2011/12/24(土) [n年前の日記]
#1 [zatta] 録画してたETV特集を消化
日本で原発を作り始めた頃を紹介する番組。前後編の前編を見た。番組制作側である程度ストーリーを作っていることを意識しつつ視聴。何も知らないよりはマシだろう、ぐらいな感じで。
内容をざっくりメモ書き。
感想をざっくりと。
アメリカは地震が少ないがハリケーンが来るので、アメリカ国内においては、非常用電源を地下に設置するのは理に適っているとどこかで聞いた記憶がある。だが、日本の国土は状況が違う。地震が多いし津波も来る。国土の特性に合わせた魔改造が必要だった。しかし、何故そこに発電機を置いているのか、東電幹部も技術者も理解していなかったので、改造の必要性すら見えていなかったと思われる。また、仮に分かっていても、ターン・キー契約では設計変更ができないので黙殺しただろう。
結局、湯川秀樹の、
何十年もこういう状態だったのだから、未だに設計思想も把握できておらず、珍妙な設計のままで放置されている原発が、日本国内にはたくさんありそうな気がする。
そして、GEと同じことを、日本メーカは海外に対してやろうとしてる。現地の国土の特性を理解した上で魔改造が必須だと思うが、日本国内ですらできてなかったのに、海外でソレをやれるんだろうか。
内容をざっくりメモ書き。
- 日本の物理学者は原子力の研究に対して慎重論が主流だった。原子力の研究=兵器開発に繋がる。米ソ冷戦が終わり平和な時代になってから始めるべき、という意見が支持されたほど。
- 政治家が原子力の必要性を強く感じて、研究内容すら決まってないのに予算を先に用意した。学者達、官僚達の尻を「予算は決まってしまったのだからやれ」と無理矢理叩き始めた。
- 第五福竜丸事件で国民が原子力に拒否反応を示す中、正力松太郎がマスコミを使って原子力は夢のエネルギー的な一大キャンペーンを実行。かなりの成功を収める。
- 正力松太郎が原子力委員会委員長に就任。早期の実用化を最優先事項に。基礎研究からじっくり取り組むべきと主張していた湯川秀樹は、後に委員会を辞任。科学的視点が無視されるので、湯川は就任1日目から「辞めてやる。やってられるか」な状態。
- イギリス方式の原発を導入しようとしたが、官僚の調査で、地震が少ないことが前提の設計故日本では使えない・火力発電の効率が異なるので日本ではコスト高になることが判明。しかし正力の一喝で調査結果は無視される。導入したがトラブル続出。
- 日本の商社が積極的に動く。中身をろくに知らないまま商談を次々に成功させていたらしい。
- アメリカで軽水炉が発展。東電がその低コストぶりに興味を示す。
- 東芝、日立、三菱の技術者がGEに招待されるが、仕組みがよくわからなかったらしい。
- ターン・キー契約(試運転までGEが責任を取るが、設計については一切口を挟めない)なら安く作れるとのことで、東電がGEから炉を購入。しかしその契約では設計変更を要求できない。非常用発電は地下で、しかも海側。ポンプのスペックの問題で30mの台地を削り10mの高さに建設。津波に対して脆弱な、福島第一原発が誕生。
感想をざっくりと。
アメリカは地震が少ないがハリケーンが来るので、アメリカ国内においては、非常用電源を地下に設置するのは理に適っているとどこかで聞いた記憶がある。だが、日本の国土は状況が違う。地震が多いし津波も来る。国土の特性に合わせた魔改造が必要だった。しかし、何故そこに発電機を置いているのか、東電幹部も技術者も理解していなかったので、改造の必要性すら見えていなかったと思われる。また、仮に分かっていても、ターン・キー契約では設計変更ができないので黙殺しただろう。
結局、湯川秀樹の、
わが国にも「急がばまわれ」という諺がある。原子力の場合には、これらの言葉がピッタリとあてはまる。という言葉が正しかった。基礎が分かってない・設計思想を理解しないまま他所の国から持ってきて「動いたー!万歳ー!」で済ませた。アメリカでは動いてるからたぶん大丈夫だろう、大丈夫なはずだ、大丈夫に違いない、絶対大丈夫だ、と仕組みも分かってないのに勝手に思い込んだ。Ted's Coffeehouse 2: 原発計画に関する湯川博士の言葉 3 (Hideki Yukawa's Words about Nuclear Power Development -3-) より
何十年もこういう状態だったのだから、未だに設計思想も把握できておらず、珍妙な設計のままで放置されている原発が、日本国内にはたくさんありそうな気がする。
そして、GEと同じことを、日本メーカは海外に対してやろうとしてる。現地の国土の特性を理解した上で魔改造が必須だと思うが、日本国内ですらできてなかったのに、海外でソレをやれるんだろうか。
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以上です。