mieki256's diary



2014/12/06() [n年前の日記]

#5 [zatta] 手打ちのスクリーントーン

なんとなく唐突にぼんやり思ったのでメモ。思考メモです。前にも書いたかなコレ。忘れた。

自分、学生時代、漫研(漫画研究会)に入ってたんですけど。貧乏だったからスクリーントーンをなかなか買えなくて。なので、小さいスペースだったら、手打ちでスクリーントーンを描いていたのですよ。ミリペン(PIGMA)使って、等間隔にびっしりと点を打っていくんですけど。

その作業を傍から見ると、まるで修行僧。この人、苦労してんなあ、頑張ってるなあ、って思ってもらえそうな光景だったろうなと。

でも、その原稿使ってコピー本作って、誰かに見てもらったとして。誰もそんなところで感心しないわけですよ。上手に点を打っていたら尚の事、誰も気に留めない状態になる。しかも、その作業って、漫画が面白くなるかどうかについて一切これっぽっちも貢献してない。どんだけそこに時間をかけても、その漫画が面白くなるわけじゃない。

今になって考えてみれば、水木しげる先生の漫画よろしく、ただの点描にしとけばよかったのかもなと。点描だったら、漫画の面白さの向上には相変わらず繋がらないものの、「うわー、頑張って描きましたねえ」ぐらいは思ってもらえたかも。

手打ちのスクリーントーンも、点描も、コツコツと点を打ってることに違いはないのに、評価が全然違ってくる。そういう場面って、たぶんあちこちにあるんだろうな、てなことをぼんやりと。

そういや、日本製アニメの、キャラの顔が整った作画って、なんだか手打ちのスクリーントーンに近いのでは、と思う時もたまにあったりして。デッサンが崩れてない画が欲しいなら、3DCGには敵わないわけですよ。上手に綺麗に手で描けたら、それはまるで機械で描いたような絵に近づいていく。だったら機械に描かせたほうが、みたいな。もちろん、モデリングの時間等が捻出できない、手で描いたほうがまだ早い、ということで手描きでやるのでしょうけど。それは、お金が無くてスクリーントーン買えないから手打ちでスクリーントーンを描きました、てな状態と近いのかもしれんよなと。

これは手打ちのスクリーントーンじゃないぞ。点描なんだぞ。そう思ってもらえるための条件ってのが、おそらくあちらこちらにあったりするのかもなあ、そこを抑えながら作業できたら美味しいのだろうなあ、てなことを根拠無く思ったりもするのでした。

マイナスからゼロにする仕事。 :

そんなことを思ったものの。逆に、誰も気にしない状態になった時が成功、てな仕事・作業だってあるよなと思い出したり。

随分昔に、日本の特撮(VFX)界の凄腕の方が、何かの雑誌の記事で書いてたのですけど。「VFXは、そこでVFXを使ってると誰も気づかなかった時が大成功」てなお話で。

たしか、EVAの旧劇場版の実写シーンで、3DCGのビルが出てくるカットを担当した方で。実写畑の監督さんが、「あのカット、ビルがとても良かったんだけど、どこに行ったら撮れるの? 教えてよ」と尋ねてきたとか。その瞬間、心の中でガッツポーズ、てな話で。

あるいは、超能力がネタの劇場作品で、あたり一面血の海になってるカットをマットペインティングで作ったけれど。これまた別の実写畑の監督さんが、「あんなに血糊を撒いちゃって、現場の掃除が大変だったでしょう」と言ってきて、これまた心の中でガッツポーズ、てな話で。

たぶんそういうのって、マイナスの状態からゼロの状態に持っていく作業なんだろうな、てなことをぼんやり思ったりもするわけで。「下手なCG合成してんなあ。萎えるわあ」と思われてしまうのがマイナスの状態。そこから、CG合成してることにすら気づかれない状態に持っていって、ようやくゼロになる。誰も気づかない状態、ゼロというか、ニュートラルの状態まで持っていけたら仕事として成功、みたいな。

そして、マイナスからゼロにする仕事があるのだから、ゼロからプラスにする仕事だってあったりするのだろうなと。そしておそらく、ゼロからプラスにする仕事は、これは周囲から評価されるんだろうなと。例えば、手打ちのスクリーントーンは、マイナスからゼロにする作業で、点描は、ゼロからプラスにする作業、だったりするのかしらん。

オチはないです。こんなことをぼんやりと思ってしまったのでダラダラとメモしてみただけです。

以上です。

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