっちも結構な高みにある印象が。
例えば、少し古いけどシャンゼリオンの最終回などは、既存の特撮ヒーロー番組に対するアンチテーゼ?でもあったろうし。やっつけ感バリバリの最終回ばかりを目にして、「いつまでこんなことやってんだ」とムカついてなかったら、そういう脚本は出てこないだろうと想像するわけで。「このままではいけない」と思ってくれる人達が作り手として参加してくれて、開けた未来へと特撮業界の舵を変えてくれたのかなあ、と、そんな気もしているのですが。
何にせよ、古い作品を見れる機会はなかなか無いので、興味深く視聴させていただきました。…放送スケジュールがもうちょっとなんとかなってたら、一応全部目を通しただろうけど、そこは残念。NHKは、どうして他のアニメにぶつけてしまうのかなあ。
たかだか数作品を目にしただけで早とちりな総論をぶつんじゃねえ、と怒られそうではあるけど。上記のようなことを迂闊に思ってしまうぐらい、1作目のサイボーグ009の最終回にはビックリしてしまったのです、ということで大目に見てほしいなと。
◎ 2013/07/23追記。 :
後になって調べてみて知ったのだけど。当時の脚本家さんも、アニメと特撮番組の両方を手掛ける事例はフツーだったようで。仮面ライダーや変身忍者嵐のメインライターだった伊上勝氏もアニメの脚本書いてるし。サイボーグ009最終話を手掛けた辻真先氏も、白黒時代から特撮番組の脚本を書いてるし。
アニメも、特撮番組も、脚本を書いてるのは同じ人達だったのに。どうして脚本レベルで違いが出てきたんだろう…? なんだか不思議。当時の脚本も、結構現場で改変されちゃう・無視されてしまうものだったのかな。
アニメも、特撮番組も、脚本を書いてるのは同じ人達だったのに。どうして脚本レベルで違いが出てきたんだろう…? なんだか不思議。当時の脚本も、結構現場で改変されちゃう・無視されてしまうものだったのかな。
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