2012/01/13(金) [n年前の日記]
#1 [anime] アニメのコンテって難しいのだろうな
ギルクラを視聴しているうちに、考え込んでしまった。…いや、別にDISるつもりはないのですが。単に自分はこういうことを考えちゃった、というだけの話なので。ただの思考メモです。
少女の歌声が世界に響き渡る。少年は仲間と共に、少女が居る塔へと走り出す。行く手を遮る多数の敵。少年は次々に友を武器へと変え、破竹の勢いで道を切り開いていく。塔に辿り着いた少年。想い人である少女との再会。しかしそこには。…というシーン。
映像から推測した脚本は完璧な出来と思えた。戦闘シーンで視聴者のテンションをグングン高め、最高に高めたところで少女と再会させる。そこにはある種吊り橋効果にも似た状態が、視聴者側の中に発生しているはず。そのタイミングでぶつける衝撃の展開。視聴者の心情をこのように誘導しよう、楽しませてあげようという思惑が見えた気がした。構成は文句のつけようがない。これで盛り上がらなかったらおかしい。仮に自分が脚本を受け取る立場に居たら、読み終えた瞬間ニヤニヤしながら「クゥーッ!」と唸っていたはず。
でも、出来上がった映像を見ても、自分は全然盛り上がらなかった。
作画レベルは高い。TV放映されるアニメの中では、ほぼ最高峰に位置しているのではないか。そして前述のとおり、脚本も完璧。作画も脚本も完璧だとしたら、自分が見ていて盛り上がらなかった原因は…。
エウレカセブンでも、中盤に盛り上がる回があった。脚本家も同じ。作画も凄かった。あの回は、見ていて自分も盛り上がった。あの時は盛り上がれて、今回盛り上がれなかったのは、何故なんだろう。
見ている自分が年をとったから? あるいは、単に好みの問題? 原因を見る側のせいにできたら楽だけど。
何が足りなかったんだろう。あるいは、何が多過ぎたんだろう。
少女の歌声が世界に響き渡る。少年は仲間と共に、少女が居る塔へと走り出す。行く手を遮る多数の敵。少年は次々に友を武器へと変え、破竹の勢いで道を切り開いていく。塔に辿り着いた少年。想い人である少女との再会。しかしそこには。…というシーン。
映像から推測した脚本は完璧な出来と思えた。戦闘シーンで視聴者のテンションをグングン高め、最高に高めたところで少女と再会させる。そこにはある種吊り橋効果にも似た状態が、視聴者側の中に発生しているはず。そのタイミングでぶつける衝撃の展開。視聴者の心情をこのように誘導しよう、楽しませてあげようという思惑が見えた気がした。構成は文句のつけようがない。これで盛り上がらなかったらおかしい。仮に自分が脚本を受け取る立場に居たら、読み終えた瞬間ニヤニヤしながら「クゥーッ!」と唸っていたはず。
でも、出来上がった映像を見ても、自分は全然盛り上がらなかった。
作画レベルは高い。TV放映されるアニメの中では、ほぼ最高峰に位置しているのではないか。そして前述のとおり、脚本も完璧。作画も脚本も完璧だとしたら、自分が見ていて盛り上がらなかった原因は…。
エウレカセブンでも、中盤に盛り上がる回があった。脚本家も同じ。作画も凄かった。あの回は、見ていて自分も盛り上がった。あの時は盛り上がれて、今回盛り上がれなかったのは、何故なんだろう。
見ている自分が年をとったから? あるいは、単に好みの問題? 原因を見る側のせいにできたら楽だけど。
何が足りなかったんだろう。あるいは、何が多過ぎたんだろう。
◎ もうちょっともやもや考える。 :
脚本がやりたかったことは、なんとなく想像できる。戦闘シーンは、「トップをねらえ」第5話や、「マクロス劇場版 愛・おぼえていますか」あたりを…例が古いけど大体あんな感じを再現したかったのではないか。次から次へと襲いかかる宇宙怪獣を、間髪入れず必殺技を繰り出し撃退していくガンバスター。少女の歌声をバックに、本陣へと一気に突き進んでいく主人公のバルキリー。どちらも見ているだけで体温が上がってくる。たぶん、ああいうノリだ。
そして展開そのものは、どことなく「カリ城」に近い。塔を駆け上っていくルパンと銭形。クラリスとの再会。さあ脱出だ、というところで、ズキューン、ドカーン。見る側のテンションを上げていって、安堵させて、驚かせる。流れは同じ。…やっぱり完璧な脚本じゃないか。
曲が先でコンテが後だったのか。それとも逆か。曲に合わせるために映像が間延びしたのだろうか。しかし曲が先にあったなら、せっかくのサビの部分で、敵基地内のFIXカットと状況説明台詞をわざわざ流すだろうか。自分だったら、少女か少年を背景動画か3DCG込みで〜等を考える。サビと同時に、見てるだけで「お?」と思うカットを流して、ゾクゾクさせなきゃもったいない。ということは曲が後で、戦闘シーンの長さに曲の長さを合わせてくれたのだろうか。となると、コンテ段階で戦闘シーンを長く描き過ぎた可能性がある。映像の設計段階で、時間の圧縮が足りてなかったのかもしれない。…実際の作業がどうだったか分からないから、頓珍漢なことを書いている可能性が高いが。
TVシリーズのスケジュールで、曲と合わせたカット割りなど無理、なのだろうか。仮にそうだとしたら、ツールで実現可能にできる余地はないか。曲に合わせてマウスボタンを押していけば、24コマ/秒単位で延々とタイミングを記録できるストップウォッチでもあれば。…そういうツールが既に公開されてた記憶もあるけど。
そして展開そのものは、どことなく「カリ城」に近い。塔を駆け上っていくルパンと銭形。クラリスとの再会。さあ脱出だ、というところで、ズキューン、ドカーン。見る側のテンションを上げていって、安堵させて、驚かせる。流れは同じ。…やっぱり完璧な脚本じゃないか。
曲が先でコンテが後だったのか。それとも逆か。曲に合わせるために映像が間延びしたのだろうか。しかし曲が先にあったなら、せっかくのサビの部分で、敵基地内のFIXカットと状況説明台詞をわざわざ流すだろうか。自分だったら、少女か少年を背景動画か3DCG込みで〜等を考える。サビと同時に、見てるだけで「お?」と思うカットを流して、ゾクゾクさせなきゃもったいない。ということは曲が後で、戦闘シーンの長さに曲の長さを合わせてくれたのだろうか。となると、コンテ段階で戦闘シーンを長く描き過ぎた可能性がある。映像の設計段階で、時間の圧縮が足りてなかったのかもしれない。…実際の作業がどうだったか分からないから、頓珍漢なことを書いている可能性が高いが。
TVシリーズのスケジュールで、曲と合わせたカット割りなど無理、なのだろうか。仮にそうだとしたら、ツールで実現可能にできる余地はないか。曲に合わせてマウスボタンを押していけば、24コマ/秒単位で延々とタイミングを記録できるストップウォッチでもあれば。…そういうツールが既に公開されてた記憶もあるけど。
◎ もうちょっと思い出してみる。 :
トップをねらえの戦闘シーンは、全部で何分何秒あっただろうか。最短のカットは何フレームで、最長のカットは何フレームだったろう。各カットのレイアウトは、どういう種類のレイアウトだったろう。カットとカットの繋ぎ方は、どんな具合だったろう。…自分は初見時、カット間の繋ぎ方に不自然さを感じた。つまりそれだけ、矢継ぎ早にカットを切り替えていくことを優先して作っていたのだと思う。そして各カットは、パッと見ただけで何が起きてるか分かるように描かれていた。記号というか、説明のためのレイアウトで統一されていたのだろう。つまり、一目見ただけで分かるカットを次々に繰り出すことで、映像にテンポを与えていたのではないか。
マクロスは、ちょっと違う印象がある。1カットあたりの動画の魅力で見る側を楽しませていたように思える。記憶が怪しいけれど、各カットが長めで、かつ2コマ?1コマ?作画が目立っていた記憶が。動画を見てるだけでもグッと来るのに、そこにミンメイの歌までプラスされる。
カリ城は…よもや見ていない人は居ないだろうから、説明不要か。
エウレカセブンは…。自由落下する少年と少女の動画。そこに加わる、お互いを求め合う叫び。合流後は、謎の光がメインメカを包み、周囲のメカを次々に無力化していく。板野サーカス的な空中戦に、敵側の「追いつけねええ!」的叫び声が被さる。映像はブレーキを踏んでいない。アクセルを踏みっぱなしだった印象がある。
まあ、どれもこれも脳内美化されている可能性が高いけれど。再度見直してみないとたしかなことは言えない。
庵野監督はEVA第1話を作るにあたって、1stガンダムの1話を何度も見直して分析したと聞いている。少年をロボットに乗せるための誘導に不自然さを感じ、答えを1stガンダムに求めたのだとか。 *1
自分も、過去作品を分析すれば、どうして盛り上がれなかったのか、その理由が分かったりするんだろうか。…分かったところで何の役に立つわけでもないし。どうでもいいか。手元に各映像は残ってないし。
マクロスは、ちょっと違う印象がある。1カットあたりの動画の魅力で見る側を楽しませていたように思える。記憶が怪しいけれど、各カットが長めで、かつ2コマ?1コマ?作画が目立っていた記憶が。動画を見てるだけでもグッと来るのに、そこにミンメイの歌までプラスされる。
カリ城は…よもや見ていない人は居ないだろうから、説明不要か。
エウレカセブンは…。自由落下する少年と少女の動画。そこに加わる、お互いを求め合う叫び。合流後は、謎の光がメインメカを包み、周囲のメカを次々に無力化していく。板野サーカス的な空中戦に、敵側の「追いつけねええ!」的叫び声が被さる。映像はブレーキを踏んでいない。アクセルを踏みっぱなしだった印象がある。
まあ、どれもこれも脳内美化されている可能性が高いけれど。再度見直してみないとたしかなことは言えない。
庵野監督はEVA第1話を作るにあたって、1stガンダムの1話を何度も見直して分析したと聞いている。少年をロボットに乗せるための誘導に不自然さを感じ、答えを1stガンダムに求めたのだとか。 *1
自分も、過去作品を分析すれば、どうして盛り上がれなかったのか、その理由が分かったりするんだろうか。…分かったところで何の役に立つわけでもないし。どうでもいいか。手元に各映像は残ってないし。
◎ 作業の進め方で改善されたりはしないか。 :
戦闘シーンとそれ以外で、別の人にコンテを書いてもらうとか。戦闘シーンを先に上げてから他のシーンに手を付けて作画リソースを上手にやりくりするとか。つまりは作業の分担や順番を変えることで解決する部分もあるんだろうか。
例えば、「オネアミスの翼」は一番の見せ場のDパートから作り始めたそうだし。「CASSHERN」は戦闘シーンだけ樋口コンテだし。前例はある。であれば、作業の進め方に手を入れることで、クオリティが向上する可能性もあるのかもしれない。
仮にそうだとしても、そういう割り振りは、監督の仕事なのか、プロデューサーの仕事なのか。よくわからないが。
例えば、「オネアミスの翼」は一番の見せ場のDパートから作り始めたそうだし。「CASSHERN」は戦闘シーンだけ樋口コンテだし。前例はある。であれば、作業の進め方に手を入れることで、クオリティが向上する可能性もあるのかもしれない。
仮にそうだとしても、そういう割り振りは、監督の仕事なのか、プロデューサーの仕事なのか。よくわからないが。
◎ 別の狙いがあったのだろうか。 :
元々、燃えるシーンを作るつもりはなかったのかもしれない。見ていたこちらが、そういうシーンにしたいのだろうと勝手に思い込んでいるだけで、本来はゆったりとした、別の印象を持ってもらいたいと考えて作られたのかもしれない。…地上波放送を見て、今まで書いてきたようなことを思ってしまったが、BSで再度見直せば新しい発見があるのかもしれない。とりあえず、BS放送時にもう一度見てみるか…。
何にせよ。コンテを描くのって難しい作業なんだろうなと想像した次第です。
何にせよ。コンテを描くのって難しい作業なんだろうなと想像した次第です。
*1: そして富野監督の手腕に舌を巻いて「これは真似できん」と悟ったらしい。が、EVAのスタッフ談では、包帯だらけの綾波とバックに流れるBGMでどうにかなっちゃったとかなんとか。
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以上です。