mieki256's diary



2024/09/30(月) [n年前の日記]

#2 [anime] 「負けヒロインが多すぎる!」最終回を視聴

BS11で放送されていた、ライトノベルを原作とするTVアニメ。現代日本を舞台にした学園ラブコメ(?)作品、だろうか。録画していた最終回を視聴。

面白かった。全話通して面白かった。ラノベ原作アニメとしては最高の出来じゃないだろうか。素晴らしい。

しかし、「何がどう面白いの?」と問われたら、答えに詰まりそう…。一体何が面白かったんだろう…? 主人公が異能力を持ってるわけでもないし、異世界に転生するわけでもないし…。「へえ。その設定は面白いね」と言える要素は何も無い。でも、見ていてとても面白かった。なんでだろ?

例えば、主人公とヒロイン達の会話を眺めているだけでも結構楽しい、というのはありそう。ヒロイン達のちょっとした言動に対して、主人公が間髪入れず心の中でツッコミを入れていくので、見ていてついつい笑ってしまう。主人公がラノベ愛読者という属性なので、そこでそういうツッコミを入れるんかい、という軽い驚きもあったような気もする。

作画面が100点満点の出来、というのも大きい。出来がいいと言っても、綺麗なお人形さんが描いてありますねえ、系の出来の良さではなく…。ヒロイン達がとにかく表情豊かで。最近はセルルックCGアニメのクオリティがグングン上がっているけれど、この表情はまだまだCGじゃ無理だろう、手描きじゃないとこういう表情は描けないよなあ、と思わせるカットを次々に拝ませてもらえた。この流れ、このタイミングで、この娘にそんな表情をさせるのかと何度も驚かされた…。

映し出された各場所の空気感を上手に出しているあたりも良かった。夏、あるいは秋の、教室、非常階段、屋上等々。色調補正に意識を払って、それぞれの場所の空気感を醸しだそうとしていた印象。事前にイメージボードを描いて、色調を探していったらしいけど、それぞれの雰囲気がとてもよく出ていた気がする。

監督は、北村翔太郎監督。このアニメが初監督作品。今までも一演出家として色んな作品で非凡さを見せていたらしいのだけど、まさか初監督作品でここまでのものを作り出してしまうとは…。

インタビュー記事があったのでメモ :

影のつけ方について :

インタビュー記事の中で、影のつけ方に複数パターンを用意したと書いてあって、「ああ、やはり」と思ってしまった。

と言うのも…。同時期に放送されていたTVアニメが ―― 「魔導具師ダリヤはうつむかない」の、おそらく撮影段階で加えてる一律で機械的な影のつけ方、「ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」の、これまた単一で機械的なハイライトの入れ方、それらがあまりにも酷かったもので、他のアニメはどういう処理をしているのだろうとやたら気にして見るようになってしまって…。

そんな状態だったので、「マケイン」は場所によって影やハイライトの入れ方が違っていることに気づけて、こういうつけ方が正解だよなあ、と感心していたわけで…。なるほど、キャラデザの時点で意識的にパターンを複数用意していたから、そういう画を作れたのだな…。その分手間はかかるだろうけど、その場所らしさ、空気感を出すためには必要なのだろう…。

もっとも、そのあたり、スケジュールが無かったらどうしようもないのだろうけど。「ダリヤ」なんて北朝鮮に手伝ってもらって問題になってしまったぐらいだし…。撮影処理でどうにかできないかと工夫する意思があっただけでも褒められてしかるべきとも思うのだけど…。ただ、そこがどんな場所なのかを意識せず、ただ機械的に光や影の記号を付加することの愚かさを目撃してしまった気もする。キャラに光と影がべったり貼り付いてるわけじゃないよ? 空間に光と影があるんだよ? みたいな。

その点、「マケイン」の映像はお手本になるような気もするなと…。もし、アニメの教科書が存在するとしたら、「マケイン」も正解の一つとして載せるべき、とすら…。ただ、インタビュー記事によると、「とても大変」「フツーはまずやらない」ということらしい…。

_負けヒロインが多すぎる!:北村翔太郎監督インタビュー “影"で表現したこと 絶妙なリアリティーラインを目指す - MANTANWEB(まんたんウェブ)

以上です。

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