mieki256's diary



2024/10/14(月) [n年前の日記]

#1 [anime] アニメのライブシーンの曲の音質について

思考メモ。

TVアニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」2期の1話を見ていて、ちょっと気になるシーンがあったのでメモ。

新キャラ? 新ユニット? が登場して、初めてライブシーンを披露する、というシーンなのだけど、その途中で…。
「スマホやTVで映像を見ているのだから、曲の音質も違って聞こえて当然だろう。一体どこがおかしいんだ? 気にするようなシーンか?」と思う人が居るかもしれないけど…。個人的には、なんでそんな余計なことするかなあ、このスタッフは所謂リアルめ○らなのかな、と首を捻ってしまった。そこで音質変えたら、曲/シーンの勢いを殺しちゃうじゃんよ、と…。

前提を想像 :

まず前提として。新キャラ/新ユニットのお披露目シーンであり、初のライブ/ダンスシーンなのだから、視聴者に「こいつらなかなかええやん」と思ってもらわないといけないシーン、だったのではないのかなあ、と。

こういうアニメって、おそらくキャラだの曲だのをどこかに売り込むために作ってるんだろうと想像するのだけど、だとしたら最後までイケイケでその曲/シーンを流して好印象を持ってもらわないと…。そのためには曲/シーンの勢いを無駄に殺してちゃダメでしょ、と思うわけで。

この前提がそもそも間違ってる可能性もあるけれど、それは一旦横に置いといて。

一般的なアイドルアニメでも、ライブ/ダンスシーンの途中で、舞台袖や客席から関係者がこっそり見てる、的カットが挿入されることが多々あるけど。上手いスタッフなら、そこで曲の音質を安易に変えたりしない。ほとんどの場合、そういうシーンってその回の見せ場だから、アクセルは踏むけどブレーキなんか踏まない。無駄にブレーキ踏む馬鹿はまず居ない。とも言えないか…。たまに居るような気もする…。

視点が変わると勢いも死んじゃう :

曲の音質を変えてしまうと何故シーンの勢いが削がれるのか。それは視点が変わってしまうからではないのかなと。

  • ライブ/ダンスが始まった直後は、視聴者はそのライブ/ダンスを見ている観客的な視点に置かれてる。
  • もし、別の場所/人物を映した画が挿入されたとしても、曲が音質そのままで流れ続けていれば、視点としては観客のソレを保持できる。音楽は場を支配するので…。
  • しかし、そこで音質まで変えてしまうと…。「ライブを見ている視聴者」から「ライブ映像を観賞している人物を傍から眺めている視聴者」という視点に切り替わってしまう。一貫性が無くなる。流れが途切れる。勢いが死んでしまう。

視聴者にとっては…。今までライブ会場でアイドル見て徐々に気分が盛り上がってきたところなのに、カットの切り替わりと同時に「ハイハイ。会場から出ていってください。廊下にTVありますんでそっちで見てください」と追い出されたような状態。そりゃ見ていて盛り下がる…。

例えば。「劇場版超時空要塞マクロス」のラストのあたり、バルキリーや板野サーカスが画面に映し出されるたび、ミンメイの歌声がどこかのスピーカーを通しているような音質に逐一変化してたらどうなるか…? カットが切り替わるたびに、あの歌が、ステレオ音質とモノラルラジオ音質の間を、きっちり真面目に神経質に行ったり来たりしてる様子を想像すれば…。そんなことしたら全部台無しですわ。

もっともこのあたり、そこで流れている歌を、「その場所で鳴ってる只の音」として捉えるのか、それとも「映像を盛り上げてくれるBGM」として捉えるのか、という話かなとも…。場所に応じて音質を変えると言うのは、BGMになるはずだった音楽を、只の環境音に貶めてる、とも言える…?

何にせよ、視聴者の気分を盛り下げたいならともかく、盛り上がるシーンにしたいと思っているならこんなアホなことしてちゃダメだよなあ、と思ったし、ここは企画のジャンル的に盛り上がるシーンにすることをスタッフは要求されてるはずの場面じゃないの? 違うの? とも思ったのでメモ。只の思考メモです。 *1

所詮ケースバイケース :

ここまで、「ライブシーンで曲の音質は変えないほうがいいのでは」みたいな話をメモしてみたけれど。こういうのって絶対にそうしないとダメと言う話でもないよな、と…。

例えば、京都アニメーション作品の「響け!ユーフォニアム」も、各シーンで曲を流しているわけだけど…。会場の外で、ドアから漏れてくる演奏に聞き耳を立てている補欠部員達、みたいなカットがあったはず。そこでは曲の音質をがっつり変更して ―― かすかに聞こえてくる音にして、その場所らしい聞こえ方に変更してた。

「なんだ。あの京アニがやってるなら、やってもいいんじゃん?」と思ったとしたら、それはちょっと考えが浅い。何故なら状況が違うから。

  • 「ユーフォニアム」は、「このキャラを売り込め」的な命題は与えられてない。アイドルアニメじゃない。強いて言えば青春群像劇? とにかくジャンルが違う。
  • 流れを分断しない/勢いを殺さない演奏シーンは、既に以前の回で披露済み。今更二度も三度も同じノリで演奏シーンを見せるの? という状態。
  • 記憶が怪しいけど、演奏シーンの前後にフォーカスを当てた回だった気がする…。演奏シーンがメインじゃない。
  • そもそもイケイケ気分になる曲じゃない…。

企画のジャンル、あるいはタイミングで、それをやってもいいか、やらないほうがいいかは違ってくるよなと。

「キャラがスマホ/TVを見てる画なんだから当然音質もソレに合わせて変えないとダメだ」なんて思考はあまりに浅過ぎて論外としても、「勢いを殺すから絶対に音質変えちゃダメだ。絶対に、だ」と言い出すのもやっぱりちょっとおかしい。場合による。

結局、こういうのってケースバイケースだから、企画としっかり向き合って、タイミングをよく見て、適切な見せ方を選ばないとアレなんだろうなと…。

もっとも、『選ぶ』ためには複数の手札持ってないと…。1枚しか持ってなかったら、その場に合ってなくても、それしか出せない…。日頃から引き出し増やしておかないと…。使うか使わないかは別にして、こういう手もある、こういうメリットとデメリットもある、と知っておかないといけない…。演出家さんって大変だなと…。

まあ、思考メモです。オチは無いです。

*1: でもまあ、件のアニメは、1期からしてそのへん何かおかしかったので、今更な感も…。毎回EDで何故かインストゥルメンタル曲流して「ナニコレ? バッドエンドってこと?」と思わせてたし…。あらゆる箇所で、視聴者の気分が盛り下がるようにと意識して演出してる気配すら。一体何の実験をしてるつもりなんだろう? CG映像は圧倒的にクオリティが高いのだけど、演出意図が見えない…。

以上です。

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