mieki256's diary



2012/12/06(木) [n年前の日記]

#1 [tv] NHKの朝ドラを目にして思ったことをメモ

TVをつけたら、たまたまNHKの朝ドラが流れてて。ちょっとだけ見て「相変わらずイライラする作り…」と思ってすぐ消しちゃったのだけど。少し気になるシーンがあって。

ホテルのロビーでお婆さんが困ってる。ホテルマン?らしき主人公に話しかける。
 「ここは○○ホテルのロビーでしょうか? そうは思えない。なんだか暗い。前はもっと明るかった。座る場所もない」
主人公は謝りながら答える。
 「リニューアルしたんですよ…」
主人公は、通りかかった上司らしき人に相談する。
 「あのお客様が困ってる。座る場所がないと言っている」
上司は答える。
 「別の場所に行けと言え。金にならない客を追い出すためにリニューアルしたことを、お前も分かってるだろ」

妙なシーンだなと思ったのだけど、しばらくして気がついた。これって、今の朝ドラを比喩したシーンか…。

今やってる朝ドラは、プロデューサーが、朝ドラのイメージをぶち壊したいと思い、民放で大活躍してた過激な脚本を書く脚本家さんをわざわざ呼んできたそうで。なもんで、全編ギスギスしまくりな出来になってるらしく。

「御年寄り」が、「暗い」「前はもっと明るかった」「座る場所(=感情移入できる場面・登場人物)がない」とクレームをつける。サービス提供側は「リニューアルした」と答える。…今の朝ドラですわな。すると、「金にならない客」とは、これまでの朝ドラを楽しんで見てくれていた視聴者、ということになるのかな。「金にならない」が何を示しているのか、そこはわかりませんが。

何にせよ、ここまで当てはまる台詞を出してくるということは、意識して比喩?を入れたのだろうけど。脚本家、あるいはスタッフが、「なんかコレ朝ドラじゃない」と困惑してる視聴者に、「お前等ウザイ。どっか行け」とメッセージを発した…そういうシーンなのかな? しかし、見てる人に分かるんだろうか…? それとも自分が邪推し過ぎ? でも、各台詞がこんなに当てはまるなんて偶然かな?

それにしても、なんだか「ナディア」を思い出します。アレも、NHKらしくない番組を作りたいとプロデューサーが望んで、結果ガイナックスが混ざって、あの展開になったらしいけど…。どうもNHK内には、NHKらしくない方向を追求したい天邪鬼な、いや、反骨精神を持ったプロデューサーが、どの時代も居るようで。

しかし、視聴者としては、例えば“NHKらしくない番組を見たいなら、最初から民放を見ればいい”わけでして…。あえてNHKにチャンネルを合わせるのは、民放では見れないであろう番組を見たいから、なわけで…。

ですので、「NHKらしくない」を目指すのは別に構わんのですが、もう一つプラスして、「NHKらしくない上に、民放では到底作れない番組」を目指してほしいよなと。民放番組の劣化コピー作っても、それは誇れることじゃないし、「だったら民放見るよ」となっちゃうので。どうせなら、階層を一つ飛び越えることを目指してほしいです。

「ナディア」は、階層を飛び越えてた気がしますな…。まあ、宮崎駿の出した企画を、ガイナックスと言う才気あふれるクリエイター集団が、好き勝手にやりたい放題アレンジしたわけだから、状況からして、そりゃ飛び越えますわな…。

朝ドラの階層を飛び越える朝ドラ…。ちょっとイメージ湧きませんな…。そもそも朝ドラとは何ぞや。視聴者は朝ドラに、どんな視聴体験を求めていたのか。…わかんないや。

今までの朝ドラとの違い。 :

自分はろくに朝ドラを見たことが無いので、あくまで薄い印象論ですけど。今までの朝ドラは、何かトラブルが発生して、ヒロインがそれに対処して、という展開を延々繰り返す作りだったと思うわけで。というかほとんどのドラマはそうなんだけど。

ただ、トラブルの発生原因に、朝ドラらしい特徴があった気も。基本的には、抗いようのない状況・時代の変化や、登場人物の会話のすれ違い・勘違いで、トラブルが発生する傾向があった。だから見ていて、「これは仕方ないなあ」「こいつらしょうがねえなあ」と思えるように…視聴者が登場人物を憎まずに済む形で毎日番組が終わる=ある種のさわやかさを維持しながら見せることに成功していた。と自分は勝手に思ってるのですが。もちろん例外も多々あるのですけど。

そして今回の朝ドラは…。自分は数回しかチラ見してないのですが、各トラブルが人間の悪意から発生してるように見えるわけで。というか、たまたまTVをつけて目にした時は、必ずそういう展開・設定だったので、これは意識的にやってるのだろうと想像してるのですけど。

なんにせよ、毎朝毎朝、人間の悪意を見せつけられるのだから、視聴者が受けるストレスは尋常じゃなさそうだなと。もっとも、ストレスが強ければ強いほど、トラブル解決時のカタルシス?も強くなるはずで。たぶんそういう効果を狙ってわざとやってるんだろうなあ、とは思いますが。

でも、仮に評判がよろしくないとしたら。おそらく脚本上の「苦行タイム」の見通しが甘かったんじゃないかなと。人間の悪意から発生するトラブル設定に対しては、これまでの朝ドラの、苦行タイムの設定時間は合ってない…可能性がありそうだと。

わかんないですけどね。そもそも1話分すら見るのが苦痛で、途中でチャンネル変えちゃうんで。

フォーマットや苦行タイム。 :

以前、NHKで放送されていた「チャングムの誓い」という韓国ドラマを見て、感心したことがあるのです。完全にフォーマットができてるなと。

何かトラブルが発生して、すったもんだして、トラブルが解決する。それが、NHK放送分の1話につき、2〜3セット?は必ず入っていた、のかな? ラストは次回へのヒキで終わることが多い。そのフォーマットに従っている限りは、イマイチな出来の回にはなりにくい。 *1 韓国もやりおるなあ、と思ってたんだけど。考えてみたら、NHKの朝ドラと大体同じフォーマットなんですよね…。

で、そこから想像・妄想するに。トラブル発生してすったもんだする時間 ―― 視聴者がイライラモヤモヤさせられる「苦行タイム」には、内容に応じて、平均時間というか、耐えられる限度時間がありそうだなと。短すぎると、「どうせすぐ解決するんだろ」と思われて、解決時も「ふーん」で終わっちゃう。長過ぎると、「見ているのがツラい。イライラする」と視聴停止されてしまう。

「チャングム」は、その苦行タイムが絶妙だったんじゃないかと。アレって、韓国ドラマのせいか、ほぼ間違いなく全てのトラブルが人間の悪意を原因として発生する、実にゲンナリウンザリする嫌な作りなわけですよ。でも、見ていてそこそこ面白い。おそらく、苦行タイムが、限度を超えないギリギリのところで設定されてたのじゃないかと。たまたま偶然そうなったのか、作り手側のノウハウとして「大体何分で必ず解決」と既に決まってるのか知りませんけど。

もっとも、そのあたり、NHKの朝ドラで実験や追求なんてしようがないですな…。放送時間の長さが決まってるし…。

となれば。苦行タイムの長さが決まってるなら、苦行内容の濃度を調整する方向で作るしかないのかも。あるいはこの際、朝ドラの放送時間枠をぶち壊すことも視野に入れて企画を進めるべきだったのかも。わかりませんけど。

このあたり、水戸黄門も参考になりそうな…。最後に敵が出てくる関係で、必ず悪意からトラブルを発生させるわけですが、しかし各話が、1時間近い長丁場。そんなに長い苦行タイムで、どうして人気があるのかと。ああ、でも、昨今はウケてない印象があるから、苦行タイム設定が時代と合わなくなってる気もするなあ。

フォーマットと言えば。スタートレックも、脚本上のフォーマットだかパターンだかルールだかが決まってた、という話があったような…気がするのだけどググってみても情報に遭遇せず。自分、何か別作品と勘違いしてたかな…。

ピクサー映画も、脚本を書く際に意識すべき構成が決まってるらしいですけど。アメリカは、娯楽作品の脚本に関して、テンプレートを見出すのが上手いのでしょうかね…。

もしかすると韓国も、そのあたりのノウハウに気付いて…。いや、チャングムの後に始まった韓国製忍者時代劇は、苦行タイムしか無かった記憶があるから…。あの時点では、韓国はまだそのへん分かってなかった気がする…。今はどうなんだろう…。

何にせよ、勝利のフォーマットとか、発生させたトラブル種類に対する適切な苦行タイムとか、そういうのが見出せたらヒット作を作るのも楽になったりするのかなと幼い夢想を。…そんなものが見出せるようなら、誰も苦労しないですわな。

*1: まあ、途中、どう見てもネタ切れになってましたけど。トラブルと解決策のバリエーションが思いつかなくて「それ前に見たよ?」「また王様頼りで解決かよ」みたいな。

以上、1 日分です。

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