mieki256's diary



2019/06/29() [n年前の日記]

#4 [zatta] これも温故知新なのだろうか

思考メモ。

CACANi のように、キーフレームに描かれた線群を、線単位で補間することで自動中割ができないかと試みる技術自体は、自分の知る限り少なくとも 8bit PC の時代から存在していて。

たしか、大昔、 _富士通 FM-7 (1982年発売の 8bit PC) を使って自動中割の実験をしている事例が、当時の書籍等に載っていて。それを眺めながら、

「こういうのやってみたいなあ」
「でも自分のPCは、文字表示しかできない _MZ-700 だから試せねえ…」
「8mmカメラも必要らしいけど、そんなものは持ってねえ…」

と、残念な気持ちになった記憶があるわけで。しかも、書籍に載ってたということは、その前からずっと研究されていた内容のはずで。つまり、そのぐらい昔からある技術。ここ最近になって発明された技術ではないというか。

技術は昔からあったのに、どうして普及しなかったのか。もしかすると、当時はUIが無かったから、なのかなと。何せ…。 そんなことをしていた時代だし。そりゃ絵描きさんにポンと渡して使ってください、とは言えないよなと…。

これは勝手な想像だけど、かつてアニメ業界が実現できないかと試してみたけどポシャってしまったらしいその手のソフトは、おそらくUIが全然ダメダメだったんじゃないかと。何せ作ってる人達は、CUIで謎呪文を打ち込めば事足りる人種だから、誰でも使えるようにする必要性すらそもそも感じてなかったのではないか…。「俺はコレでも全然使えますけど?」ぐらいのことを平気で思ってた可能性すら。

その点、CACANi を触っていると、昔からあったけど普及してない技術だって、真っ当なUIさえ用意すれば使える場面が出てくる、そんな可能性を感じるわけで。

おそらく、そういう事例はたくさんあるのだろうなと。技術はあるけどUIが無い、故にプログラマー以外は誰も使えない、みたいな。

昔の2Dゲームの多関節キャラだってソレかもしれない。プログラマーは三角関数使って動かせるけど、グラフィッカーさんがポーズを決めたりするツールが無かったから、失礼ながら絵心は今一つなプログラマー達にお願いしないと画面にすら出せなかった。今はその手のツールがあるから、誰だって、そういう技術を使って映像を作れるようになった。CM映像で静止画イラストがグリグリ動いてたりするのは、ツールが提供されたおかげで…。

そんなことを考えると、技術はもうあるけれど、UIやツールが無いせいで活用されてない、そんなアレコレを自分達はたくさん見落としている ―― そんな可能性がありそうな気もしてくるわけで。

だから時々、これは使えないと昔判断してしまったアレコレも、今のUIをつけたらどうだろう、実は使えたりしないかね、などと考え直してみる必要があったりするのかもしれない。ある種の温故知新というか。誰も気づいてないだけで、そういうネタが自分達の周囲にゴロゴロ転がっているに違いない。たぶん。

これは余談だけど。大体にして、プログラマー、もしくはそれに近い人種に、「これってどうなの?」と尋ねても、「こんな技術、昔からあるじゃん」とすぐに言い出して低評価になるから、その手の人種の意見や感想って、全然当てにならないのだよな…。技術が既にあったかどうか、ではなくて、その技術を誰でも使えるようにするためのUIやツールが今まであったのかが結構大事なのだけど。プログラマーは、「新しい技術」=良い、「既にあった技術」=大したことない、などとすぐに思ってしまう、ある種の悪癖があるわけで。まあ、その悪癖のおかげで、新技術を積極的に生み出そうとする面もあるのだけれど。

見る人が見れば全然使える技術も、プログラマーからは評価されておらず、「そういうことをしたいならこんな方法がありますけど」と提案すらされない場面もありそうで、なんだかそのへん気をつけないといかんのかも、と。

でもまあ、そのあたり、結局のところ、どの分野でも目利きが求められますね、という話になってしまうのだろうか…。

汎用性を求め過ぎていたのかも。 :

昔のアニメ業界でも自動中割の実験をしていたけど結局導入されなかった、という話を読んで、なんとなく邪推。あらゆる種類のカットで使えるオールマイティな自動中割を求めてしまったからポシャったのではないか、と…。

何せアニメ業界は、紙と鉛筆さえあればなんでも描いて動かしてみせるぞ、それがプロのアニメーターだぜ、みたいなプライドを持ってる人種がウロウロしているのであろう業界なはずだから…。紙と鉛筆と自分の腕があることを前提にして自動中割ソフトを眺めてしまうと、やれこんな場面では使えない、ホラこんな場面でも使えない、全然ダメだよこんなもの、使い物にならねえよ、それに比べて紙と鉛筆は最強だな、と判断を下すだろうなと。

しかし、デジタル制作に移行して、状況は変わってきたはずで。

今はもう、このカットは3DCGを使おう、このカットはAEでこういう効果をつけよう、てな感じで、カット毎に最適な道具を選んで作るノリが当たり前になってきている、そんな印象もあり。故に、今なら、「全カットをコレでやるのはさすがにアホだけど、使えそうなカットで使う分には導入もやぶさかではないですよ」てな状態になってきて、だからその手のソフトが少しずつ注目され始めてきたのかなと個人的には想像していたり。

ということで、あらゆる場面で使えるオールマイティな道具を求め過ぎると、本来なら使えたはずのものも使えないとうっかり判断してしまう危険性がありそうだなと。まあ、どこの業界もそうだろうけど。

逆に、その道具に固執し過ぎて、不向きな場面でその道具を持ち出して四苦八苦するのもアレだけど…。

いや、でも、JavaScript のように、誰も見向きもしてなかったのに、しつこく使うことに拘り続けた人達が居て、その結果、新しい使い方が発見・発明されて、今現在のWeb上での大人気状態を迎えた事例もあるわけで。

結局、これもまた、目利きがどうこうの話になるのかなあ…。

とりあえず、「皆が使えないって言ってるんだから使えないのだろう」で決めつけるのではなく、「ホントにソレ、使えないのかな」とチラリと試しに考えてみる、みたいなソレが必要、なのかな。たぶん。

まあ、世の中、天邪鬼もたまには必要ですよね、程度の話でしかないのかもしれず。

以上です。

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