mieki256's diary



2019/08/03() [n年前の日記]

#1 [anime] キャラと背景のタッチ

たまたま NHK をつけてたら、何かのCGアニメが流れ始めた。たぶん、 _「キャラとおたまじゃくし島」 だと思うけど。

ぼんやり見ていて、これはマズいなと。キャラと背景の区別がつきにくい。両方とも同じタッチ、同じ色彩だから、背景の中にキャラが埋没しちゃっていて。

そういえば、似たようなアニメを以前も目にした記憶があるなと。 _「THE REFLECTION」 だったかな…。これもNHKアニメで…。キャラも背景もセルルックなのだけど、どちらもコントラストの強い画作りで、キャラがどこらへんに居るのか分からないカットが結構あって。

映像を作ってることを自覚しているか。 :

例えばこれが、イラスト、絵本、漫画だったら、ちょっと分かりづらい絵でも、読者がじっと凝視して、「ああ、ここにキャラが居るのか」と認識できるから、何も問題は無いのだけれど。

しかし、アニメってのは映像作品なので ―― 短時間で次々にカットが切り替わっていくメディアだから、比較的瞬時に「ああ、ここにキャラが居るのね」ぐらいは最低限分かる画面になってないと困るわけで。

キャラがどこに居るのかも分からないのでは、キャラが何をしているのかも当然分からないし、キャラが何をしているのか分からないのでは、それがどういう話かなんて分からなくなってくるわけで。もう全てがボロボロですわ…。

一般的に、その手のアニメというのは、キャラがセルルック、背景が手塗り感のあるタッチになっていて。故に、どれがキャラで、どれが背景かは、見た瞬間にすぐ分かるのだけど。

でも、一つの画面の中に、異なるタッチが同居しているから、「これっておかしくない?」「両方同じタッチにしたほうが自然なんじゃない?」と疑問・問題意識を持つ人が、昔からちょくちょくアニメ業界の中にも出現して。

ちなみに、自分も、ある時期まで、「アレっておかしいよなー」「一致できるなら一致させたほうが『正しいアニメ』映像のはずだよなー」と安易に思っていたのだけど。

しかし、前述の「THE REFLECTION」を目にした際、ようやく気が付いたわけで。一枚絵ならともかく、映像作品はそのへんまた別なのだ。むしろタッチが別になってるほうが、すんなり自然に見れるのだなあ、と。

自分達は、ついうっかり、目の前にある画を、単なる一枚絵として捉えて、判断してしまいがちだけど。アニメの場合は、そうじゃないのだよなと…。映像としてはどうなのか、映像としては見やすいのか、映像になった時に認知しやすいのか、そこを意識して判断しないといけない…。

と思ったりするわけです。

解決策について夢想。 :

とは言え。「いや、でも、やっぱりタッチが違うのはおかしいよ」と思い続ける人が居そうな気もする。

もっとも、このあたり、解決策は色々ありそうな気もするわけで。例えばだけど…。
  • タッチは同じでも、色を変える。または、色は同じでもタッチを変える。
  • キャラの周りを薄くしたり白くしたり等して目立たせる。白く縁取りする。
  • キャラを1コマで動かして、動いてるものと動いてないものの差を明確にする。
  • 1カットを長目に見せる。じっくり凝視してもらう。
自分のような素人ですら多少は案が浮かぶわけで。

おそらくだけど、キャラと背景を同じタッチにしておきながら、しかし、従来の、3コマ撮りをベースとした、手塚治虫の主張したリミテッドアニメのソレで安易に映像を作っちゃうから問題が起きるのだろうなと。

例えば、アメリカのアニメは軒並み3DCGに移行して、キャラと背景のタッチの違いは比較的無くなってしまったほうだけど。その代わり、何でも1コマで動かすようになったから、キャラと背景の区別ができない、などという問題は起きてないのだろうなと。まあ、ピクサーやディズニーは、シーン毎の色彩設計をちゃんとやってるし、3DCG故に照明設計をする担当者までちゃんと居るらしいから、動きに加えて、色・明度でも、キャラと背景の分離ができているわけだけど…。

背景の情報量を落とすのも手だよなと。高畑勲作品の「山田くん」「かぐや姫」はその技を持ち込んでいる気がする。背景がシンプルに、あるいはぼんやりしていれば、どれがキャラなのかを認知することに、観客の脳のリソースをすぐに回せるわけで。

ということで、「キャラも背景もタッチは同じにすべきだよ」と主張するのであれば、タッチ以外の部分についても一考が必要で。従来のアニメ映像とは別のスタイルに移行する覚悟が必要なのだろう、と思えてくるのでした。

タッチは一致させたけどソレ以外は従来と同じ、というのは、「自分は映像を作っているのだ」「只の一枚絵を作ってるわけじゃないんだぞ」という自覚がちょっと薄いのではないかなあ、とすら。

以上、1 日分です。

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