mieki256's diary



2022/12/25() [n年前の日記]

#1 [tv] TR-808関連の番組を2本視聴

思考メモ。なのかな。たぶん。

先週、今週と、電子楽器 TR-808 (以下808と記述)を紹介する番組がNHKで放送されていたので、どちらも視聴したことをメモ。
そもそも、TV で 808 が紹介されてしまうという展開にビックリ。いやー、見れて良かった…。スタッフさん、ありがとう。星野源さん、ありがとう。その点については御礼を言いたい。よくぞ、こんなニッチな(?)内容を放送してくれたなと…。ありがとう。本当にありがとう。

ただ、内容は随分違っていて、そのことでなんだかちょっと考えさせられてしまったので、そのあたりもメモ。

異なる歴史。 :

「ノーナレ」で語られていた808の歴史は…。
  • 「発売したものの、実際のドラムの音とはかけ離れた音で、市場の評価は芳しくなかった」
  • 「すぐ後にサンプラーが世に出たこともあり、808は『時代遅れの古臭い電子楽器』扱いされてしまう」
  • 「投げ売りされてた808を、お金が無かったヒップホップミュージシャン達が入手。活用方法を次々に見出していく」
  • 「それをキッカケにして808の再評価が始まる」
この歴史は自分もどこかで聞いていたので気にならなかったのだけど。

「星野源の〜」で語られていた808の歴史は…。
  • 「発売したらたちまち大ヒット」
  • 「世界中のミュージシャン達が『この音イイネ!』と大絶賛」
  • 「808を使った曲が次々に大ヒット」
まあ、番組内で流れた実際の説明文とはニュアンスが異なるだろうけど、初見ではこんな感じの説明に聞こえてしまって…。

「ノーナレ」→「星野源の〜」の順番で放送されたせいもあって、「星野源の〜」を見ていて「おいおいおい…。その説明はマズいだろ…」とドキドキハラハラ。まるで、「(カリ城|ブレードランナー)は公開した途端に大ヒット!」という説明を耳にしてしまったような気分に…。いかん。その説明はいかんぞ。かなりマズイぞ。みたいな。

もっとも、これは番組内で語られていたけど、星野源さんは自分のスタジオの名前に「808」というワードを含めているぐらいに808がお気に入りだそうで。そこまで808が好きな人が、808が不遇な扱いを受けていたエピソードを知らないはずもないよなと。だから、これはおそらく、意図してそういう説明をしてるんだろうなと邪推(?)しながら見てたわけですが。下手すると、「ヒップホップミュージシャンが808の魅力を再発見したという話がありますよね。アレ、嘘っぱちですよ。捏造された歴史です。騙されちゃいけません。本当はね…」ぐらいのことをどこかで熱く語ってた可能性だってありそうだよなと…。そのくらい拘りを持っていてもおかしくない気配がする…。

あるいは、「808の例の歴史は別番組でもう紹介してるから、こっちは違う面から紹介していこうよ」という方針でもあったのかなと。

ただ、投げ売りエピソードを完全スルーするのはやっぱりちょっとどうかと思いました。たった一言でいいからチラリと触れてたら全然印象が違ったのになあ…。「ああ、なるほど。全部知ってる上でこの説明なんですね。了解です」と思わせてほしかった…。でもまあ、喋ったけど編集でバッサリとカットされた可能性もありそうか…。

それはそれとして。「星野源の〜」のシーズン3、作って欲しいよなあ…。毎回勉強になるし…。星野源さんが忙しくてなかなか作れないなら別の人と交替して作ってもOKなぐらい良い番組だった、そんな印象でした。

夢や希望や学びを伝えてくれる歴史のほうが好み。 :

個人的には、「ノーナレ」で語られた歴史のほうが好きだなと…。仮にそれが、話を盛り過ぎ・捏造の域に入ってて事実と異なっていたとしても。それは何故かと言うと…。

「808の事例を思い返してごらん。たとえ君が貧乏で、安い機材しか買えなくても、曲を作って楽しむことはできるんだよ。(だから君も音楽やろうよ。始めてみようよ)」
「道具は使い方次第。使う人の創意工夫が一番大事だよ」

これって、お金のない若者達にも夢や希望を与えてくれる話だよなと。音楽は、高い機材を平気でポンポン買える、そんなお金持ちの人達しかやれない趣味じゃないんだと。投げ売りされてた808の歴史が、そのことを証明してるよね、と。

そして。

「『こんなものには価値が無い』と皆が思い込んでるモノの中にも、実は宝石が眠ってるかもしれないんだよ」

そんな教訓を与えてくれる話でもあるよなと。

そう考えると、星野源さんの語った808の歴史は…。夢も希望も無い。何一つ学びが無い。「発売したら大ヒット」「世界中からたちまちイイネを貰った」って…。いや、もしかするとそれが本当の歴史だったりするのかもしれないけれど、というか星野源さんの中の正しい歴史はソレなんだろうけど、自分は、そっちの歴史はこれっぽっちも推したくないなーと思ってしまいました。これほどまでにつまらない、クソの役にも立たない話があるだろうか。嘘でもいいからちょっとは若者達に夢を見させてやれよー。みたいな。 *1

もっとも、このあたり、偉人伝と共通するものを感じたりもして。

偉人伝は、本当はそんな人物じゃなかったりするけれど、後進をその気にさせるために、作り話が盛り込まれてたりするわけで。それと同じようなことが、人物じゃなくて、只の電子楽器にも、ひょっとすると付随しているのかもしれないなと…。

偉人伝ならぬ、偉「電子楽器」伝が作られちゃったのかもしれないあたり、808ってやっぱり妙な楽器というか、実に面白い楽器だよなと改めて思うわけで。こんな楽器は珍しいのではないかと思うのだけど…。そうでもないのかな。どうなんだろう。

TVというメディアの怖さ。 :

ところで、2つの番組は、同じ取材映像を使っている場面がチラホラあったのですが…。映像は同じなのに、そこにどんな説明を被せていくかで、全く違う歴史がまことしやかに語られてしまう。そのあたりも、なかなか興味深かったなと…。

これはTVというメディアに限った話じゃないのだろうけど…。自分達が情報を入手する時、その情報はおそらく一面しか見せていないのだろうなと。語り手の意志によって大きく改竄されている可能性を絶えず疑って見ていかないといけないのだろうなと今更ながら再認識。

いやはや、個人的にはなかなか衝撃的な視聴体験でした。同じ映像なのに言ってることが全然違うのだもの。いやー、コレは怖いなー、でもコレってこの番組に限った話じゃないだろう、どの番組もこういう状態で放送されてるんだろうなー、と。そのあたり気をつけながらTV番組の類は見ていかないとマズイよなと。

てなことをしみじみと思いましたとメモ。思考メモ。

2022/12/27追記。 :

「星野源の〜」の808回の未公開トークがYouTuveで公開されていた。2分半の内容だけど、これまた勉強になった。ありがたや。

公式サイトでは他の回の未公開トークも公開されてる模様。MTRでこういう曲を作ってたんだよ、てな話にはなんだか夢を感じた。そして今は、PCやスマホがあればもっとトラックを重ねられるわけで、Eテレで放送されていた「ヒャダx体育のワンルーム☆ミュージック」内で紹介されていた各事例に繋がっていくのだろうなと。デジタル機器の普及が楽曲制作の敷居を更に下げてくれて、才能が世に出る機会を増やしてくれた。ありがたい話じゃのう…。

*1: ただ、シーズン2 第5回 「レイ・ハラカミ」で、SC-88Pro だけを駆使して楽曲制作をしてみせたミュージシャンを紹介してたので、そこでは夢(?)を見せてくれたというか、教訓が得られる回だったよなあ、とも…。あの回の内容は、808の話と近いものがあるよなと…。「機材の値段で勝負が決まるわけじゃねえぞ」「結局は使うヤツの腕次第なんだよ」みたいな。

以上、1 日分です。

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