まほろばは何処〜福島県文化財センター白河館『まほろん』
 
 去る2002年9月上旬、地元福島県内にある考古学的文化財保管施設兼体験館の、通称『まほろん』に行って来ました。
 屋内では発掘物展示や各時代の食卓の復元、勾玉・縄文土器の製作や時代衣裳の体験ができ、また屋外では、実物大に作られた竪穴式住居や高床式倉庫なんかで自由に遊べるようになっていて、しかも入館料無料の上に、オール写真撮影OKなのです。
 ……どこから金が出てるのかは非常に謎ですが。
 たまたま他所様のサイトでここの紹介をしてまして、福島県人のくせに知らなかったっつーのも哀しいので(^_^;)、体験イベントのサイクルを調べた上で赴いてみました。
 
 『まほろん』のHPはこちら→ http://www.mahoron.fks.ed.jp/index.htm 
 
 体験教室などは、一部を除いて2週間毎のローテーションで開催してます。経費が必要な種類もあるんで、事前に情報を調べてから行きましょう。(時代衣裳体験はローテーション型です)
 
 今回の目的はズバリ『時代衣裳体験』だったので、その時期を狙って友達と二人連れの予定だったのですが、彼女、数年前ヘルニアで弱ってた腰が悪化、とても出歩けないという事で、なし崩し的に母と二人連れになってしまいました。……京都・奈良で散々苦労させられた、かの母上です。なので、今回もノリ悪かった(-_-;)。
 
 家から車で1時間弱、白河市の南の外れにある『まほろん』に到着。ホントに周り、雑木林ばっか。ちらほら新興住宅地が出来てきてるかな?といった、非常に寂しい場所です。白河駅からバスは出てますが、待ち時間考えると車の方が良さそう。
 建物は2001年に開館したので、非常に綺麗で、規模が大きい。元々は収蔵施設の位置付けですしね。
 
 では入ってみましょう。
 まず右手の方に食卓再現コーナーがあります。入口の方から、昭和40年代・江戸時代・鎌倉時代・奈良時代・古墳時代・弥生時代・縄文時代の順に再現。食卓・台所部分の一部を作った感じですが、割と細かく作ってありました。古墳〜奈良辺りは平安物(庶民レベル)描く人には参考になるかも。
 それぞれの時代毎に、説明のパネルというか、解説機があって、簡単ながらも生活習慣が解るようになってます。
 各時代の食品のレプリカなんかも並んでるんだけど、古墳時代の食事の方が、我が家の食事より豪華だと感じるのは、多分私だけではないでしょう(-_-;)。
 
昭和40年代……?何か異様に気になったのでこちらの写真を。 右手の笠と蓑がポイント? そのまんまですね。
昭和40年代の気になったブツ 江戸期の台所一部 奈良時代の竈周り
この食事がまた結構豪勢なんだわ。 同じ所に火起こし具やはた織機もあった。 割とゴチャゴチャしてました。
古墳時代の台所 弥生時代のLDK 縄文時代のLDK
 
 次のコーナーは、県内出土品の展示部屋。石器とか土器とかの基本品ですね。部屋の真ん中に馬のレプリカがあって、記念撮影もできるんですが、恥ずかしいんで止めました(^_^;)。友人と一緒ならやったかもですが。
 この出土品コーナーは余り広くないんで、「こんなもんか」って感じですが、タタラ場周辺の製鉄作業の流れを追ったジオラマは結構見応えあると思います。
 また、土偶に見られる古代髷の復元模型も置いてました。最早どうなってるのか、さっぱり訳判らん造りになってます。
 
馬の模型。これに跨って遊べます。 この他に5シーンくらいありました。 女性土偶の髪型。判るかな〜???
馬の模型 製鉄現場ジオラマより 女性土偶の髪型再現
 
 そこを出ると、体験部屋。
 オープンスペースで、あまりはしゃげないな〜、という場所。ここで勾玉作りも土器作りも時代衣裳体験も一緒にやってます。
 時代衣裳については……まぁ、あんまり期待しない方が良いですね(^_^;)。バッチリ着込む、というタイプではなく、一部を軽く羽織ってみたり、とりあえずこんな感じ?というのを把握する程度と割り切った方が吉。大体にして、袴が長袴じゃなく、切袴だし!!
 縄文〜奈良時代あたりの服を着てみたい、というなら割と良いかも知れません。苧織りの貫頭衣ははっきり言って見た目しょぼいですが、こんなの着てたのか、という実感はできましょう。
服の上からの着装なので、着ていく服は考えましょうね。襟元と足元、要チェックです。
他の体験は時間がなくて×。服も、一着しか試せませんでした。……母がいたから……。
 
 さて、次は屋外です。
 まず外に出ると、広〜い芝生になってて、何やら家族連れでシンプル弓矢や投槍で遊んでました。弓矢はホント、飾りっ気無し。でもハマッた(弓好き)。
 右手の方から道なりに進むと、まずは中世の櫓の復元。まだまだ新しくて、どこか安っぽい感じが否めません。『藤原の郷』のと比べると、ちゃんと櫓の直進方向に板塀があった点が良かったかな。
 次が、高床式倉庫。建材が合板材っぽくて、やっぱり安っぽい感じが。階段の一段がかなり高さがあって、ここを重い荷を担いで昇るのは、結構大変と思いました。
 で、タタラ場復元現場。『もののけ姫』でのタタラ場を、思いっきり小さくしたような感じで想像してみると解り易い。二人がかりでタタラ板(ふいご)を踏むと、ちゃんと風が……えーと、何ていうんだっけ。溝っていうか、そういう所に送られてます。ちなみにそこに入ってるのは赤のビニールロープ。楽しいけどなんか寂しい。
 その横に、奈良時代の住居。ま、竪穴式住居ですね。竈が奥にあった以外は、特に何も置いてなかったです。前庭の畑が、ばーちゃん家のようで郷愁を誘いましたが。
 更に行くと、今度は前方後円墳。割と小さいし、玄室も棺2個分くらいの広さ。センサーで内部の照明が点いたんで、ちょっとビックリした。
 最後が、竪穴式住居縄文バージョン。ここはちゃんと煙を焚いて、藁(萱?)葺屋根の保護を正に実行中でした。かなり煙かったので服にも匂いが付いてしまったけど、ロフトもあって、割と涼しいし、それなりに快適な感じがしました。……夏限定だけど。
 
ちょっと傾いちゃいましたが。奥のが板塀。 ホントこの階が辛くて。中は結構広かった。瓦が積んであったんだけど。 入口からすぐが玄室。かなり狭い。
中世の櫓 高床式倉庫 前方後円墳外観
縄文・竪穴式住居内。燻してます。煙いです(ーー;) 煙で解り辛いけど、右手に梯子がありました。 つー訳で、全景をひとつ。
縄文・竪穴住居内部1 縄文・竪穴住居のロフト部 まほろん全景
 
 全体を見て、広く浅く体験できる、という感触です。時間も、1時間半〜2時間くらいで見終わったし。実物大の古代をちょっとでも実感したい人には、そこそこお勧めできるかと思いますが。(平安時代を体験したい人は、遠くても『えさし藤原の郷』の方がお勧め。実物大の建物に入って好きなだけ遊べるのはここくらいでしょ、今のとこ)
 ただ、如何せんここは本当に交通の便が悪いので、それだけは覚悟した方がよろしいです(^_^;)。
 だって、どう見ても新白河駅より白坂駅(結構ド田舎風味な駅)の方が近いんだもんな〜。
 
 
(おわり)

 

 
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