Precious Words |
最近、気がついた事が、あるんだ。 俺、こんなだから、このままずっと誰かを好きになったりする事もなく、過ごすんだと思ってた。 誰かを必要だと思う事もなく、生きていくんだって。 それが、俺なんだって。 ずっと、信念みたいに、感じてた。 もちろん、おまえとの約束は忘れてはいなかったけど、それでも。 俺が離れて、おまえも違う場所に行って、異なる時間を歩むようになってから。 もう二度と逢えないだろうと、思った時から、ずっと。 俺はきっと、ずっと一人なんだろうって、受け入れてしまってた。 受け入れて、諦めていた。 ――――自分自身というものに。 けど、おまえに再び出逢って。 おまえがそうやって、笑いかけてくれるのを、見て。 おまえがそうやって、俺の名を大切そうに呼ぶのを、聴いて。 そのたびに、自分の中に灯される感情の、その心地よさに酔いしれた。 空虚だった世界に、彩りと実感を与えてくれる存在が、ただひたすら愛おしくなった、今。 初めて、気がついた。 俺の中に、そういう気持ちがあったこと。 誰かを信じることができる自分。 誰かを大切だと思える自分。 ……誰かを、必要だと、思える自分。 そういう気持ちが、まだ、俺の中に残っていた事に、正直、少し驚いた。 驚いたけど、嬉しくもあって。 おまえが笑ってくれるんなら、俺もそう捨てたもんじゃないのかって、考えたりして。 おまえが傍にいてくれるんなら、こんな俺にも何か出来るんじゃないかって、考えたりして。 自ら嵌めていた枷が、ゆっくりと音もなく外れていくのが分かって。 その感覚が、とても嬉しくて優しいものだってこと、おまえに逢えたから、気がついた。 嘘じゃなく、本当にそう思えるんだ。 言葉じゃ言い表せないし、何度言ったって、全然足りないけど。 でも、それでも言い続けるよ。 俺がもらった気持ちを、おまえにも返したいから。 この愛おしい想いを、同じあたたかさにして。 「サンキュ……おまえがいてくれて、よかった」 |
王子モノローグ形態を取っているものの、実は私から王子への愛の告白だったり(^_^;) 尽でっち上げ小説でも多用したけど、私は王子の「おまえがいてくれてよかった」の台詞が大好きです。 「愛してる」とかは、実生活で聞いたら単にギャグか鳥肌モンでしかないでしょ〜? 恋愛とか関係なく、人間関係全般において、一番嬉しいのって、自分の存在を肯定される事だと思うわけ。 だから、こっちの台詞の方が、私は好き。 実生活ではホント色気の欠片も漂わせない、アンタその年でそれはどーよ、っていう私だけどさ。 君がいてくれてよかったって、心から思ってるよ。 誕生日、おめでとう。 (2002.10.16 Happy birthday to my dear.) |
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