絵を描く際に、色を乗せたくない場所に予め塗布するマスク素材の一つ・マスキングインク。
これらは主にラテックスゴムなどを材料に作られています。
一番入手し易いのはミツワ製(写真右)ですが、これは結構ゴムが強くて、剥がす際に紙の表面ごと剥がれ落ちやがる事がままございます。
その為、もう少し粘着力の弱いマスキングインクを求めて、現在入手可能な、ミツワ・ホルベイン・Windsor&Newton各社のマスキングインクを比較対照してみる事にしました。
(注:このページの情報は2005年頃の物なので、現在は変わっている可能性があります)
【使用画材】
・マスク液 : ミツワ マスケットインク
Windsor&Newton カラーレスアートマスキング液(透明水彩用)
ホルベイン マスキングインク(水彩用マスキング液)
・水彩紙 : アルビレオ
・カラーインク : ルマ ヒヤシンスブルー
・透明水彩 : レンブラント アゾイエローミディアム+パーマネントレッドミディアム+フレンチウルトラマリン
(↑のチョイスは特に意味はありません。単に一番手近にあったor余ってたからです(^^;)。)
【方法】
水彩紙そのままではよく判らないので、カラーインクと透明水彩をそれぞれ塗布した水彩紙に、同じくらいの面積で各マスキングインクを塗布。
乾燥後、ラバークリーナーや指、消しゴム等で擦って剥離。
【結果】
下の画像を参照。
……どうやら使うべき紙を間違えたようですな( ̄∇ ̄;)。
アルビレオはミツワ製のでもそれなりに耐久性があり、マスク液を剥がした後もそれほど紙面が荒れないので、比較対照するにはかなり不適切だったかも知れません。
要は、この実験じゃ紙面に対するダメージはよく判らなかったという事です。意味無いやん。
もっとも、剥がす際には差はありましたが。
ミツワのはラバークリーナーを使ってゴシゴシ細かく擦らないとなかなか剥がれなかったのですが、W&Nとホルベインのは、一部捲れたらそこから綺麗にぺりり〜っと剥がれていきました。
その点から見ると、確かにW&Nとホルベインはミツワに比べて紙に対する粘着力が弱いと言えるかも知れませんね。
それから上の画像を見ると一目瞭然ですが、下地に色を塗った状態でマスク液を塗布した場合、塗ってるそばから下地の色がガンガン溶け出して来ます。
アルビレオがあまり絵具を吸収する紙でないという事を考慮しても、やはり濃い色の上に更にマスク液を置いてあれこれ塗り重ねるのはちと危険ですね。特に透明水彩。
以下おまけ。
過去ブログでメモってた「MITSUWA VS W&N〜on Watman」の結果も載せておきます(2005.9.4記事。ブログは削除済)。
・水彩紙:ワットマン(脆いので差が判り易いかと思って)
・絵具:下地→ルマ・カラーインクのヒヤシンスブルー
重ね塗り部分→W&N透明水彩のネイプルスイエロー
……どっちも剥げまくってますな(^^;)。
ミツワのはラバークリーナーで擦り取りましたが、相変わらずすぐに紙が一緒に剥げて来ます。
W&Nは消しゴムで擦ればOKらしく、確かに消しゴムでも取れるんですが、剥離具合に対して消しゴムの減りが激しいので、ちょっと方法を考えないとですね(指でも擦れますが、あんまりお勧めしない。紙によるかもですが)
何にせよ、上塗りした部分がどれだけ絵具を弾くのかはまったく検証できなかった事は確かです( ̄∇ ̄;)。
ただ、W&Nの方は剥がす時に割りかしちゃんと膜になって繋がって剥がれてくれるような気がしました。
ミツワの方がコマ切れボロボロに剥がれてしまうのに比べると、少しは剥がし易い→紙への負担が少ないのではないかと、うすぼんやりと感じたと言うか。
なもんで、これはワットマンなんて極端に脆い紙でなくて中くらいの紙を使って実験してみても良いかも知れません。その内やるか。
あと気になったと言えば、W&Nの方は塗ってて下地のカラーインクが溶け込み易かったって事ですかね。
粘着性が弱いって事はそれだけ液が薄いって事でしょうから、そこは仕方ないのかな。
【まとめ】
大まかなメモと私感もろもろ。
ミツワ マスケットインク (白抜きインク) |
・45cc・定価470円(税抜)。(いつの間にか上がってた) ・原料は不明。割とゴム臭い。 ・粘着力がやたらと強い。紙面が結構荒れる。 ・塗布→乾燥後、剥がす際にはラバークリーナーというゴムを使って擦り落とす。 ・大抵画材屋で置いてあるのはコレだが、アニ○イトなどでも置いてある(かも知れない)。 ・エアブラシ用のアクアマスク(45cc・650円)、コミック用のコミックマスク(20cc・360円)もある。 |
W&N 水彩絵具用 カラーレスアートマスキング液 |
・75ml・定価860円(税抜)。 ・表記原料はラテックスゴム、アンモニア。なのでかなりアンモニア臭い。 ・カラーレス(無色)の為、サイジングが弱い紙や染みが残りそうな場合に使用。 ・無色でない、薄い黄色の物もある。 ・乾燥後は指や消しゴムなどで擦り落とす。 ・個人的には、ミツワと同じようにラバークリーナーで軽く擦った後に指でぺりりと剥がす方法が方がやり易かった。 ・ミツワのより紙への吸着率が低い感じ。 ・細かい部分向けの除去不能なパーマネントマスキングメディウム(780円)もあるらしい。 ・販売代理店はbonnyColArt社。大きな画材店でないと扱ってない場合多し。 |
ホルベイン マスキングインク |
・55ml・定価600円(税抜)。 ・原料はラテックスゴム、防腐剤、着色剤。 ・薄〜い青緑色。そんなに臭くない。 ・感触としてはW&Nと大差なし。 ・ホルベイン製品を扱っている画材屋では置いてある事が多い(と思われる)ので、ミツワのでは粘着力が強すぎ、という場合に選択するのに丁度いい。 |
他に追記事項が出来たら、随時改稿していく予定です。
少なくとも、もう1〜2種類は違った水彩紙で実験した方がいいかもですね、こりゃ。