mieki256's diary



2020/06/16(火) [n年前の日記]

#2 [anime] 「君の名は。」を視聴

地上波で初放送された版をHDDレコーダに録画したまま見れてなかったけれど、ようやく視聴。何年前に放送されたんだっけ…。番組情報を確認したら2018/01/03となってた…。本放送時も部分的に視聴してはいたけれど、ようやく全編通して視聴できた。

さておき。素晴らしい。大ヒット作だから天邪鬼な人達がアレコレ難癖をつけてくる作品だけど、どう見てもコレは名作の部類だなと…。とにかく背景美術が美しい。動くイラスト集と言っても過言ではない…。更に、キャラクター作画による細かい演技がたまらない。実力派アニメーターが参加してくれた、恵まれた作品だよなあ、と…。 *1

映像作品ならではの見せ方を多々盛り込んでいるあたりで唸ってしまった。例えば、終盤、同ポジを利用して 時間の断絶を表現してみたり。映像という、時間の流れを提示できるメディアだからこそ、あえて唐突に、無慈悲に流れを打ち切ってしまうことで、相手に伝わらなかった悲しさを強調して見せたり。更に、総合芸術の強みを活かして、ここぞというところで入ってくる楽曲の数々。おい、そこのバンド、お前達の音楽でこのシーンをガツンと盛り上げてくれや、映画ならそれができるんやで、みたいな。新海誠監督は、間違いなく、正真正銘、映像作家だなと…。映像というメディアが持っている様々な特性を、強みとして活用しているというか、こういうことができるのが映像の面白さでしょ、てなあたりをよく分かってるというか。 *2

そういえば、電車の車窓から見える電線の動きを再現しているカットを目にして、これはよく観察してるなー、たしかにこんな風に見えてたわー、と感心してしまったり…。自分達が日頃目にしているけど、誰も全く気にしていない当たり前の風景の中から、綺麗な部分や面白い部分を発見して、アニメ映像として再現していく…。それはもう観察の中からしか出てこないはずのもので。宮崎駿監督が、「最近の若いアニメーターは観察が足りない」「とにかく観察しろ」と言ってたりするわけだけど。新海監督も、宮崎駿監督のその言を、比較的愚直に実行している監督なのではないか、その証拠が、電車の車窓風景の1カットにすら見て取れるのではあるまいか、などと思えてきたりもして。

もちろん、新海監督と宮崎監督は、観察してるジャンルが違うだろうとは思うけど…。新海監督は、人物の動きについてはまったく観察していない気配があるけど、その分、風景の中のアレコレをじっくり観察してるのだろうなと。ていうか、そのへんを観察してなかったら、あんな綺麗な映像は作れないはずで…。
*1: これまでの新海監督作品も上手いアニメーターさん達が参加してくれてたけど、この作品は群を抜いているように感じるというか。やはり安藤雅司さんの参加が大きかったのではないか…。安藤さんへのインタビュー記事を眺めると、監督に貢献するのではなく作品に貢献する、というポリシーがあるらしいけど、それが良い方向に働いたのではないか…。
*2: 深夜TVアニメを見ていると、映像って何なのかをさっぱり考えないまま作っているのであろう、アレな演出家さんをチラホラ見かけるわけで…。そういう事例と比べてしまうと、新海監督への評も自然と高くなるというか…。いや、もちろん、有名な演出家さんなら、そのほとんどは上手に映像を作っているのだけど。時々ビックリするほどどうしようもない映像を目にする時もあるわけで…。

以上です。

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