mieki256's diary



2019/09/28() [n年前の日記]

#2 [anime] 「なつぞら」最終回を視聴

NHKの連続テレビ小説「なつぞら」の最終回を視聴。

一応、感想をメモ。感想には個人差があります。

自分、朝ドラはほとんど視聴したことが無くて。「ゲゲゲの女房」以来の視聴のような気がする。

ラストカットが、なんだかいいなと。おそらくは北海道の雄大な風景をじっくりと映し続けることで、なんかもう細かいことはどうでもいいなという気分になったりもして。風景の持つ力ってあるよなー、と再認識というか。

良かった点。 :

さておき、全体の感想としては…。

まず、こういう設定を持ち出してきただけでも、かなり好印象というか。

朝ドラと言うメジャーなドラマの枠で、まさかアニメ業界が(少しでも)紹介されるとは夢にも思っていなかったわけで。基本設定を目にしたとき、「マジかよ…嘘だろ…」と心底ビックリ。なので、その点だけでも、かなりの高評価だったりして。

もっとも、始まってみたら北海道がずっと映っていて肩透かしではあったけど。まあ、ググってみたら、それまでボツ扱いになっていた、北海道開拓ネタとアニメ業界ネタを合体させた企画だった、と知って納得しましたが…。

更に、日本全国のお爺さんお婆さんに、「アニメの絵って一人で描いてるわけじゃないんですよ」と啓蒙できただけでも儲けモノ、という印象も。何せ、「宮崎アニメは宮崎駿が一人で全部描いてる」と思い込んでる一般人が未だにチラホラ居るわけで。せめて、「たくさんの人が、たくさん絵を描いて、ようやく出来上がるものなのです」ということだけでも知っておいてもらいたいよなと。

アニメ業界で実際にあった(とされる)エピソードをチラホラ拾っていたのも良かったなと。「おお。そのネタ拾うんだ」と感心する瞬間が結構あったというか。取材の成果はそれなりにあったのではないかと。

高畑勲監督をモデルにしたキャラが出てきたときは面白かったな、とも。誰かが、「5分で分かる高畑勲の面倒臭さ」と称していて思わず笑ったけれど、まさにそんな感じで。

何より、高畑監督が美形になって登場したのが良かった。おそらく、宮崎駿監督や富野監督も、失礼ながら没後はこんな感じでかなりの美形キャラとして映像化されるのだろうなと…。例えば、新選組が映像化される際はえてして美形になるものだし、であればアニメ監督だって十中八九美形として描かれるはずで。そんな未来を予見させてくれるキャスティングだったなと。

そんな感じで、全体的には比較的良い感じの部分が結構あった、ような気がするなあ、という印象だったり。

残念な点。 :

ただ、残念な個所もチラホラ。

最初に書いておくけれど。自分は一応、「話が面白くなるなら史実改変もなんでもアリ」「まずは話を面白くすることが最優先」派のつもりで…。「史実通りじゃなきゃ許せない!」派ではないつもり、ではあるのだけど。

しかし、史実に沿って一旦通してみて、そこから話を膨らませたほうがドラマとしては面白くなるだろうに、改変・カットしたことでつまらなくなったところがチラホラ見受けられた気もして、そこはちょっとどうなんだろうなと。

例えば…。手塚治虫を出さなかったのは失敗だった気がするなと。日本初のTVアニメを作った人物だし、NHK「歴史ヒストリア」でも紹介されたぐらいに東映動画と深い因縁(?)があるし、彼の嗜好性が、後に、「大人の鑑賞にも堪える」と称されることになる日本のアニメの流れを決定づけたわけだし…。

何より、手塚治虫相当のキャラが画面に出てくるだけで、視聴者が盛り上がるのは容易に想像できるわけで。誰が手塚を演じるのか、それだけでも結構話題になるはずだよなと。

しかし、全く無視して名前しか出さなかったのは…。こんな重要人物を出さなかったのは、ちょっと意味が分からない。あまりにもったいない。一漫画家の始めた道楽(?)がヒロインの人生を翻弄してしまう構図は、ドラマをより面白くするのでは、と思っていたのだけど…。ソコを削っちゃうんだ、絶対美味しいのに、と。

また、東映動画の労働組合関係をほとんどカットしてたのも惜しいなと。当時の東映動画の関係者にとって、労組はおそらく、青春の一ページだったろうと想像するわけで。若者特有の熱気がそこにあったから、労組活動も積極的にしていただろうし、だからこそホルスと言う名作が世に出てきたりもしたわけで。

ロックアウトされた職場に残る同僚のために、壁をよじ登って弁当を運ぶ若者の姿。昭和の青春像じゃないかと。まるでドラマの一シーンじゃないかと。

でも、まるっとカット。いやはや、これまたもったいない…。若者達の青春を、描かないんだ…。

そんな感じで、史実の中のコレを拾って膨らませればドラマっぽくなりそう、と思えるところをズバッと捨てて、さりとてそうすることで更に面白くなった印象は特に受けず、とにかくもったいなかったなと。目の前で、まな板に乗った魚の美味しい身の部分をバンバン捨てられちゃった感じで、この料理人さん一体何を考えているんだろう、みたいな。

もっとも、何か色々事情があったのだろう、とも。当時の虫プロサイドまで再現しようとしたら美術班が倒れちゃうとか。手塚治虫を出すだけでも手塚プロから横槍が入って面倒臭いとか。労組を描くとNHKが政治的メッセージを発しているとクレームが入って上から大目玉を食らうとか。

いやまあ、そのへん全部妄想なので、実際のところは全く分からないけれど。安易にネタを捨てていたわけじゃないだろうと。使わなかったのは、それなりに理由があるのだろうなあ、とは思っているのですが。

しかし、もったいない。色々もったいない。事情はあるんだろうけど、やっぱりもったいないなあ。

アニメも北海道も添え物っぽい。 :

ここまで感想を書いた後で、脚本家さんへのインタビュー記事に遭遇。

_「なつぞら」脚本・大森寿美男氏 100作目の重圧に胃薬手放せず 演劇に挫折「日陰歩いて…出来すぎ」(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

そもそも「ホームドラマ」がテーマだったらしい。ズコー。椅子から転げ落ちそうに。アニメとか北海道とか、そのへん全部添え物に過ぎなかったのか…。半年間騙されて、いや、こっちが勝手に勘違いしたまま視聴してしまった。トホホ。

でもまあ、考えてみたら、朝ドラっておそらくそういうものだよな…。自分だって、朝ドラにはそういうイメージがあるし…。

そうか…。最初から頓珍漢な方向性をこちらが勝手に期待しちゃっていただけ、なのだな…。そりゃ手塚も労組も出てくるわけがない。アニメ業界の大きな流れとか、昭和世代の青春とか、そんなのメインテーマとは一切関係がないもの。

しかし、おまけ要素にしては、どれも結構調べて作ってた、そんな印象も。想像だけでテキトーに書いても良さそうなのに…。しっかり作ってある部分が多かったが故に、こっちが、枠の方向性を失念して、珍妙な方向で過剰に期待しちゃったのかもしれず。自分が勘違いするぐらいに、作り込んであったドラマ、ということになるのだろうなと。

しかしそうなると…。やっぱりこのへんのネタはもったいないなあ。どこかで、アニメ業界の歴史を下敷きにした、笑いあり涙ありのドタバタコメディドラマでも作らないものか…。

以上です。

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