mieki256's diary



2014/10/22(水) [n年前の日記]

#2 [pc][neta] キーボード入力とフリック入力

ここ数日、「最近の若者のPC離れ」「若者はキーボード入力ができない」という記事をチラホラ見かけたのだけど。それらの記事に「またジジイ共が俺達を馬鹿にしてる」的な怒りのコメントがついてたりして。それを見て、なんだか興味深い現象だな、と思ったり。

どうせ、どの入力方法が主流になるかなんて世間の方々が空気で決めていくものだから、このあたりの話は結論も出ないし、当然オチもつかないのでアレなのだけど。とりあえず、なんか色々考えちゃったので、ひとまずメモ。ただの思考メモです。

誤解する人が居るかもしれないから先に書いとくけど。自分は、キーボード入力が廃れてフリック入力が主流になる未来もありえるし、キーボード入力が延々続く未来もありえるし、どうなるかわからん、と思ってます。

ハードウェアとしてどうか。 :

キーボード入力は、キーボードと言うハードウェアを使うし、フリック入力は、タッチパネルというハードウェアを使うわけですけど。
  • 文字入力すること“だけ”を目的として考え出されたのかキーボード。
  • 座標入力すること“だけ”を目的として考え出されたのがタッチパネル。
ハードウェアだけを見れば、文字入力しかできない専門バカが、座標入力しかできない専門バカに、入力速度の点で負けるとか追いつかれるってのは、まずありえないよなと。「キーボード入力のほうが速いよ」と言われたら、「そりゃそうだよ。それしかできない入力機器だよ? 遅かったら存在意義ねえだろ」って話になりますわ。

ちなみに、文字入力速度だけを見るとキーボードは勝つけれど、だからと言って「キーボード最強」とはならんわけで。だってキーボードで絵は描けないし。その点タッチパネルなら、絵も描けるし文字だって描ける。

要は、何の情報を入力したいか、何をやりたいか、何を優先するかで、入力機器の種類をその都度選んだほうがいいだろうと。餅は餅屋って話なだけですけど。

でも、座標入力しかできないはずのタッチパネルで、実際には文字入力できてるわけで。はて、なんでだろ。

そこはソフトウェアが頑張って、「フリック入力」を提供してくれてるから、ですわな。ハードウェアだけではできないことも、ソフトウェアと二人三脚することで実現可能になる。ハードウェアだけを見たら頭打ちでも、ソフトウェアの改良・改善・革命で、さらにレベルが上がる可能性はある。

そしてソフトウェアの改善は、別の入力機器にフィードバックできたりもする。「フリック入力も改良されてそのうち速くなる」なら、その改善点がキーボード入力にも反映される可能性もあるわけで。

なので、「フリック入力はそのうちキーボード入力より速くなる!」という反論?を目にした際、「その頃にはキーボード入力も同じソフトウェア技術を利用して、もっと速くなってるかもなあ…」と自分は思いましたです。特に入力支援機能はキーボード入力でも使えることが多いし。

マイ○○○。 :

そんなわけで、入力機器は色々な種類があるのだから、適材適所で選ぶべき、という話でしかないよなと思うわけですけど。しかし、おそらくは若い人から、「フリック入力を馬鹿にすんな」という声が上がる。なんだか妙だなと思ったり。ただの道具の話じゃん。何故そこまで怒るんだ。

もちろん、元記事が、「今時の若者はこんなこともできんのだ」てな悪意に満ちた記事になってそうなあたりが一番大きいだろうと思うのですけど。どうもそこだけじゃないのかもしれんと。

そこで飛躍して考えたのが、タッチパネル+フリック入力と言う文字入力スタイルが、今時の人にとっては自分のスタイルでありファッションであり自分自身である、という認識になってるのではないか、てなオレオレ仮説だったり。

昔、「マイコン」って言葉があったんですわ。「マイクロコンピュータ」の略とも、「マイコンピュータ」の略とも言われてますが。マイコンピュータ。私のコンピュータ。マイコンを持つことは当時の人達にとって夢だった。マイホームみたいなもんですわ。

今時の人にとってのマイコンって何か。ちょっと前はケータイだったし、今はスマホですわな。そして、スマホで文字入力と言えばフリック入力がほとんど。要は、スマホという「私専用のコンピュータ」で使える入力方法はフリック入力だから、フリック入力=私の文字入力スタイル=私自身の能力 ―― そんな感覚があるのかもしれんなと邪推したわけで。

誰だって、自分の何かを批判されたら怒るじゃないですか。「お前のアニメの趣味は悪い」とか「お前の顔はブサイクだ」とか「お前走るの遅いよな」とか。「私」を否定されると大体は怒る。

フリック入力は数ある入力方法の一つでしかないので、「フリック入力は遅いよ」と言われたら、「そりゃそうだよ。タッチパネルと言う汎用性の高い入力機器でソフトウェア使って実現してる文字入力だもん。モバイル用途を考えた時、キーボード持って歩かなくて済む分、手軽で便利で、だから普及した入力方法だよ。入力速度まで要求するとか、お前、馬鹿じゃねえの」と返して済むわけですけど。

だけど、「マイ入力方法」「私の入力方法」「私の能力」として無意識に捉えちゃってるもんだから、「私が否定された!」みたいな感情になるのかな、てなことを思いました。外してるかもしれないけど。

コレ、同じことを8bitPC時代もやってた気がするのです。NECのPC派、富士通のFM派、SHARPのMZ/X1派、色々ありましたけど。ユーザ間で、半分冗談、半分本気で、ある種の戦争が頻繁に起きてた。他の派閥から、自分の使ってるコンピュータの弱点を指摘されると、「私が愛してるこのコンピュータを馬鹿にすんな!」と怒っちゃう。…まあ、その怒りが元で、文字しか表示できないMZ-700でゼビウスやスペハリ作っちゃう無茶な人が出てきたりして面白かったんですけど。なので、そういう錯覚って悪いことばかりじゃないよな、そこから何か出てくることもあるし、そういう方向に行けばそれはそれで、とも思うんですけど。

まあ、そういう感覚があるのかもなー、と想像しただけの話で。実際どうなのかはわからんです。

キーボードは「古い」 :

自分はおじさんなので、コンピュータに情報を入力する手段が今まで色々考え出され、随分と変化してきたことを、一応ちょっとぐらいは知ってるわけですけど。

ちょっと書き出してみるか…。
  • 8+16個のスイッチをパチパチとON/OFFして2進数を入力するソレ。工業高校の授業でやりました。コレ、ゲンナリしますぜ。
  • 紙テープ。タイプライターみたいな機械でガッチャンガッチャンと紙テープに穴を空けて、でっかいコンピュータに読ませるのです。コレも高校の授業でやった。古い。古過ぎる。今時コレはねえ。と当時ですら思いました。
  • キーボード。さすがに8bitPCだって、いくらなんでもキーボードぐらいはついてます。
  • アナログジョイスティック。座標入力するのに使えないかと買ったんですが、使いづらくてガックリ。
  • デジタルジョイスティック。方向を入力する機器。ゲーセンのゲームは大体コレ。自分はコレでお絵描きしようと頑張ってました。
  • ジョイパッド。ファミコンについてた。親指痛い。
  • ライトペン。座標入力機器。雑誌の広告を見て、欲しいなあ、コレがあったらお絵描き楽だろうなと夢見てました。ちなみにライトペンの子孫が、スマホのタッチパネルだと思ってます。
  • マウス。大学生の時に出てきて、こりゃ便利だ、コレならお絵描きができると喜びました。
  • トラックボール。マウスは肩が痛くなるので、軽減できないかと一時期買いまくったり。
  • ペンタブレット。今ではコレなしではお絵描きできませんわな。
書き出すだけでウンザリ。他にも色々あるですよ。Webカメラ、Wiiコントローラ、キネクト、DTMなら鍵盤とかドラムパッド…。

しかし、考えてみたら、Windows95が出た1995年あたり、今から20年前に、マウス+キーボードという入力機器の組み合わせで世間一般は固定されちゃったよなと。最近ようやくタッチパネルが普及してきた感じだけど。

自分が子供の頃はマウスなんて無かったけど、今時の人が物心ついた時には、キーボードとマウスがついてるPCを目にしていたわけで。そこで最近タッチパネルが出てきたのだから…。単純に、キーボードを見たら「古い」と思うし、その「古い」入力方法を使えることをジジイ達が自慢してやがるぞケッ、みたいな印象になって当たり前かもなー、と思えてきたり。たぶん学校のIT教育でキーボード叩いた時も、「やらされてる」「なんで今時こんな古いやり方を」「スマホのフリック入力使わせろよ」と思ってそう。

でも、そこには見落としがあるよなと。それぞれの入力機器が何を目的として生まれてきたか、そこからして違うのだから、そこを見て判断すべきだよなと。「古い」「新しい」で即断すべきじゃないんだよなあ…。

自分も、紙テープ使った入力方法を体験して、「今時コレはない」「古い」と思ったけれど。何故そう思ったかと言えば、
  • 自分の部屋に帰ればマイコンあるし
  • 別の教室にはMZ-2000がずらりと並んでるし
  • これからは、一人一台でコンピュータを使える時代が絶対来るはずだ。ていうか、もうなってるじゃん。
  • バカ高いコンピュータを1台しか買えなくて、しかも性能が低くて端末動かせなくて、ソレを複数の人が交代して使うなんて状況は今後ありえんやろ
  • つまりここで学んだスタイルは現場ではまず役に立たん
  • 昔、高い金だしてこんな大掛かりなシステムを買ったから、その元をとらなきゃいかんと思ってこんな授業を今でもやってんだろうな
などと色々考えたから「今時コレは無い」「これは古い」と判断したわけで。単純に、パッと見で「古い」「新しい」と切り捨てたわけでは ―― 「キモイ」「カワイイ」みたいな浅い感覚で入力機器の是非を決めつけてたわけではないわけで。

でもなあ。自分のソレは、高校生の時の話だからなあ…。小学生の時にそういう授業があったら、まるでアニメを「おもしろーい」「つまんなーい」と即断するように、各入力方式を「カッコイイ」「ダサイ」で決めつけて、その後もずっとその印象を引きずってたかもしれない。

もしかすると、学校の授業でキーボードに触るようになった点も関係してるのだろうか。子供の頃に触ったものだから、「これは古い」「こんなものに価値は無い」と決めつけているところがあるのかも。子供の頃から身近にあるものって、不当に低い評価になりがちなんだよな。あって当たり前になってるから…。

そういえば、TVゲーム映像やハリウッド映画もそういう感じだなあ。おじさんが見ると魔法にしか見えないけど、子供達は「ふーん」だし…。いや、娯楽映像は利便性とか作業効率とか関係ないからまたちょっと違うか。

覚える数が少ないほうが勝つ。 :

キーボードで日本語を入力する際、かな入力とローマ字入力があるけれど。今はローマ字入力が主流なわけで。
  • かな入力は50個近いボタンの配置を覚えなきゃいけない。
  • ローマ字入力なら26個ぐらいで済む。
半分覚えれば打てるのだから、そりゃローマ字入力になるわと。キーボード入力って、キー配置を覚えさせるという体育会系なところがあるので、楽な方に流れてくのは当然。

フリック入力なら、さらに覚える数が少なくて済む。10+αで済むわけだから…。かな入力からローマ字入力になってきたことを考えると、同じ調子でフリック入力になる可能性もあるなと。覚える数が少ないほうが勝つ。習得が楽な方が勝つ。みたいな。

しかし、かな入力に比べると、ローマ字入力は1文字入力するのに2回キーを叩くわけで。これがもし、ガラケーで主流だったテンキー入力なら、最悪5回ボタンを連打しないといけない。

つまり一般的には、覚える数が少なくなればなるほど、1文字を入力する手間が増えるのですよ。そりゃ入力速度は遅くなって当然。習得をサボった分、別のところに皺寄せがくる。

それを考えると、フリック入力は結構バランス取れてる感が。自分、あまり使ってないからアレですけど、たしか1回叩いて1回スライドですわな。回数だけ着目するとイケてるよなと。

ただ、フリック入力は、目で見て操作しないと確実に入力出来てるか分からない点がアレですけど。タッチパネルは手触りも無いから誤入力も多いし。ガラケーをポケットに入れてテンキー入力はできたとしても、スマホをポケットに入れてフリック入力はかなり難易度が高いはず。文字入力で視覚を奪われるということは、打ってる文章を眺めて構成を考えるための視覚と脳処理のリソースを文字入力に奪われるわけで、文章作成作業に影響を及ぼすとも思えるし。結局はそういうところに皺寄せがきてるんだろうと。

そのへん考えると、覚える数の多さ少なさと、入力速度、そのバランスが取れてる方法が主流になるのかもしれぬ。と思ったりもするのです。ちょうどいいところで落ち着くだろうなと。

でもなあ。キーボードだって意味不明なQWERTY配置が主流になってしまったあたり、入力機器界隈は、合理的な理由で普及するわけでもないんだよなあ…。だから、今後どうなるかは読めんよなと。世間様の空気で決まるんだろうなと。自分はそう思うのでした。

以上です。

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