mieki256's diary



2013/12/06(金) [n年前の日記]

#7 [game][dxruby] フリーゲーム制作時におけるフォントのライセンス問題

上の記事でちょっと書いたあたりを補足というか。もっとも、フリーのゲーム、同人ゲームを作ってる人なら、えてしてフォントのライセンス問題は知ってると思いますけど…。念のため、自分も軽く(?)書いておこうかなと。

世の中、「フリーで使えるフォント」なるものがたくさん紹介されていますが。各フォントには、使用条件・ライセンスがついていて、「フリー」だからといって「自由」ではないのが実状で。また、ゲームの場合、画面内でメッセージを表示しなければいけない場面も時々あるわけですけど。そのためにはフォントファイルを、アプリと一緒に同梱しておく必要がありまして。

しかし、この、「アプリと同梱」を禁止してるフォントが多いので、色々と困ってしまうわけでして。

企業が提供するフォントの場合。 :

まず、企業から販売されているフォントは ―― まあ、そもそもフリーのフォントではないわけですけど、それらのフォントはライセンスがが圧倒的に厳しく、たとえCD-ROM等を正規に買った場合であっても、フリーソフトの類では利用できませんで。「同梱禁止」は当たり前としても、更に、「ボタン等に画像化してゲーム画面に出すのも禁止」だったりします。「ゲームや映像作品に、そのフォントを使う場合は、別途契約して使用料を払ってください」というフォントばかり。

以前調べた範囲では、「Webページに画像として表示するのも禁止」てなフォントもありました。じゃあ、一体何に使えるんだよ? …たぶん、年賀状にしか使っちゃダメ、と言ってるのだと思いますけど。

中小企業が配るチラシとかもダメですね。「商業が絡む印刷物への利用は禁止」等が書いてありましたから。

こんな状態ですので、フリーソフトを作る際には、企業が提供してるフォントは絶対に触れないのが賢いだろうと思うのです。こっちは無料で自作ソフトを公開してるのに、後になって「使用料を払え」なんて訴えられたら、大赤字になっちゃいますし。

フリーの日本語フォントの場合。 :

ならば、「フリーで使えるフォント」と紹介されてるフォントなら大丈夫かというと、これも厳しい状態で。

とりあえず、日本語フォントは、99%ダメな印象です…。

まず、「同梱禁止」を明示してあるフォントがゴロゴロあります。まあ、これは、ちゃんと書いてあるだけ、ありがたいほうでして…。

危ないのが、「宗教、アダルト、商業利用禁止」が書いてあるフォント。…アレは何なんでしょうかね? 誰かがテキトーに作った意味不明の独自ライセンスを、何も考えずにコピペして使い回してるとしか思えませんが。

「宗教、アダルト禁止」は避けたほうが無難です。何故なら、こちらの思う「宗教、アダルト」の境界線と、フォント作者様の「宗教、アダルト」の境界線は、大きく異なってる可能性があるからでして。

例えば、フォント作者様が、「Rubyを使ってるヤツは宗教野郎だ。DXRubyを使ってるヤツは、もっと宗教野郎だ」「だから、お前が公開してるDXRubyアプリはライセンス違反している。お前は宗教活動にこのフォントを使ってるのだ」「よって、アプリの公開を即刻停止せよ!」と叫んでも、こちらは文句を言えない。

つまり、フォント作者様の胸三寸で、フォントの使用条件が、後からいくらでも実質的に変更できてしまうのです。せっかく苦労して作ったアプリの生殺与奪を、ソフト制作者ではなく、フォント作者様が、ずっと持ち続けている状態になってしまう。

「宗教、アダルト禁止」という条項は、そんな危険性を内包している一文なのです。

「そんなバカなことを言い出すヤツは居ないよ」と笑いますかね? …でも、日本には、「お前の作った歌詞は、私の漫画から盗んだモノだ! 訴えてやる!」と本当に訴えちゃったおじいちゃんだって居るわけですよ。そのぐらい、モノを作る人ってのは、えてして人間としてどこかおかしいのが常。それでもまだ、「ありえないよ」と笑えますか? そのフォント作者様が、そういうアレな人物ではないと、何故思えるのですか?

わざわざ御丁寧に、フォント作者様が、一時停止の標識を掲げているのだから、こっちはちゃんとブレーキを踏まないと。そのフォントはスルーした方が賢いと思いますが…どうでしょうかね。

このあたり、日本人の民族性があるのでしょうね。何かしらの決まり事を作る際、日本人は、とにかくやたらとグレーゾーンを広げておこうと画策するのだろうと。

例えば、今現在、国会で問題になってる秘密保護法案もそうですし。以前問題になっていた児ポ法もそうですよね。グレーゾーンをとにかく広げておいて、後で問題が出た際には、そのグレーゾーンに引っ掛けて対応できるようにしておこう、と企むという…。

閑話休題。

そんなわけで、日本語フォントで自由に使えるフォントとなると、
  • M+フォント
  • *NIX文化圏から出てきたフォント
  • もしかするとIPAフォント
ぐらいしか選択肢が無いのが実状でして。つまり、デザイン面での自由度が制限されるわけです。いや、M+フォントのデザインは、自分好きなんですけど。それでも選択肢はどうしても絞られちゃうよね、という話です。

ちなみに、M+フォントから派生したフォントも油断できません。時々、独自ライセンスに変わってしまってるフォントを見かけますし。他のフォントが混在したことで制限が増えたフォントもありますから。

まあ、どのフォントも、使う時はライセンスをよく読まないとマズい、というだけの話ですが…。

英語圏のフリーフォントの場合。 :

その点、英語圏のフリーフォントは、随分と状況が違っている印象があります。

まず、独自ライセンスではなく、よく知られているライセンスを選ぶ傾向があります。GPL、BSDライセンス、MITライセンス、CC(Creative Commons)、OFL(SIL Open Font License)、等々…。

英語圏のライセンスは、許可される範囲、禁止される範囲が、比較的明確なので、安心して使えます。

そもそもあちらでは、「宗教」がどうとか奇妙なことを言い出さない印象もありますね。例えばアメリカなどは多民族国家ですから、宗教禁止などと言い出したら無駄に余計なトラブルが発生するわけで。故に、そこらへんは誰も口を挟まないことにするのが、大人の知恵、賢い対応、なのだろうなと想像しますが。

その点日本は、何かおかしいですな…。日常生活のあらゆる場面で宗教が絡んでるわりに、自身が絶えず宗教と接してることにはとことん無自覚で、それでいて突然、合理的理由も無く「宗教禁止」を言い出すのですから…。一体何を考えてるのか、というか、たぶん何も考えてないのでしょうけど。

何にせよ、フリーソフトを作る際、画面のほとんどを英語メッセージにすれば、同梱できるフォントファイルの選択肢はグンと広がると、思っておいてもいいのではないかと。

画像化するなら話は別。 :

ここまでの話は、「フォントファイルをアプリに同梱するなら」という前提の話でしたが。フォントファイルを同梱せず、ボタン画像等、画像化する方向なら話は違ってきます。その場合、独自ライセンスであっても、制限が緩くなる可能性がある…。

そんなわけで。自分が Anime PV Easy Maker ZERO を作った際は、各フォントのライセンスを調べた上で、極力、ボタン等を画像化する方向で作業したのでした。英語フォントは基本的にOFLを、日本語フォントは、同梱はできなくても画像化して使う分にはOK、というフォントだけ選んで使って…いたはずです。たしかそのはず…。

フォント関係は、実に面倒臭いですね。

まあ、見た目に拘ると面倒臭くなるという話ですが。例えば、Windowsに標準でインストールされてるフォントをそのまま使ってしまう分には、全然面倒臭くないのですけど。少し欲を出して、「もうちょっとパッと見を」なんて思い始めると…。

それでも、自身でフォントを作り始める光景を想像すると、現状でもありがたいぐらいで…。M+フォントには、いつもお世話になっております。ありがたや…。

以上です。

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