mieki256's diary



2024/08/01(木) [n年前の日記]

#1 [zatta] 「ご苦労様問題」について調べてた

思考メモ。

たまたまどこかのニュースサイト経由で、「目上から目下は『ご苦労様です』。目下から目上は『お疲れ様です』がマナー」と一切何の躊躇もなくまことしやかに語ってるページに遭遇して、「それって本当にそうだったっけか…。ソレは違うぞという話を以前どこかで見たような…」と気になってきて、関連ページをググって調べてた。

参考ページ :

_「ご苦労さま」は目上への言葉、「お疲れさま」はチャラい流行語…正しい“敬語"の奇妙な変遷 | 文春オンライン
_長生きするおたく 「お疲れ様」「ご苦労様」のうそ
_了解/承知・ご苦労様/お疲れ様 問題の歴史が短すぎて草も生えない|嘘マナー|失礼クリエイター - Togetter [トゥギャッター]
_「目上にご苦労様は失礼」は誤用から始まった - Togetter [トゥギャッター]
_目上に「ご苦労様」がNGになったのはいつ?サラリーマンの歴史をひもとくと... 『『サラリーマン生態100年史 ニッポンの社長、社員、職場』』 | BOOKウォッチ
_ご苦労様、にイライラ。私だけでしょうか?社長からよく、「ご苦労様」「ご... - Yahoo!知恵袋
_「ご苦労様です」といわれたらキレる人っていますよね?でも -ドラマや- その他(社会・学校・職場) | 教えて!goo
_「目上に『ご苦労様』は失礼」、83.5%が認識...でも実際は? - ライブドアニュース
_目上の人に「お疲れさまです」は間違いなのか 同じことでも言い回しで印象は変わる | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン
_タモリ口火の「お疲れ様禁止」 「こんにちは」導入の会社も|NEWSポストセブン
_使い方に迷う「ご苦労様」「お疲れ様」日本の言語学者に聞いてみた!/北欧女子オーサ日本を学ぶ(12) - レタスクラブ
_芸能人が天皇陛下に「お疲れ様でした」で炎上 → 国語辞典編集「新しい謎ルールの誕生としか言えない」 - ねとらぼ

色々眺めてみたけど、ややこしい…。

変化の時系列 :

おそらくだけど、各記事を眺めてみた感じでは、以下のような時系列なのかなと。誤認があったらツッコミ入れといてください。
時期「ご苦労様です」「お疲れ様です」
江戸時代目下→目上に「ご苦労様」と言ってた。目上→目下は「大儀」一般社会では「お疲れ様」は使われてなかった
大正時代上→下に「ご苦労様」を使う事例も増えてきた
1930年代
芸能界で「さようなら」の代わりに「お疲れ様です」を使っていた。ただ、上→下に使うものだったらしい?
1950年代上下関係なく「ご苦労様」を使ってた
1980年代「下→上に『ご苦労様』は失礼」と言う謎マナーが語られ始めた
1980年代下→上で使える労いの言葉が無くなって若い世代が困り果てる
1980年代芸能界の「お疲れ様」が一般社会に輸入される。上→下は「ご苦労様」、下→上は「お疲れ様」というマナーが広まり始める
2015年
タモリさんが「お疲れ様は上→下で使うもの。若いヤツが俺達に言うな!」とキレる

一般社会で「ご苦労様」が、芸能界で「お疲れ様」が、それぞれ違う使われ方をしていて、1980年代にどこかの誰かが「目下が目上に『ご苦労様』を使うな!」と謎マナーをクリエイトしちゃったせいで、そこから混在しちゃってややこしくなってきたらしい…? とりあえず、タモリさんのソレから想像するに、芸能界の中では下→上の「お疲れ様」はアウトっぽい。

つまり、現状では以下のような状況がありえる。

  • 上下関係なく「ご苦労様」を使ってた世代 : 「お疲れ様」と言われるとキレる。「なんだその『お疲れ様』って。そこは『ご苦労様』だろ!」
  • 芸能界で年配の方 : 「お疲れ様」と言われるとキレる。「それは目上から目下に使う言葉だろ。俺を下に見てるのか!」
  • 「ご苦労様」は上→下と教わった世代 : 「ご苦労様」と言われるとキレる。「俺を下に見てるのか!」
  • 「ご苦労様」「お疲れ様」のどちらも上→下と教わった人種 : 「ご苦労様」「お疲れ様」のどちらを言われてもキレる。「俺を下に(以下略)」

どっちを使っても、相手によってはキレる…。嗚呼、面倒臭い。

マナーって、本来は無駄なトラブルを回避するためのテクニック集だと思うのだけど、謎マナーをクリエイトしちゃう人種が存在するせいで、そのマナーを使うとかえってトラブルが発生する状況になっちゃってる気がする。これでは本末転倒だし、何のためのマナーなのか、と思えてきました…。

対策 :

どっちを使ってもキレるヤツが居るなら我々はどうすればいいんや。ということで案を出してる人達が居る。

タモリさんは、「目下から目上には何も言わなくていいんだよ!」と主張してたっぽい。今はどうだか分からんけど。

言語学者の金田一秀穂先生は、「目下から目上に労いの言葉をかけること自体が失礼だから、負担をかけたなら『ありがとうございます』、『さようなら』等の挨拶なら『失礼します』で置き換えれば」と主張してる。でも変だな。江戸時代〜1950年代までは、目下から目上に「ご苦労様」でも問題なかったはずなんだけどなあ…。先生は一体どこで目下→目上は全部アウトと教わってしまったのか…。それとも世間一般ではこうなってるという話をしているのだろうか。

まあ、「目上の人は苦労なんかしていないし疲れてもいないのだ。目上の人ってそういうものなのだ」と思うことにして、こちらからは一切何も言わないというのもたしかに手かもしれない…。

雑感 :

せっかく潤滑油を使おうとしてたのに使っただけでキレられてしまうのではなあ…。皆でそうやって日本社会をどんどんギスギスさせていけばいいさ…。などと、ちょっとヤケクソ気味な気分になってきたりもして。

そもそも上とか下とかそういう関係を24時間365日いつでもどこでもハッキリさせようと考えてる人種が諸悪の根源な気も…。こういうのもマウンティングなんだろうけど。人間も所詮は犬猫レベルなんだろうか。まあ、動物だから仕方ないのかな…。

上下関係なく「ご苦労様」で済ませることができた時代…羨ましいなあ…。一体誰なんだよ、こんな謎マナー作ったヤツは。

余談。もしかして、この「ご苦労様問題」と、日本の「失われた30年」ってリンクしてたりしないのだろうか…? 「ご苦労様。さあ仕事始めるか」で済んでた時代と、「えーと、この場合はご苦労様だっけお疲れさまだっけ」と仕事を始める前に一々悩んで対処しないといけない時代の違い…。「そんなくだらねえこと考えてないで仕事しろ他にもっとやることあるだろ!」と昔なら切って捨てて、もっと実のある仕事ができてたんじゃないのか、と…。あるいは、マニュアルに従わないと仕事にならない・周囲の顔色を窺い続けないとすぐ集団から弾かれる世代の台頭、とか…。仕事内容より、誰が言い出したのかも分からないマナーを気にすることのほうが優先順位が上がってしまった日本社会。そりゃ経済発展も二の次になるわ。みたいな。このへん全くの無関係なのかなあ…。

「いつもお世話になっております」問題 :

「この言葉を相手に言うとキレる」という流れで、「いつもお世話になっております」問題もあったなあ、と急に思い出したので一応メモ。

_スタジオポノック 公式ブログ - <悲惨日誌 第5回> お世話してない! - Powered by LINE (WebArchive)

スタジオジブリで高畑勲監督の担当プロデューサーになったK氏が、 *1 高畑勲監督に電話をかけた際、「お世話になっております。スタジオジブリの〜」と口にしたら「私は貴方をお世話したことなんてない!(ガチャン)」と電話を切られちゃったという話。
*2

この日本には、定型文・社交辞令の「いつもお世話に〜」を電話口で言っただけでもキレてしまう人種も存在する(してた?)という…。面倒臭い社会ですね。

*1: K氏と言うことは…もしかして _この方 だろうか?
*2: 高畑監督って本当に面倒臭い人だなあ、なんでそんな対応をするんだろうなあ、と考えたのだけど。もしかすると、「思考停止してテンプレワードだけ使って仕事を進めてるんじゃねえ」「対象によって使う言葉を変えるぐらいの知恵を持て」みたいなことを言いたかったのだろうか、と…。演出家ってシーンやカットによって何が最適解なのか延々悩んで決めていくお仕事なのだろうから、似たような意識を自分の周囲にも求めていた、とか? それとも若いヤツに初っ端からガツンと一発かまして俺が上の立場なんだぞとマウンティングを取ろうとしてたのだろうか。パワハラがとにかく凄い人だったとも聞くし…。はたまた単に虫の居所が悪くて何を言っても言葉尻を捉えてキレるクソジジイモードになってただけだろうか…。

以上です。

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