2014/10/03(金) [n年前の日記]
#2 [anime] Free!2期最終話を視聴
録画してたソレを視聴。
面白かった。一見すると半裸の美少年ばかりが画面に出てるから女性向けアニメと勘違いされそうだけど、別にそういうわけでもないよなと。監督が女性だからそういう方向もしっかり狙ってるだろうけど、自分のようなおじさんが見てもフツーに面白かったので、ちゃんと一般向けのバランスになってたと思うのですけど。
以下、全体的な印象・感想をメモ。
面白かった。一見すると半裸の美少年ばかりが画面に出てるから女性向けアニメと勘違いされそうだけど、別にそういうわけでもないよなと。監督が女性だからそういう方向もしっかり狙ってるだろうけど、自分のようなおじさんが見てもフツーに面白かったので、ちゃんと一般向けのバランスになってたと思うのですけど。
以下、全体的な印象・感想をメモ。
◎ 水と筋肉に立ち向かった稀有な作品。 :
前にも書いたけど、手描きアニメにおいて、水の表現や筋肉の描写は難しいとされてるわけで。しかしこの作品、水泳がテーマだから、水と筋肉から逃げられない。スタッフ自ら設定面において背水の陣を引いた印象。しかも、映画ならともかく、TVアニメですよ。
それなのに、2クール分も描ききったのだから、それだけでも称賛されてしかるべきだよなと。アニメにおける水の表現を学ぶ際の映像教材になるのではないか、とすら。あるいは、2014年の時点で日本の手描きTVアニメはここまで表現できたという一種の金字塔、てな部分もあるんじゃないかと。さすが京アニ。
手描き云々じゃなくて、撮影技術で頑張った部分だろうけど、最終回の最初のあたりの、小川の水面の表現は、感心して何度も巻き戻して見てしまいました。フィルム撮影時代なら、波ガラスを置いてどうにかするか、あるいは水面の一部の動きを宮崎アニメよろしく動画で描いて疑似表現するぐらいしか無かっただろうけど。デジタル技術導入で試行錯誤がしやすくなったせいか、レベルが一段上がっているよなと。
また、これは脚本・演出面だろうけど、小川の中に居る魚が実にイイ。その場に居る主人公達の人数が、2人→4人になるのに合わせて、魚の数も2匹→4匹に変わって。しかも、3匹が1匹を心配してる雰囲気で。これはアニメならではだなあ、実写じゃこんなのできないよー、と感心。実写だったら、3匹が1匹を心配する光景なんて、一体何日張り込めば撮れるのかさっぱり予測できないし、そもそも小川に魚を4匹放流した時点でどこかに逃げてくよ! みたいな。CGで魚作って実写風景に合成するしかないよなと…。地味でさりげないカットだけど、全てをコントロールして、こういう見せ方もできてしまうあたりが、アニメの強みだなと再認識。
それなのに、2クール分も描ききったのだから、それだけでも称賛されてしかるべきだよなと。アニメにおける水の表現を学ぶ際の映像教材になるのではないか、とすら。あるいは、2014年の時点で日本の手描きTVアニメはここまで表現できたという一種の金字塔、てな部分もあるんじゃないかと。さすが京アニ。
手描き云々じゃなくて、撮影技術で頑張った部分だろうけど、最終回の最初のあたりの、小川の水面の表現は、感心して何度も巻き戻して見てしまいました。フィルム撮影時代なら、波ガラスを置いてどうにかするか、あるいは水面の一部の動きを宮崎アニメよろしく動画で描いて疑似表現するぐらいしか無かっただろうけど。デジタル技術導入で試行錯誤がしやすくなったせいか、レベルが一段上がっているよなと。
- 波フィルタを使って1コマずつちゃんと動いてるように見せられるし。
- 水面の反射を表現する透過光を別レイヤーで何枚も置けてキラキラしてるし。
- 水面に落ちる影にも波フィルタをかけられるからリアルに見えるし。
また、これは脚本・演出面だろうけど、小川の中に居る魚が実にイイ。その場に居る主人公達の人数が、2人→4人になるのに合わせて、魚の数も2匹→4匹に変わって。しかも、3匹が1匹を心配してる雰囲気で。これはアニメならではだなあ、実写じゃこんなのできないよー、と感心。実写だったら、3匹が1匹を心配する光景なんて、一体何日張り込めば撮れるのかさっぱり予測できないし、そもそも小川に魚を4匹放流した時点でどこかに逃げてくよ! みたいな。CGで魚作って実写風景に合成するしかないよなと…。地味でさりげないカットだけど、全てをコントロールして、こういう見せ方もできてしまうあたりが、アニメの強みだなと再認識。
◎ キャッキャウフフ。 :
個人的に、この作品、「けいおん」の美少年版として捉えているのですが。楽器がプールになり、美少女が美少年になった、みたいな。「けいおん」が女子高生達のキャッキャウフフなら、「Free!」は男子高校生達のキャッキャウフフだよなと。
「けいおん」は女性監督が担当してたけど、それで行くと「Free!」は男性監督のほうが合ってたのだろうか。いや、男性監督では、こうはならないよな。おそらく試合結果がどうとかの、競争意識だけが前面に出てくる、ギスギスした内容になりそう。おそらく、キャッキャウフフは女性作家のほうが上手に描けるのではないか、などと思えてきたり。
しかし、「Free!」の脚本は横谷昌宏氏なわけで。そういや横谷氏はケロロ軍曹もやってたっけ。アレだって、少年達のキャッキャウフフと言えなくもないよな…。つまり、少年少女を問わずキャッキャウフフさせたいなら横谷氏に仕事をお願いすると上手にやってくれそうだ、てな話になるのかしら。
「けいおん」のメインライターだったであろう吉田玲子氏も、SFロボットアニメの「マジェスティックプリンス」でキャッキャウフフを描いてた気もするけど、何かが違ったような…。女性脚本家が描く少年達のキャッキャウフフと、男性脚本家が描く少年達のキャッキャウフフは、何か違う気がする。その違いの正体が分からないですけど。
逆に、男性脚本家が描く少女達のキャッキャウフフは、女性視聴者から見て「何かが違う」と思われたりするのだろうか。どうなんだろう。よくわかりません。
「けいおん」は女性監督が担当してたけど、それで行くと「Free!」は男性監督のほうが合ってたのだろうか。いや、男性監督では、こうはならないよな。おそらく試合結果がどうとかの、競争意識だけが前面に出てくる、ギスギスした内容になりそう。おそらく、キャッキャウフフは女性作家のほうが上手に描けるのではないか、などと思えてきたり。
しかし、「Free!」の脚本は横谷昌宏氏なわけで。そういや横谷氏はケロロ軍曹もやってたっけ。アレだって、少年達のキャッキャウフフと言えなくもないよな…。つまり、少年少女を問わずキャッキャウフフさせたいなら横谷氏に仕事をお願いすると上手にやってくれそうだ、てな話になるのかしら。
「けいおん」のメインライターだったであろう吉田玲子氏も、SFロボットアニメの「マジェスティックプリンス」でキャッキャウフフを描いてた気もするけど、何かが違ったような…。女性脚本家が描く少年達のキャッキャウフフと、男性脚本家が描く少年達のキャッキャウフフは、何か違う気がする。その違いの正体が分からないですけど。
逆に、男性脚本家が描く少女達のキャッキャウフフは、女性視聴者から見て「何かが違う」と思われたりするのだろうか。どうなんだろう。よくわかりません。
◎ 以下ネタバレ。 :
※ 隠してある部分は、クリックすると外れます。
「けいおん」の男女反転版が「Free!」と捉えていたので、 卒業がどうとかで主人公達が泣き始めたシーンでは、「ハイハイハイ、キタキタキター。やっぱり来たよー」って感じでした。成功体験を踏襲してるな、みたいな。
もちろん、学生さんにとって 卒業は重要イベントだし、進路云々も面倒な問題なので、これを利用しない手はないよなと。アレで正解だと思いました。
「けいおん」の男女反転版が「Free!」と捉えていたので、 卒業がどうとかで主人公達が泣き始めたシーンでは、「ハイハイハイ、キタキタキター。やっぱり来たよー」って感じでした。成功体験を踏襲してるな、みたいな。
もちろん、学生さんにとって 卒業は重要イベントだし、進路云々も面倒な問題なので、これを利用しない手はないよなと。アレで正解だと思いました。
◎ 記憶を上手に引き出せるアニメは強い。 :
CMを挟んでのラストカットには、「そう来たか…」と唸りました。あのカットは、たしか、
京アニのTVCMとして流してたパイロット映像のラストカットと同じレイアウトだったはず。
制作途中で紆余曲折があったはずだけど、しかし、ラストカットを同じにしたことで、「初志貫徹ができました!」てな雰囲気を出せている・そういう部分でも演出ができているよなと。一本筋が通った瞬間を目撃できたかのような、ある種の清々しさを感じたわけで。ここでこのカットを出してくるのは上手い、と感心を。
また、あのラストカットは、視聴者側の「記憶」を引き出すトリガーなわけだから、これは「強い」ぞ、と思えたり。
個人的には、視聴者の持ってる「記憶」を上手に引き出すアニメって「強い」と思うわけですよ。例えば、「となりのトトロ」とかそうですし。
で。「Free!」の場合、 パイロット映像を見るという行為が、視聴者にとって「体験」だったわけで。「なんですか、このクオリティの高い映像は?」「この美少年達は誰なの?」「これはTVアニメなの? 映画なの?」「『京アニの新しい挑戦』って一体どゆこと?」等々疑問を抱かせて期待させる、てな体験を与えてた。
そして、「体験」させたことで、視聴者側に「体験の記憶」が作られる。その「記憶」を、本編ラストにトリガー仕込んで、まんまと呼び出す…てなことができていたのかもしれないなと。これは計画通りなのか、たまたまそうなったのか分からないけど、何にしてもこれはたぶん強いんじゃないか、てなことを思ったのでした。
「境界の彼方」でも、毎回聴かされて出来上がってる、OP曲という「記憶」を上手に使ってたし。考えてみれば、「けいおん」の 卒業云々だって、学生時代を体験したことのない人はまず居ないのだから、共通して持ってる「記憶」を上手に使ってた、と言えるのかもしれず。さすが京アニ、なのかしら。
制作途中で紆余曲折があったはずだけど、しかし、ラストカットを同じにしたことで、「初志貫徹ができました!」てな雰囲気を出せている・そういう部分でも演出ができているよなと。一本筋が通った瞬間を目撃できたかのような、ある種の清々しさを感じたわけで。ここでこのカットを出してくるのは上手い、と感心を。
また、あのラストカットは、視聴者側の「記憶」を引き出すトリガーなわけだから、これは「強い」ぞ、と思えたり。
個人的には、視聴者の持ってる「記憶」を上手に引き出すアニメって「強い」と思うわけですよ。例えば、「となりのトトロ」とかそうですし。
- メイがおたまじゃくしの群れに手をツッコんだ時のおたまじゃくしの動き。
- 蚊帳の中で寝ている家族。
- 何軒か農家が集合してる場所の小道の風景。
- etc。
で。「Free!」の場合、 パイロット映像を見るという行為が、視聴者にとって「体験」だったわけで。「なんですか、このクオリティの高い映像は?」「この美少年達は誰なの?」「これはTVアニメなの? 映画なの?」「『京アニの新しい挑戦』って一体どゆこと?」等々疑問を抱かせて期待させる、てな体験を与えてた。
そして、「体験」させたことで、視聴者側に「体験の記憶」が作られる。その「記憶」を、本編ラストにトリガー仕込んで、まんまと呼び出す…てなことができていたのかもしれないなと。これは計画通りなのか、たまたまそうなったのか分からないけど、何にしてもこれはたぶん強いんじゃないか、てなことを思ったのでした。
「境界の彼方」でも、毎回聴かされて出来上がってる、OP曲という「記憶」を上手に使ってたし。考えてみれば、「けいおん」の 卒業云々だって、学生時代を体験したことのない人はまず居ないのだから、共通して持ってる「記憶」を上手に使ってた、と言えるのかもしれず。さすが京アニ、なのかしら。
◎ 見たことのない景色。 :
「見たことのない景色」の映像は、正直、初見時は、「なんじゃこりゃ」と思ってしまったのですけど。しかし、後になって制作状況を妄想したら、これはこれでと思えてきたり。
例えば監督から、
「最終回なんだから、四人に『見たことのない景色』を本当に見せてやりたいんですよ! …じゃあ、あとよろしく!」
と発注されたら、脚本家さんは頭抱えるよなと。
あるいは、仮面ライダーシリーズの井上脚本のように、脚本上では、
「四人、『見たことのない景色』を見る。
試合終了。湧き上がる歓声」
と、さらっと書かれてたら、今度はコンテマン・演出家が頭を抱えるよなと。
そんな状況を妄想すると、あのシーンは、あれはあれでアリなんじゃないかなと…。どの職種が頭を抱えたのか分からないけど、無茶な発注によく応えた! みたいな。
まあ、実際には会議で決まったのだろうと想像するのですけど。今時のアニメは、なんでも会議で決めていくらしいですし…。
「『見たことのない景色』ねえ…。どんな景色なんだろう」
「うーん。生物が海で暮らしていた頃の原初的な記憶が再現されるとか」
「エサのプランクトンが目の前にたくさん見えるぜ、今日は御馳走だ! みたいな?」
「プランクトンはちょっと…」
「そこはせめて魚じゃないの?」
「魚…? サバか!」
「それハルにしか通じない! 他の三人ポカーンだから!」
「サバの大群か…。CG班にお願いしないと」
「真面目に考えなくていいから! サバは無し! 却下!」
「魚は生臭い感じがして嫌だなあ。俺、魚嫌いなんだよね…目も怖いし…」
「庵野監督みたいなこと言わないでください」
「なら、 イルカはどう?」
「ソレだ! その方向で行きましょう」
「皆が イルカを見てもつまんないよね」
「じゃあ、 クジラとか シャチとか。他に何があるかな」
「一人ぐらい変なの見てもいいんじゃない?」
「レイはちょっとずれてるから変なの見そうですね」
「アイツだけ イワトビちゃんが見えたりして」
一同笑。
「さすがに イワトビちゃんはマズいよ。せめて イワトビペンギンとかさあ」
そんな妄想をしてから件のシーンを思い返してみたら、アレはアレでアリだな、スタッフは頑張ったよなあ、と…。
「見たことのない景色」って、どんな景色なんでしょうね。
例えば監督から、
「最終回なんだから、四人に『見たことのない景色』を本当に見せてやりたいんですよ! …じゃあ、あとよろしく!」
と発注されたら、脚本家さんは頭抱えるよなと。
あるいは、仮面ライダーシリーズの井上脚本のように、脚本上では、
「四人、『見たことのない景色』を見る。
試合終了。湧き上がる歓声」
と、さらっと書かれてたら、今度はコンテマン・演出家が頭を抱えるよなと。
そんな状況を妄想すると、あのシーンは、あれはあれでアリなんじゃないかなと…。どの職種が頭を抱えたのか分からないけど、無茶な発注によく応えた! みたいな。
まあ、実際には会議で決まったのだろうと想像するのですけど。今時のアニメは、なんでも会議で決めていくらしいですし…。
「『見たことのない景色』ねえ…。どんな景色なんだろう」
「うーん。生物が海で暮らしていた頃の原初的な記憶が再現されるとか」
「エサのプランクトンが目の前にたくさん見えるぜ、今日は御馳走だ! みたいな?」
「プランクトンはちょっと…」
「そこはせめて魚じゃないの?」
「魚…? サバか!」
「それハルにしか通じない! 他の三人ポカーンだから!」
「サバの大群か…。CG班にお願いしないと」
「真面目に考えなくていいから! サバは無し! 却下!」
「魚は生臭い感じがして嫌だなあ。俺、魚嫌いなんだよね…目も怖いし…」
「庵野監督みたいなこと言わないでください」
「なら、 イルカはどう?」
「ソレだ! その方向で行きましょう」
「皆が イルカを見てもつまんないよね」
「じゃあ、 クジラとか シャチとか。他に何があるかな」
「一人ぐらい変なの見てもいいんじゃない?」
「レイはちょっとずれてるから変なの見そうですね」
「アイツだけ イワトビちゃんが見えたりして」
一同笑。
「さすがに イワトビちゃんはマズいよ。せめて イワトビペンギンとかさあ」
そんな妄想をしてから件のシーンを思い返してみたら、アレはアレでアリだな、スタッフは頑張ったよなあ、と…。
「見たことのない景色」って、どんな景色なんでしょうね。
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以上です。